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全国平均借入金利が15年ぶりに上昇 借入金利が低い都道府県は?

2024.03.19

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、企業財務データベース「COSMOS1(97万社・780万期)」を用いて、2006年度~2022年度の国内企業の平均借入金利※を算出し、集計・分析した。

調査概要

■「企業単独財務ファイルCOSMOS1(※)」収録のうち、非営利・特殊法人等を除く国内企業の2006~2022年度の財務データを集計
■平均借入金利は、有利子負債(銀行等、保険、ノンバンク、個人借入等を含む借入金、社債、CP等を含む総額)に対する支払利息の割合
■本レポートでは、平均値にトリム平均を用いている。全体の最大値および最小値から合計10%分のデータを除き、平均を算出
出典元:全国平均借入金利動向調査(2022年度)(株式会社帝国データバンク)
COSMOS1:TDBが長年にわたる企業信用調査により蓄積したノウハウを駆使して構築した、企業財務データベース

平均借入金利は低水準ながら15年ぶりの上昇

平均借入金利は低水準ながら15年ぶりの上昇

TDBによると、2022年度の企業の平均借入金利は0.98%となっている。前年度から0.01ポイント上昇し、15年ぶりの上昇だ。TDBの集計によれば、2007年度(2.33%)をピークに2021年度まで14年連続で低下している。特に2020年度は新型コロナ関連融資がスタートしたことで、実質無利子・無担保での融資が急拡大し、0.26ポイントの大きな下げ幅を記録したという。

都道府県別にみると、最も平均借入金利が低かったのは「奈良県」の0.66%で、次いで「香川県」(0.68%)「島根県」(0.77%)が続いた。新型コロナの影響拡大前の2019年度と比較すると、全ての都道府県で平均借入金利は低下。利息負担のない借入金の増加は平均借入金利の大幅低下につながってきたが、ポストコロナに向けて上昇局面に入りつつある。

またTDBは、利子補給制度の違いが都道府県間の差となった要因の一つとみている。民間金融機関による新型コロナ関連融資は、融資実行段階から無利子となる「リアルタイム方式」と、事業者がいったん利子額を支払った後に自治体から支払った利子額が支給される「キャッシュバック方式」がある。TDBは上位となった「奈良県」「香川県」「島根県」がいずれもリアルタイム方式であったことを報告している。

2023年度以降は上昇の可能性が高いと予測

TDBは「昨年4月の日銀総裁の交代で金融政策の修正観測が高まったが、これまでの総裁の発言は“地ならし”との見方が多く、マイナス金利解除の可能性が高まっている」とコメント。「すでに足元の貸出金利は上がっている」とする金融機関があるほか、新型コロナ関連融資の返済が進めば結果的に金利の上昇圧力にもなることから、TDBは2023年度以降について、平均借入金利がさらに上昇する可能性が高いとの予測を示した。

まとめ

TDBは2023年12月の景気動向調査レポートで、2024年の国内景気に金利動向の影響があると予測している。また、2023年1月に実施した「金利上昇による企業への影響アンケート」では、40%が金利上昇は自社の事業に「マイナスの影響の方が大きい」と考えていることも明らかに。平均借入金利は今後さらに上昇する可能性が高いと予測されており、国内景気への影響も注視する必要があるだろう。

出典元:TDB景気動向調査 -2023年12月調査結果-(株式会社帝国データバンク)
出典元:金利上昇による企業への影響アンケート(株式会社帝国データバンク)