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ビジネスケアラーへの支援制度「充分」と考える企業は約1割 マイナビ調査

2024.09.30

株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)ウエルネス推進事業本部は、民間企業の人事・労務関連業務の担当者を対象に初めて実施した「マイナビ 企業におけるビジネスケアラー支援 実態調査」の結果を発表。支援制度の現状や課題を明らかにした。

※ビジネスケアラーとは:仕事をしながら家族を介護する人のこと

調査概要

「マイナビ 企業におけるビジネスケアラー支援 実態調査」
調査期間:2024年7月12日~7月14日
調査方法:インターネット調査
調査対象:民間企業で人事・労務業務に携わる20歳以上
調査機関:マクロミル
有効回答数:618名
出典元:「マイナビ 企業におけるビジネスケアラー支援 実態調査」を初めて発表(株式会社マイナビ)
※調査結果は、端数四捨五入の都合により合計が100%にならない場合がある

「育児・介護休業法」改正内容の理解度は6割未満

「育児・介護休業法」改正内容の理解度は6割未満

本調査ではまず、2025年4月に施行される「育児・介護休業法」の改正について質問。認知度は9割以上となったものの、改正内容を理解している割合は54.9%にとどまったことが報告された。

次に本調査では、改正される育児と介護に関する3項目(※1)について自社の制度が整備されているか質問している。その結果「介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度強化」が「本公布の前から制度化されていた(26.5%)」と「本公布に対応し制度化(22.3%)」は合計48.8%と半数未満であったという。「子の年齢に応じた柔軟な働き方の拡充」においては同回答の合計が59.0%と6割近くに迫っており、ビジネスケアラー支援の取り組みは対応に遅れが出ている様子がうかがえる。

※1:①子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充
②育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化
③介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等

ビジネスケアラーへの支援と介護への理解、検討のきっかけは?

ビジネスケアラーへの支援と介護への理解、検討のきっかけは?

また、本調査では「ビジネスケアラー」への支援制度に関する企業の対応状況を尋ねている。その結果「既に支援制度があり内容も充分である」と答えたのは11.5%で、「支援制度があるが見直しが必要(24.4%)」「制度は整備されておらず、早急に対策に取り組むべきだと思う(25.6%)が合わせて半数となったことが報告された。

支援制度や取り組みの具体的な内容を尋ねる項目では「介護を行う社員の状況に合わせ、勤務時間の調整ができる(フレックス・時短勤務等)(45.5%)」「介護休暇・介護休業の取得の流れを社内に周知している(41.9%)」「介護を行う社員の状況に合わせ、柔軟にテレワーク・リモートワークができる(38.5%)」が回答の上位に並んでいる。

また、ビジネスケアラーへの支援や介護への理解の促進を検討するきっかけとして多く挙げられたのは、「介護を行う社員が増えた場合(43.0%)」「従業員ニーズが高ければ(35.8%)」「介護離職が増えた場合(31.9%)」などで、課題が顕在化してから取り組みたいと考える企業が多いことが示される結果となった。

まとめ

2025年には国民の5人に1人が後期高齢者となり、日本社会の高齢化は進展している。そうした中で経済産業省は、仕事と介護の両立困難に起因する労働生産性低下等に伴う経済損失が、2030年に約9.2兆円になるとの試算(※2)を発表しており、介護両立困難が企業活動に与える影響は年々増していく見込みだという。

一方で本調査では、ビジネスケアラーへの支援の取り組みに遅れが出ていることや、多くの企業が課題が顕在化してから取り組みたいと考えている実態が明らかになった。担当者においては、前述の2025年4月の育児・介護休業法改正に関する理解度を高めたうえで、早急な対応に取り組んでいく必要があるのではないだろうか。

経済産業省は、介護両立支援を進めるための課題として「介護保険外サービスに十分リーチできていないこと」「企業における従業員情報の把握に格差があること」「社会全体として介護に関するリテラシーが低く、当事者になるまで介護の実態に触れる機会が限られ、職場等で介護の話題が出しづらいこと」の3つを挙げている。これらも念頭において、今一度自社での取り組みについて見直す機会としていただきたい。

※2:介護政策(経済産業省)