2024年冬のボーナス、“理想と現実”に約37万円のギャップ　マイナビ調査

株式会社マイナビ（本社：東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員：土屋芳明）は、20〜50代の正社員のうち2024年10月に転職活動を行った人と今後3カ月で転職活動を行う予定の人、計1369人を対象に「2024年冬ボーナスと転職に関する調査」を実施。調査結果をまとめ、公開した。

調査概要

調査期間：2024年11月1日～11月4日
調査対象：
・スクリーニング調査：従業員数3名以上の企業に所属している全国の20～50代の正社員
・本調査：上記のうち、前月転職活動を行った人、今後3カ月で転職活動を行う予定の人（3カ月以内に中途入社した人を除く）
調査方法：外部パネルによるインターネット調査
有効回答数：スクリーニング調査 3万1924件／本調査 1369件
出典元：【2024年冬ボーナス調査】冬ボーナスの理想と現実 ～フィードバックの重要性～（株式会社マイナビ）

約半数が「賞与が少ない」を理由に転職経験。理想の賞与額は？

本調査結果を見ると、賞与が少ないことを理由に転職をしたことがある人は49.2％（「1番大きな転職理由だった（21.4%）」＋「1番ではないが転職理由だった（27.8%）」）となっている。転職理由となった人の賞与の平均額は30.8万円で、20代では「1番大きな転職理由だった（30.6％）」がほかの年代と比べて高い傾向にあることも報告されている。

また、回答者が今年予想している冬の賞与額は平均50.4万円で、生活に必要最低限だと思う冬の賞与額は平均53.7万円だという。さらに、自分の仕事に見合う理想の賞与額は平均87.3万円となり、予想と理想の賞与額の差は36.9万円と大きく開いている。

今年の冬の賞与額について「物価高を考慮した額で支給されると思うか」との質問には「そう思わない（32.7％）」「あまりそう思わない（28.7％）」と、6割以上が賞与額に物価高が考慮されないと考えていることも明らかになった。

2人に1人以上が前年もらった冬の賞与額に不満

続いて本調査では、前年もらった冬の賞与額に納得感があるかどうかを質問。「納得していない」は51.3％（「あまりそう思わない（29.0％）」＋「そう思わない（22.3％）」）となり、半数を超えたという。直近の評価に対する納得感についても、「納得していない」は56.1％（「あまりそう思わない（31.9％）」＋「そう思わない（24.2％）」）で、半数以上に。同社はこれら2つの値には0.736の強い相関（※）が見られるとして、賞与に納得していない人は評価にも納得してない傾向にあると報告している。

賞与額への納得感がない理由としては「評価へのフィードバックがない」「正当に評価されていない」などの回答が目立つ。一方で、納得感があると答えた人の理由では「上司からのフィードバックに納得感があった」「会社の業績についての説明がきちんとあった」などが寄せられており、フィードバックや説明の重要性が示唆された。

※2種類のデータ間の関連性（相関関係）の強さを示す指標で「1」「−1」に近いほど相関関係は強くなり、「0」に近いほど相関関係がないと判断されている

賞与額に対するフィードバックは「ない」が52.6％

同社は、評価制度で個人に差をつける場合について、全員が納得する評価を下すことは非常に困難であるとの考えを示しながらも、本調査では「説明の場」を設けることで納得感が生まれているケースが見られたため、「賞与の納得感」と「フィードバックの有無」についての関係を調査した。

「賞与額に対するフィードバック」の有無について、「フィードバックも結果の共有もない（32.5％）」「簡易的なフィードバックがある（28.5％）」が上位に。「フィードバックがない」と答えた人は52.6％（「フィードバックはなく、結果のみ知らされる（20.1％）」＋「フィードバックも結果の共有もない（32.5％）」）で、多数派となったことが報告された。同社によると「賞与の納得感」と「フィードバックの有無」の相関係数は0.504となり、フィードバックの有無は賞与への納得感に影響していると考えられる。

また「賞与の納得感」と「賞与額」についての相関係数は0.175とほぼ無関係であり、賞与額が高ければ納得感も高いというわけではないようだ。

まとめ

今回の調査結果を見ると、「賞与が少ない」ことを理由に転職した（する）人も多いようだが、賞与額と納得感には相関関係がほとんどないことも明らかにされている。納得いくフィードバックや説明を受けた上での支給であれば、その金額に対する感覚も変わるのかもしれない。

企業は原資の確保はもちろんのこと、適正な評価やそれに対するフィードバックの体制を整え、従業員の賞与に対する納得感を高める取り組みに注力していく必要がありそうだ。