掲載希望の方 オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

上半期(1‐6月)「早期退職」実施の上場企業が前年同期の1.5倍に 対象人員は3.6倍の5364人 TSR調査

2024.07.05

株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、会社情報に関する適時開示資料』(2024年6月30日公表分まで)と独自調査に基づいて、2024年上半期(1-6月)上場企業「早期・希望退職募集」状況を分析し、報告した。

対象人数が前年同期の3.6倍に 3年ぶりに年間1万人を超えるか

対象人数が前年同期の3.6倍に 3年ぶりに年間1万人を超えるか

TSRによれば、2024年上半期(1-6月)に「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は36社(前年同期24社)で、前年同期の1.5倍に達しているという。対象人員も5364人(同1486人)と同3.6倍に大幅に増加。すでに2023年1年間の3161人を上回っており、TSRは3年ぶりに年間1万人超が現実味を帯びてきたとみている。

上場区分は東証プライムが25社(構成比69.4%)と約7割を占め、市場区分別の募集人数では、東証プライムが5205人と9割以上(構成比97.0%)を占める。また、損益別にみると黒字企業が21社(同58.3%)で約6割を占めており、人数では5126人と募集人数の9割以上(同95.5%)を占めた。有力企業が好業績のうちに構造改革に取り組む姿勢がうかがえる。

業種別にみると、最多は電気機器の9社(構成比25.0%)で、このうち、新たに募集が判明したシャープは堺ディスプレイプロダクトの工場停止、ソニーグループは傘下のブルーレイディスクなど記録メディア事業から順次撤退に伴う募集だったこともわかっている。 次いで「情報・通信業 7社(前年同期5社)」「卸売業 3社(同ゼロ)」「サービス業 3社(同2社)」が続いた。

TSRは、賃金上昇による固定費削減のほか、高い有効求人倍率と活発な転職市場を背景に、退職勧奨に応じやすいタイミングにあることも影響しているとの見解を示した。

出典元:上半期(1‐6月)上場企業の「早期退職」5,364人で年間1万人ペース、黒字企業が約6割(株式会社東京商工リサーチ)

まとめ

TSRの報告によれば、早期・希望退職は2020年(93社1万8365人)から減少傾向が続いていたが、2024年には大きく増加。2023年の年間(41社3161人)を上半期で上回り、2022年の年間(38社5780人)に迫っている。

早期退職制度の対象年齢は企業により異なるが、一般的には40〜50代のミドル世代が対象範囲となりやすい。少子高齢化が進む中でミドル世代の市場価値は高まっている昨今。スキルや経験が豊富なミドル世代は、管理職や専門性の高い職種での活躍が期待できる。働きやすい環境を整備すれば、大きな戦力ともなり得るだろう。

3年ぶりの1万人超えが見込まれている早期・希望退職募集。ミドル世代の採用を検討している企業には、絶好のチャンスとも言える。歴史的な円安、上昇する賃金、活発な転職市場などがどこまで影響をもたらすか、今後も注視したい。