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ビジネス変革の鍵は「経営戦略とDXの連動」「人間とAIの分担」 三菱総合研究所・三菱総研DSC調査

2024.05.29

株式会社三菱総合研究所(代表取締役社長:籔田健二、以下:MRI)と三菱総研DCS株式会社(代表取締役社長:亀田浩樹、以下:DCS)は、売上高100億円以上の国内民間企業を対象とした「DX推進状況調査」を実施。レポート「VUCAへの『対応力』が企業を変革する ~『経営×DXの連動』と『ヒト×生成AIの共創』~」を公開し、3年連続調査におけるデジタル化の推移や「先進企業」の特徴、VUCAへの対応力などについて、調査結果を公表している。

調査概要

調査時期:2023年12月
調査方法:Webアンケート
調査対象:
【対象企業】直近1年間の売上高が100億円以上の企業
【回答者】自社内のデジタル化・DXの取り組みに関与している従業員1000名
出典元:日本企業のDX推進状況調査結果【2024年度版】を公表「経営戦略とDXの連動」や「人間とAIの分担」がビジネス変革の鍵(株式会社三菱総合研究所)

調査実施の背景

近年、企業を取り巻く環境はますます複雑で多様なものになり不確実性が増している。本調査はそんな中で、変化が速い経営環境における企業成長のためには、企業価値の向上に資するDXが必要である点に着目。

DX元年である2021年に独自調査が開始され、DXの進展度(デジタイゼーション、デジタライゼーション、ビジネス変革への取組状況)、推進課題、解決策を確認している。3回目となる本調査では、DXが一般化したことから、特に変化が激しい外部環境への対応状況に着眼点をおき、実施。調査のスコープをDXから経営領域まで拡大し、VUCA※への対応状況を分析した。

※VUCA—Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字。震災や紛争、疫病、技術革新等により社会の先行きを見通すことが難しくなった状況を表す概念。

経営戦略とDXの連動や人間とAIの役割分担が成長のポイント

本レポートによると、3年連続調査の経年比較において、デジタル化の3段階の構成割合に大きな変化はないという。

本レポートでは1つ目のポイントとして「経営×DXの連動(「経営観点」でのVUCA対応)」に言及。「外部環境への柔軟な対応体制が整っており、変化に即座に対応できる」ほど、売上成果が出ている実態を報告している。また、経営戦略とDXの取り組みが、内容面または指標面で連動しているほど、売上成果が出ているという。こうしたことから、DXは単独で実施するのでなく、外部環境に応じて策定した経営戦略を推進する手段と位置づけることが有効だとの見解が示された。KPI設計時は、DXの評価指標と経営・事業KPIを紐づけることがポイントになるという。

2つ目のポイントとして掲載されているのが、ヒト×生成AIの共創(「テクノロジー観点」でのVUCA対応)だ。データ・AIで意思決定を自動化するのでなく、部分的な導入を目指す割合が増加しているとして、データ・AIと人間で役割分担して意思決定する傾向にあることが報告されている。新たな技術トレンドである「生成AI」については、ビジネス変革企業ほど幅広い用途で業務活用されているという。

「生成AI」について本レポートは「正確性やリスクの観点から人間のチェック・フォローが必要な領域もある。出来ることや精度を見定め、「ヒト×生成AI」の役割分担に基づき業務設計することが重要」と提言した。

まとめ

本調査ではDXと経営戦略を連動させることや、人間とAIの役割分担が、企業の成長において重要なポイントとなっている可能性が示唆された。

東京商工リサーチが2023年に実施した調査(※)では、DXへの取り組みを実施している中小企業は4割にとどまっており、大企業と25ポイント以上の差がついている実態が報告されている。また、DXへの意欲についても大企業と比べると低い傾向にあるようだ。東京商工リサーチのレポートでは、企業規模による資金力の差がDX投資の予算に影響を及ぼしている様子も見受けられる。

コストに見合った成果を得られるDXを実施していくためにも、本レポートの内容はぜひ参考にしていただきたい。

※出典元:DXへの取り組み、中小企業は4割にとどまる 予定なしも約2割 「生産性向上」目的が7割、中小企業は「金融機関」活用が最多(東京商工リサーチ)