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直近3年間の賃上げ実施率は約6割、賃上げできていない原因は? ベンチャーサポートグループ調査

2024.06.14

ベンチャーサポート税理士法人を運営するベンチャーサポートグループ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役:中村真一郎)は「賃上げによる影響と対策の実態」に関する調査を実施した。調査結果の概要についてお伝えする。

調査概要

調査方法:ゼネラルリサーチ株式会社のモニターを利用したWEBアンケート方式
調査の対象:ゼネラルリサーチ社登録モニターのうち、全国の中小企業の経営者
有効回答数:1009人
調査実施期間:2024年3月15日~2024年3月16日
出典元:<賃上げによる影響と対策の実態調査>を実施(ベンチャーサポートグループ株式会社)

約8割が賃上げに「課題がある」と回答

約8割が賃上げに「課題がある」と回答

同社によれば「直近3年の従業員の賃上げ状況について教えてください」との質問に「賃上げした(58.3%)」「賃上げしていない(据え置きを含む)(41.7%)」との回答結果が出ており、約6割の企業が賃上げを実施していることが明らかになった。

一方で「従業員の給与を上げることに課題はありますか?」との質問には、78.0%が「はい」と回答。8割近くが賃上げに課題を抱えていることがわかった。具体的な課題としては「キャッシュフローへの負荷」「継続への不安」などの声が寄せられているという。

「従業員のモチベーション向上」を理由に賃上げ実施が約7割

「従業員のモチベーション向上」を理由に賃上げ実施が約7割

同社は続いて、直近3年以内に賃上げしたと回答した人にその理由を尋ねている。その結果「従業員のモチベーション向上(71.1%)」「従業員の確保(49.0%)」「物価上昇への対応(44.2%)」が上位に。「業績が好調なため」は17.3%であったことから、防衛的賃上げを実施している企業も多いと推測できる。

同社は本結果について「給与水準が上がることで、従業員のモチベーション向上、優秀な人材確保に繋がるため、昨今の労働力不足による売り手市場も影響し、賃上げ傾向が続く可能性は高いと思われる」との見解を示している。

賃上げ対策「経費削減」「業務効率化」「価格転嫁」

賃上げ対策「経費削減」「業務効率化」「価格転嫁」

また同社は、直近3年以内に賃上げしたと回答した人に、そのためにどのような対策を実施しているか質問。「経費削減(54.2%)」「業務効率化(38.4%)」「価格転嫁(37.1%)」「賃上げ促進税制や業務改善助成金などの活用(31.8%)」が多く挙げられたことを報告した。

さらに、賃上げのために「価格転嫁している」と回答した人に、価格転嫁できた主な理由について質問。その結果、上位には「取引先との価格交渉(48.2%)」「業界全体での価格調整・理解促進(35.3%)」が並んだ。

賃上げしていない理由「価格転嫁できていない」「業績の低迷」

賃上げしていない理由「価格転嫁できていない」「業績の低迷」

次に同社は、直近3年以内に賃上げしていないと回答した人にその理由を質問。「価格転嫁できていない(46.3%)」「業績の低迷(40.1%)」「原材料価格の高騰(29.9%)」「経費削減ができていない(21.1%)」「業務効率化が図れていない(15.7%)」との回答が寄せられているという。

続いて、価格転嫁できていないと回答した人に理由を尋ねたところ「業界全体での価格調整・理解促進が進んでいない(37.9%)」「取引先との価格交渉が上手くいかなかった(32.2%)」「新商品や新サービスの開発ができていない(25.8%)」「消費者からの理解が得られない(24.1%)」といった回答になったことも報告した。

約2割が今後賃上げを予定も、賃上げ促進税制は約6割が「知らない」

約2割が今後賃上げを予定も、賃上げ促進税制は約6割が「知らない」

同社は、直近3年以内に賃上げしていないと回答した人に、今後の予定について質問。従業員の賃上げをする予定については「ある(19.7%)」「ない(40.9%)」「未定(39.4%)」という回答結果となっている。

また「賃上げを行う際、一定の要件を満たすと『賃上げ促進税制』が利用できることをご存じですか?」との質問には「知っている(37.6%)」「知らない(62.4%)」との回答となり、認知度はそう高くないことが明らかになった。

※賃上げ促進税制とは:青色申告書を提出する企業または個人事業主が、一定の要件を満たした上で前年度よりも給与等の支給額を増加させた場合に、その増加額の一部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度

まとめ

2023年12月に「令和6年度税制改正の大綱」が閣議決定され、その中で「賃上げ促進税制」の改正が明記されたが、本調査結果からはその認知度はそう高くない様子がうかがえる。特に、人材確保の意味で防衛的賃上げを実施する企業は、こうした制度について積極的な活用が望ましいと考えられる。経済産業省は6月中には「令和6年度改正税制のガイドブック」を公開する予定だ。併せて参考にしていただきたい。

参考:賃上げ促進税制(経済産業省)