約8割が「社員の管理職への昇進意欲は低い」管理職候補への支援は6割が必要性を認識するも実施率は4割
株式会社日本能率協会マネジメントセンター(本社所在地:東京都中央区、代表取締役社長:張士洛、以下JMAM)は、J.H.倶楽部セミナー「ポジティブ管理職を育てる」の参加者を対象に、アンケート調査を実施した。
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「管理職昇進への意欲」79%が「低い」と感じる
本調査でJMAMは「自社社員の管理職昇進への意欲」を4段階評価(数字が大きいほど意欲が高い)で集計。その結果「1(35%)」「2(44%)」と意欲が低いと評価する割合が、79%となった。最も意欲が高いとする「4」については、わずか3%となっている。この結果についてJMAMは「管理職になりたくない」という風潮があるといわれていることに触れ「回答者である人事・人材開発部門の担当者から見ても、この問題は身近に感じているものだといえるでしょう」とコメントした。
管理職候補への育成支援、64%が必要性を認識しながらも実施率は39%
JMAMは続いて「管理職層への育成支援の取り組み状況」について調査。新任管理職対象では実施率75%、既任管理職は49%といった結果のなか、管理職候補に対しては実施率39%と、手薄であることを明らかにした。一方「強化が必要だと思う対象」については、管理職候補が64%と最も高い回答割合になっている。
JMAMはJ.H.倶楽部セミナー「ポジティブ管理職を育てる」で示された2つのフォロー施策を紹介。
■「管理職候補」であると明示したポジションを作り、課長業務の一部を担ってもらう
■上司が傾聴を行い、「仕事内容への理解不足」「知識不足」など、不安の内容を具体化する
ポジティブな管理職を育てていくためには、上記のような支援のほか、候補者のポテンシャルを最も理解できる直属の上司と部下の対話が重要だと提言した。
管理職層に対する制度・教育等の課題
さらにJMAMは、管理職層に対する制度・教育等の課題についても調査を実施。「管理職の役割定義、昇格基準の明確化、キャリアパスの設計(42.7%)」「職場の具体的な課題解決を通じ、成長機会を振り返る機会を持ち、自身のマネジメント観を育てる(41.7%)」「会社方針を自分ごとに落とし込み、メンバーの適切な目標設定を支援できる状態にする(40.8%)」が特に課題感の強い項目であることがわかった。
JMAMはこの課題について「これらはそれぞれ『人事から管理職への支援』『管理職自身の成長』『管理職から会社・メンバー双方への働きかけ』という要素を持っており、管理職育成支援は多方面から複合的に行うことが求められていると考えられます」との考察を示した。
アンケート概要
調査形式:Webアンケート方式
調査時期:2023年12月4日~5日
調査対象:J.H.倶楽部セミナー「ポジティブ管理職を育てる」参加者101名
まとめ
本調査結果では自社社員の管理職への昇進意欲は低いとする割合が約8割との結果が出ている。一方、エン・ジャパン株式会社によって39歳以下のビジネスパーソン1156名を対象に行われた「管理職への意向」に関するアンケートでは、70%が管理職に就くことに興味を示しているという結果もある。
両調査結果を照らし合わせると、管理職候補者側と選定する担当者側に認識の違いがある可能性も考えられる。そこには、管理職候補への育成支援実施率の低さが影響しているのではないだろうか。
管理職候補者層との対話や育成支援を増やし、候補者側の本音や不安を聞き出す機会を作ってみては?
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