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「過労死等の防止のための対策に関する大綱」変更が閣議決定 過労死ゼロ実現を目指す

2024.08.05

厚生労働省は2024年8月2日、昨年11月から開催してきた「過労死等防止対策推進協議会」でまとめた「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の見直し案が、閣議決定されたことを発表した。

社会情勢の変化などを踏まえて3度目の変更

厚生労働省は、過労死等の防止のための対策を効果的に推進するために、過労死等防止対策推進法に基づいて「過労死等の防止のための対策に関する大綱」を策定している。この大綱は、社会経済情勢の変化や過労死等をめぐる諸情勢の変化、対策の推進状況等を踏まえておおむね3年をめどに見直しが行われており、今回の見直しは2021年に続く3回目の変更となる。

また、策定及び見直しにあたっては「過労死等の当事者代表者、労働者代表者、使用者代表者、専門的知識を有する者を委員とする過労死等防止対策推進協議会の意見を聴く」としており、今回は2023年11月から2024年6月まで4回にわたって同協議会を開催して取りまとめた見直し案となる。

過労死等の防止に関する現状と課題

今回発表した概要で厚生労働省は、2014年に過労死等防止対策推進法が成立して以降、働き方改革等の取り組みが進められ、長時間労働の雇用者割合が減少し、有給休暇の取得率が増加するなど、一定の成果がみられているとした。また、2024年4月には時間外労働の上限規制が建設や自動車運転、医師などの業界にも適用となり、過労死等防止の機運は高まってきているという認識も示されている。

だが、その一方、過労死等事案による労災請求・支給決定件数は増加傾向にあるとして、長時間労働対策だけでなく、メンタルヘルス対策やハラスメント防止対策の重要性が増していると指摘。さらに、働き方の多様化が進む中で、フリーランス等の就労実態や健康の確保などにも目を向けるべきという考えを示している。

大綱変更案の4つのポイント

厚生労働省は上記のような現状と課題を受け、今回の変更のポイントとして下記の4つを掲げている。

大綱策定10年を振り返り、さらなる取り組みを推進
2025年に大綱の策定から10年の節目を迎える。そこで、この間の調査研究や取り組みの成果を振り返り、今後の対策について更なる検討を重ね、推進する。

上限規制の遵守徹底、過労死等の再発防止指導、フリーランス等対策を強化
2024年4月に全面適用となった時間外労働の上限規制について、遵守を徹底させるほか、過労死等を繰り返し発生させた企業に対して再発防止の指導を強化する。さらに、フリーランス・事業者間取引適正化等法の施行後の履行確保などの取り組みを推進する。

業種やハラスメントに着目した調査・分析を充実
過労死等事案に関して、ハラスメント防止措置の状況についても収集・分析を実施。また、重点業種等に芸術・芸能分野が追加。

国以外も含めた関係者による取り組みを推進
業種別のカスタマーハラスメント対策の取り組みを支援するほか、事業主が従業員に向けて労働関係法令の研修等を実施していくこと、労働組合が労働関係法令が職場で適切に運用されているか定期的に確認することを推進する。

出典元:「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の変更について(厚生労働省)

まとめ

過労死をゼロにすることを目指し、厚生労働省は今後もさまざまな対策の強化・推進に取り組んでいくという。企業としても従業員が安心して働き続けられる環境の整備に、より一層の注力が求められるだろう。