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8月の全国企業倒産は前年同月比4.8%減 物価高倒産は低水準も人手不足の深刻さ増す TSR調査

2024.09.10

株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、2024年8月度の全国企業倒産(負債額1000万円以上)に関する集計を実施。件数が723件(前年同月比4.8%減)で、負債総額は1013億7000万円(同6.4%減)となったことを公表した。ここでは全体の動向と、同日に発表されたTSRによる「物価高」倒産、「人手不足」関連倒産に関する結果を合わせてお伝えする。

年間1万件超えの可能性続くも、8月は29カ月ぶりの減少

年間1万件超えの可能性続くも、8月は29カ月ぶりの減少

TSRの発表によれば、2024年8月度の全国企業倒産(負債額1000万円以上)は、件数が723件(前年同月比4.8%減)で、負債総額は1013億7000万円(同6.4%減)となっている。件数としては4カ月ぶりの700件台で今年3番目の少なさだという。2022年4月から前年同月を上回る記録が続いていたが、歴代3番目の長さとなる28カ月間でストップした形となった。

負債総額は8月度としては3年連続での1000億円超えとなったものの、2カ月ぶりに前年同月を下回った。負債1億円未満が550件で76.0%を占めており、小・零細企業を中心に推移していることがうかがえる。

また、産業別の分析では「運輸業(前年同月比32.4%減)」「建設業(同22.9%減)」「製造業(同11.2%減)」など、5産業で前年同月を下回っていることが報告された。

出典元:全国企業倒産状況(株式会社東京商工リサーチ)

「物価高」倒産と「人手不足」関連倒産の状況

「物価高」倒産と「人手不足」関連倒産の状況
1-8月の「人手不足」関連倒産と、「人手不足」関連倒産推移(TSR調べ)

「物価高」に起因する倒産について見ると、2024年8月は46件(前年同月比22.0%減)で、今年2番目に低い水準を記録している。負債総額は149億3100万円(同31.7%減)で、件数・負債ともに6月以来、2カ月ぶりに前年同月を下回ったという。1-8月の累計は490件(前年同期比16.6%増)で、負債総額は1527億2000万円(同55.6%減)となった。

「人手不足」関連倒産については、2024年8月は前年同月と同件数の16件。1-8月の累計は194件と、前年同期の約1.9倍に急増。既に年間で過去最高を記録していた2023年の158件を超えており、2024年は200件を超えることが確実となった。1-8月の内訳としては「求人難:81件(前年同期比92.8%増)」「人件費高騰:65件(同91.1%増)」「従業員退職:48件(同92.0%増)」と、全ての要因が年間最多を更新。企業規模による賃上げ格差も広がる中、中小企業の人材確保が事業継続に大きな影響をもたらしていることがうかがえる。

出典元:8月の「物価高」倒産 46件 今年2番目の低水準、2カ月ぶりに前年同月を下回る(株式会社東京商工リサーチ)
出典元:8月の「人手不足」関連倒産16件 1-8月累計194件、初の年間200件超え確実(株式会社東京商工リサーチ)
※「物価高」倒産、「人手不足」関連倒産それぞれの抽出方法等に関しては出典元を参照

まとめ

全体としての倒産件数は前年同月と比較して減少した2024年8月だが、1-8月の「人手不足」関連倒産が急増している状況は見逃せない。特に中小企業においてはより一層厳しい状況に置かれていることが推察される。

事業を継続していくためには、自社の倒産リスクがどこに潜んでいるか冷静に判断し、常に改善に取り組んでいくことが必要だろう。定期的に全国の倒産動向をチェックしつつ、自社の取り組みにを改めて検討する機会としてみてはいかがだろうか。

参考:倒産データ分析(株式会社東京商工リサーチ)