約半数の企業が「指導のばらつき」に課題感。OJT実施状況の実態と課題が明らかに アルー調査
社会人向け教育サービスの提供を行うアルー株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:落合文四郎)は、OJTの実施状況と課題についてアンケート調査を行った。OJTはこのように社員にとっても企業にとっても有効な教育方法であるものの、期待する育成効果が十分に得られていないケースもあるとして、本調査が実施された。
調査概要
データ収集期間:2024年11月7日~2024年11月8日
データ収集方法:アンケート
回答者数:417
出典元:OJTの実施状況と課題 実態調査レポート(アルー株式会社)
OJTの実施状況 従業員規模により実施期間に差
まず本調査でOJTの実施状況について尋ねたところ、70%以上の企業でOJTが行われていることがわかったという。
一方、OJTを実施する期間について企業規模による差がみられている。従業員数3000名以上の企業では、3カ月以上の期間を設けている企業が60.0%を超える一方で、従業員数3000名未満の企業では、3カ月以上の期間を設けている企業は40.0%程度にとどまった。
OJTの対象社員については、新卒入社1年目社員を対象にしている企業が多く、78.4%と8割近くに迫っている。新卒入社3年目社員を対象にする企業は25.9%と4社に1社程度で、中途採用者へのOJTを実施している企業は43.8%であることも報告されている。
OJT教育の課題、トレーナーへの研修・支援は?
OJT教育の課題について本調査結果を見ると、どの従業員規模の企業でも5割以上が「課題がある」と感じていることがわかる。また、従業員数1万名以上の企業ではその傾向がより強く、76.9%が「課題がある」と感じていることも判明した。
具体的な課題点としては「OJTトレーナーの指導にばらつきがある(49.7%)」が最も多く、約半数の企業が課題に感じているという。次いで「OJTトレーナーが業務過多になった(37.6%)」「新入社員の成長度合いにばらつきが生まれた(34.4%)」が上位に挙げられている。
なお、OJTトレーナー向けの研修や支援について、81.3%が「実施している」と回答したという。具体的には「OJT開始前のOJTトレーナー研修」「OJTマニュアルの作成」「OJT期間中のOJTトレーナーのフォロー」の3つが約4割となっている。
また、OJT教育の改善策として実施、実施予定の施策には「職場ぐるみで育成する文化作り(38.1%)」「OJTトレーナー研修の改善(35.5%)」「目標設定・評価の仕組みの見直し(33.4%)」などが多く挙げられたことがわかった。
まとめ
本調査結果を見ると、OJTの内容よりもトレーナー側に関する課題の方が多い状況にあるようだ。トレーナー向けの研修や支援は多くの企業が実施しているものの、その成果が十分に得られていないと推察される。
トレーナーには物理的・心理的に負担がかかりやすいため、トレーナーに対しては組織としてのサポート体制が重要となる。トレーナーが必要なスキルを習得するサポートや、進捗管理等の効率化など、改めて十分なフォローができているか確認するといいだろう。