2024年11月1日施行の「フリーランス新法」建設事業者の対応状況は？　労災センター共済会調査

労災センター共済会（本社：東京都江東区、代表：齊藤学）は、一人親方に発注をしている建設事業者102名を対象に、建設事業者のフリーランス新法施行に関する実態調査を実施した。ここではフリーランス新法に関する基本的な情報と、調査結果の概要についてお伝えする。

調査概要

調査名称：建設事業者のフリーランス新法施行に関する実態調査
調査方法：IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
調査期間：2024年7月2日〜7月3日
有効回答：一人親方に発注をしている建設事業者102名
出典元：労災センター共済会
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはならない

フリーランス新法とは？

発注事業者（企業）との取引の適正化と、フリーランスの就業環境整備を目的に創設された「フリーランス・事業者間取引適正化等法（通称：フリーランス新法）」。2024年11月1日から施行され、発注事業者からフリーランスへの「業務委託（事業者間取引）」が適用対象となる。

この法律における「フリーランス」とは、業務委託の相手方である事業者で、従業員を使用しないものを指し、従業員を使用している場合や消費者を相手に取引を行う場合は該当しない。

法律には、業務内容や報酬額などについて書面による取引条件の明示や、育児介護等業務両立への配慮の義務化などが盛り込まれており、労働法の保護を受けられなかった部分について従業員に近い保護が与えられることになる。

出典元：フリーランスの取引に関する新しい法律が11⽉にスタート︕「フリーランス・事業者間取引適正化等法」が2024年11⽉1⽇に施⾏されます。（中小企業庁）

7割強が知らない「フリーランス新法」

本調査によると「Q1.あなたは、2024年11月から施行される『フリーランス・事業間取引適正化等法』（通称：フリーランス新法）について知っていますか。」との質問に「はい」と回答したのはわずか29.4%。70.6%が「いいえ」と回答したという。

なお、フリーランス新法を認知している建設事業者では、73.3%がフリーランス新法の施行に向けて社内準備を始めていることもわかった。具体的には「発注時の手順やルールの見直し（77.3%）」「業務委託内容の確認（45.5%）」「発注の様式や契約書の雛形の見直し（45.5%）」などに取り組んでいるようだ。

また、一人親方に業務委託してきた中で「委託業務内容や報酬の支払いなどに関する契約内容が明文化されず、『口約束』が行われたことがある」と回答した人は「頻繁にある（26.5%）」「時々ある（21.6%）」「たまにある（19.6%）」と、合わせて約7割となっている。

新法の施行による業務の負担は？

さらに本調査では、フリーランス新法を認知している人では「Q6.あなたは、フリーランス新法の施行により一人親方への業務発注に関わる業務負担が増えると思いますか。」との質問への回答が「非常にそう思う（23.3%）」「ややそう思う（46.7%）」となり、7割の人が懸念している状況にあることが判明。

具体的には「契約書の作成（71.4%）」「契約内容の確認作業（57.1%）」「支払い条件の取り決め（28.6%）」「一人親方への説明や合意の取得（28.6%）」「社内の調整や承認手続き（28.6%）」などについて負担増加を見込んでいるようだ。

一方で「Q8.フリーランス新法の施行は、業務委託上のトラブルを避け健全な契約関係を維持するために事業者と一人親方双方にとって重要な法律だと思いますか。」との問いには「非常にそう思う（30.0%）」「ややそう思う（53.3%）」と、8割以上が肯定的な姿勢を示した。

まとめ

本調査において、フリーランス新法の認知度が低く、施行までおよそ3カ月となった現時点において、わずか3割しか認知していない実態が明らかになった。一方で、認知している事業者ではその準備は着々と進んでいるようだ。業務負担の増加を懸念する人も多いが、その重要性についても認識していることが明らかとなった。

オフィスのミカタでは新法の施行に向けて人事労務担当者が押さえるべきポイントについて、わかりやすくまとめている。ぜひ参考にしていただきたい。

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