経営レベルで防災対策を進めている企業は約3割 Laspy調査
株式会社Laspy(所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:藪原拓人)は、企業の総務担当者を対象に「防災対策」に関する調査を実施した。社会全体で災害に対する危機感が強まる中、企業の防災対策についても重要性が高まっていることから、企業の防災対策の現状と課題を調査・分析している。
調査概要
調査方法:インターネット調査
調査対象:企業の総務担当者(全国調査)
有効回答数: 213
調査実施日:2024年9月20日
出典元:株式会社Laspy
約3割が経営レベルで防災対策に取り組むも「特に指示や呼びかけはなかった」が最多
本調査ではまずはじめに、経営層からの防災対策に関する指示や対策強化の呼びかけの有無とその具体性について質問。「非常に具体的な対策強化の指示があった(12.7%)」「具体的な対策強化の指示があった(21.1%)」を合わせた33.8%の企業で具体的な指示が出されていることが明らかになった。
また「対策の見直しを促す呼びかけがあったが、具体的な指示はなかった(9.9%)」「指示は特にないが、防災対策の必要性は認識している(12.2%)」と、22.1%の企業では防災対策の必要性は認識されているものの、具体的な行動指示には至っていないことがうかがえる。
さらに「特に指示や呼びかけはなかった」という回答も44.1%)あり、経営層からの積極的な防災対策への関与が見られない企業も依然として多い実態も判明した。
実際に実施した対策は?
続いて本調査では、企業が2024年に入ってから具体的に実施した防災対策や災害対策について質問。最も多く実施された対策は「防災備蓄品(食料、水、医薬品、生活必需品など)の整備(43.2%)」で、備蓄品の確保が防災対策の第一歩となっている様子がうかがえる。
そのほかの上位回答には「社内での避難訓練や防災マニュアルの策定・整備(33.8%)」「緊急連絡網や安否確認システムの導入(26.3%)」「従業員向けの防災教育や研修の実施(20.7%)」が挙げられたという。
一方で「事業継続計画(BCP)の策定・見直し(16.4%)」「防災関連機器や設備の導入・強化(16.9%)」は、比較的低い割合となったことが報告された。
また、「特に対策を実施していない」という回答も39.4%あり、具体的な防災対策に取り組めていない企業の多さがわかる。
防災備蓄品の管理に課題感
最後に本調査は「今年に入ってから具体的に実施した防災対策や災害対策」において「防災備蓄品(食料、水、医薬品、生活必需品など)の整備」と回答した企業の総務担当者を対象に、防災備蓄品に関して直面している具体的な課題について質問している。
その結果、「特に課題は感じていない」という回答は13%にとどまっており、防災備蓄品の整備に取り組む企業の9割近くが何かしらの課題感を抱えているようだ。
最も多かったのは「備蓄品の保管スペースの確保が難しい」で、全体の50%を占めたという。次いで「備蓄品の管理や定期的な更新が行き届いていない(38%)」「コストの問題で十分な備蓄ができていない(35.9%)」が続いており、管理の複雑さや費用面での制約も課題となっているようだ。
また「備蓄品の選定に関して適切な判断ができていない(28.3%)」「備蓄品の使用期限切れや劣化(21.7%)」を挙げる企業も一定数見られている。
まとめ
いつどこで起こるかわからない災害に対して、企業がどのように備えていくか、全社的な取り組みを実施していく必要がある。一方で、企業における防災対策の重要性について、経営層の意識にはばらつきがあるようだ。企業活動の継続のためにも、経営層は早急に防災対策への指針を取りまとめていくべきだろう。
また、本調査で防災対策の第一歩となっている様子が見られた備蓄品の整備には、多くの企業が課題感を抱えている実態も明らかになった。災害発生直後の従業員の安全確保において重要な防災備蓄品をどのように整備・管理していくか、改めて検討する機会としていただきたい。