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コンプライアンス教育に取り組む企業は約半数、違反発生率はやや減少傾向に インターワイヤード調査

2024.07.02

インターワイヤード株式会社(所在地:東京都品川区、代表:斉藤義弘)は「企業のコンプライアンス」についてアンケートを実施。2019年に実施した同調査と比較しながら、企業の内部通報制度や、コンプライアンス違反への行動などについてまとめた。報告は2回に分けて行うとしており、今回1回目として「教育・啓発活動」「内部通報制度」「違反実態」などを報告している。

調査概要

調査方法:インターネットを利用したアンケート調査
調査期間:2024年6月5日~6月7日
有効回答数:1263人
出典元:「企業のコンプライアンス」に関するアンケート(インターワイヤード株式会社)2024年調査
参照:「企業のコンプライアンス」に関するアンケート(インターワイヤード株式会社)2019年調査

教育・啓発活動実施率は約半数

教育・啓発活動実施率は約半数

本調査では、何らかのコンプライアンス教育・啓発活動を行っていると回答した人の割合は51.5%で、前回から約5pt低下したことが明らかになった。実施方法について、上位3つは前回同様の順位となっており「社内講習会・研修会の開催」「コンプライアンス違反事例の紹介」「通信教育やe-ラーニングの受講」が並んだ。

業界別の実施率については、トップと最下位ともに前回と変わらず。トップが「金融・保険業(85.7%)」で「飲食店・宿泊業(31.4%)」が最下位であったという。いずれも前回から低下がみられている一方で「製造業(60.4%)」「不動産業(53.4%)」は増加したこともわかった。

内部通報制度の有無は前回調査から変わらず

内部通報制度の有無は前回調査から変わらず

続いて本調査は、勤務先における内部通報制度の有無について質問。「あり」の回答は36.7%と、前回(38.8%)から大きな変化はなく、今回も「ない」または「知らない/分からない」という回答者の方が多いという結果となった。

なお、内部通報制度「あり」の割合は、従業員規模が大きいほど高い傾向であった。この傾向についても前回調査と同様の結果となっている。前回と比較して増加がみられたのは「(301人)~1000人」「3001人以上」の「知らない/分からない」の割合。同社はこの一因に、制度の周知不足もあると推察している。

業種別での「あり」の回答割合は「金融・保険業(67.9%)」がトップで、最下位は「飲食店・宿泊業(19.8%)」となっている。前回と比較して順位は変わらないというが、いずれも前回から大きく低下。特に「飲食店・宿泊業」では10pt近い低下となった。一方「運輸業」では前回の31.3%から10pt以上増加の42.5%となり、周知が進んだ様子がうかがえる。

内部通報制度を「信頼できる」「違反遭遇時に通報する」増加

内部通報制度を「信頼できる」「違反遭遇時に通報する」増加

本調査では次に、内部通報制度に対する考え方について質問。制度があると回答した人のうち71.8%が「内部通報制度の利用方法を知っている」と回答し、前回調査と同水準となった。「通報者保護」「通報内容への対処」に関する信頼感や「通報意向」について肯定的な回答は、いずれも約半数となっており、前回から5pt前後の増加がみられたという。

業種別では全般に「金融業」が高く「卸売・小売業」が低いことが明らかになっている。前回と比較した結果、利用方法認知度に関して大きく変化した業種はないというが、他の項目では「運輸業」に大きな向上がみられたと報告されている。

違反発生率は減少傾向

違反発生率は減少傾向

本調査結果によると、過去1年間でのコンプライアンス違反発生率は42.5%で、前回から4pt減少している。違反の種類としては、今回も前回同様に「パワハラ(17.5%)」と「サービス残業、仕事の持ち帰りを含む、時間外労働(14.2%)」が上位に並んでいるが、いずれも前回より減少がみられた。

従業員規模別で違反発生率が最も低かったのは「~300人(37.9%)」で、最も高かったのは「(1001人)~3000人(52.3%)」となっている。同社は、違反の種類で特徴的な傾向として、前回も今回も「3001人以上」で「セクシャルハラスメント」が1割を超えていることを指摘した。

業種別の違反発生率のトップは「国家公務員(66.7%)」で、次いで「金融・保険業(55.4%)」が続き、どちらも前回に比べて大幅に増加したという。業種別に違反の種類を見ると「パワハラ」は「金融・保険業」で特に多く「サービス残業、仕事の持ち帰りを含む、時間外労働」は「飲食店・宿泊業」で特に多いこともわかった。

コンプラ違反を受けた・見た人の行動「何もしない」がやや減少

コンプラ違反を受けた・見た人の行動「何もしない」がやや減少

また本調査では、コンプラ違反を受けた、見たときの行動についても質問している。回答の上位には「直属の上司などに報告した(20.7%)」「同僚に相談した(15.5%)」「違反者本人に、直接注意した(12.5%)」が並んだ。同社によれば、前回と比較して「何もしなかった」がやや減少(2019年42.1%→2024年39.9%)しているという。逆に「直属の上司などに相談した(14.3%→20.7%)」「専門部署に報告した(6.2%→10.4%)」ではやや増加がみられており、解決に向けた行動が増えているようだ。

男女別の傾向は前回と変わらず。「同僚や友人に相談した」割合は女性の方が高く「上司や専門部署に報告した」「違反者本人に注意した」といった直接的な働きかけは男性の方が多いという。

まとめ

2019年の前回調査から比較して、コンプライアンスに関する教育や啓発活動の実施率にはやや低下傾向がみられたものの、違反発生率は減少しており、違反を受けた・見た時に「何もしない」とする人も減少するなど、全体的に従業員の意識には良い変化が起きているようだ。

しかしながら、未だ違反発生率は全体で4割を超えており、企業規模や業種によっては半数を超える。コンプライアンスに関する教育や啓発活動は、今後も積極的に実施していく必要があるのではないだろうか。

帝国データバンクが実施した調査(※)によれば、コンプライアンス違反による倒産件数は年々増加しているという。社会的信用を失墜させ、倒産という事態をも引き起こしかねないコンプライアンス違反。改めて自社の取り組みを見直すきっかけとしていただきたい。

※出典元:コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2023年度)(株式会社帝国データバンク)