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SDGsに積極的な企業が過去最高の54.5%に「企業イメージ向上」など7割が効果実感 TDB調査

2024.07.26

帝国データバンク(以下:TDB)が、SDGsに関する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2024年6月調査とともに行ったものである。ここでは調査結果の概要をお伝えする。

目標達成期限は2030年 取り組みの実態を明らかに

持続可能な世界を実現するための17の目標・169のターゲットから構成され、SDGsへの取り組みは、目標達成期限である2030年を目前に控えている。

こうしたなか、政府はSDGsを達成するための中長期的な国家戦略である「SDGs実施指針」について、2023年12月に4年ぶりの改定を実施。同指針では、社会課題の解決を通じて事業性を高める企業等への支援の強化など民間企業に関わる内容も多く、官民を問わずに国全体としてSDGsの目標達成に向けて力を入れている政府の姿勢が示されている。

そこで、帝国データバンクは現在のSDGsに関する企業の見解について調査を実施。企業の取り組みの実態を明らかにした。

調査概要

調査期間:2024年6月17日~30日
調査対象:全国2万7159社
有効回答企業数:1万1068社(回答率40.8%)
出典元:SDGsに関する企業の意識調査(2024年)(帝国データバンク)

積極的に取り組む企業が過去最高の54.4%

積極的に取り組む企業が過去最高の54.4%

TDBによれば、自社におけるSDGsへの理解や取り組みについて「意味および重要性を理解し、取り組んでいる」企業は29.7%となり、前年より2.3ポイント上昇したという。また「意味もしくは重要性を理解し、取り組みたいと思っている」は24.8%で同1.4ポイント低下。合計すると『SDGsに積極的』な企業は0.9ポイント増の54.5%となり、TDBは調査開始以降で最高水準を更新したことを報告している。ただし、上昇幅は前年に続き鈍化しているという。企業からは人材確保や取引先との関係強化を目的に取り組んでいるとの声が寄せられているようだ。

一方で「言葉は知っていて意味もしくは重要性を理解できるが、取り組んでいない(33.5%)」「言葉は知っているが意味もしくは重要性を理解できない(7.4%)」と、SDGsを認知しつつも取り組んでいない企業も40.9%存在している。

企業規模別にみると「大企業」ではSDGsに積極的な企業が71.8%と、全体を大幅に上回っている。「中小企業」では51.2%、うち「小規模企業」では42.9%と、規模が小さいほどSDGsに積極的な企業の割合が低くなる傾向が続いていると報告された。

業界別では「金融(66.4%)」「農・林(64.4%)」「製造(61.9%)」が上位となったことも明らかになった。

現在力を入れている項目と今後力を入れたい項目「働きがいも経済成長も」がトップ

現在力を入れている項目と今後力を入れたい項目「働きがいも経済成長も」がトップ

TDBは続いて、SDGs17の目標のなかで、現在力を入れている項目について質問。働き方改革や労働者の能力向上などを含む「働きがいも経済成長も」が34.0%で最も高かったという。また、大幅な上昇が見られたのは、近年政府が注力している女性活躍推進などを含む「ジェンダー平等を実現しよう(14.6%)」で、前年比2.4ポイント増であった。

本項目への回答から、総じて72.8%が「いずれかのSDGs目標に力を入れている」ことがわかっており、TDBは「SDGsに取り組んでいない」などと回答した企業であっても、気付かないうちにSDGsに取り組んでいる企業が多数あると報告している。

さらにTDBは「今後、最も取り組みたい項目」についても調査。現在最も力を入れている項目と同様に「働きがいも経済成長も」が11.8%でトップ、全項目のなかで唯一1割を超えたことが報告されている。次いで「エネルギーをみんなにそしてクリーンに(7.3%)」「気候変動に具体的な対策を(6.9%)」が上位に並んだ。

企業の7割が効果を実感「企業イメージの向上」「従業員のモチベーションの向上」

企業の7割が効果を実感「企業イメージの向上」「従業員のモチベーションの向上」

TDBは次に、現在SDGs各目標に力を入れている企業に取り組みによる効果を質問。その結果『効果を実感』している企業の割合は前回調査(69.2%)から0.3ポイント増の69.5%となったことがわかった。

具体的な効果としては「企業イメージの向上(39.8%)」「従業員のモチベーションの向上(32.9%)」「経営方針等の明確化(17.8%)」「採用活動におけるプラスの効果(16.7%)」などが多いようだ。

また「売り上げの増加」が11.6%、SDGsをビジネスチャンスとして捉える「新規事業立ち上げ、新商品・サービス開発」につながった企業が8.1%あることも判明。TDBは「SDGsへの取り組みは社会課題の解決への貢献だけでなく、ビジネスチャンスの獲得、ひいては業績の改善にも結びついている可能性が示された」とコメントしている。

4社に1社が積極的に取り組む「DEI(多様性、公平性、包摂性)」

4社に1社が積極的に取り組む「DEI(多様性、公平性、包摂性)」

TDBはSDGsとの関連が深い「DEI (Diversity=多様性、Equity=公平性、Inclusion=包摂性)」という考え方・取り組みへの注目度が高まりつつあることに着目。自社におけるDEIへの理解や取り組みについて質問した結果「意味および重要性を理解し、取り組んでいる(8.8%)」「意味もしくは重要性を理解し、取り組みたいと思っている(16.6%)」と、約4社に1社となる25.4%が『DEIに積極的』であることが判明した。

一方で、「言葉は知っていて意味もしくは重要性を理解できるが、取り組んでいない(26.6%)」「言葉は知っているが意味もしくは重要性を理解できない(9.8%)」「言葉も知らない(23.6%)」との回答も多い。なお、SDGsと同様に企業規模が小さいほど『DEIに積極的』な割合が低い傾向にあるという。

まとめ

本調査では、SDGsに積極的に取り組む企業が調査開始以降で過去最高水準を記録したことが報告されている。さらに、効果を実感する企業は約7割にも及び、特に「企業イメージの向上」や「従業員のモチベーションの向上」など、非財務面での企業価値向上に関して効果を感じる企業が多いようだ。

一方で、企業規模が小さくなればなるほど、SDGsに積極的な企業の割合は低くなり、大企業と小規模企業とでは30pt近い差が開いている。社会全体でSDGsの目標達成を実現させるためには、中小企業の取り組みをサポートする態勢の強化が重要となりそうだ。

そうした中でTDBは中小企業に向けて、身近で、気軽にできることから取り組んでいくことを推奨した。中小企業経営者の課題解決をサポートする「J-Net21」では、SDGs達成に貢献する中小企業の先進事例などが紹介されている。併せて参考にしていただきたい。

中小企業のSDGs活用事例・取り組み 中小企業とSDGs(J-Net21/独立行政法人中小企業基盤整備機構)