冬のボーナス、支給額が増加する企業は微減傾向 TDB調査
帝国データバンク(以下:TDB)は2024年冬季賞与の動向について調査を実施した。2024年の春闘では、大企業の満額回答が多く見られたが、中小企業には厳しい状況がうかがえた。賃上げが十分に追いつかないまま物価上昇が進み、家計の節約志向が高まっている。そうした中、2025年の景気回復につながる年末商戦において、冬のボーナスへの注目度が一層高まっているという。そこでTDBは本調査を実施し、2024年冬のボーナスの実態を明らかにした。
調査概要
調査期間:2024年11月18日~11月30日
調査対象:全国2万6880社
有効回答企業数:1万939社(回答率40.7%)
出典元:2024年冬季賞与の動向調査(帝国データバンク)
冬季賞与が前年より「増加」する企業は23.0%に微減
TDBによると、2024年の冬季賞与(ボーナス、一時金、寸志など含む)の従業員1人当たり平均支給額について「賞与はあり、増加する(した)」企業は23.0%であったという。前年(24.1%)から1.1ポイントの微減となったことが報告された。一方で「賞与はない」企業は12.8%で、中でも「繊維・繊維製品・服飾品小売」は47.7%と突出して高く、ほぼ半数の企業が賞与を支給しない状況にあることが判明している。
また、業界別の動向をみると「金融」「建設」「製造」の3業界において冬季賞与が「増加」する割合が2年連続で高まったことがわかる。2024年問題に直面し人材確保が課題となっている「運輸・倉庫」では、前年(22.5%)より8.4ポイント上昇し、唯一3割を超える結果となったことも報告された。
なお、冬季賞与が2年連続で増加する企業は12.0%で、前年から1.7ポイント上昇している。
増加の要因についてTDBのレポートを見ると、旅館や一般乗合旅客自動車運送などでは好調な業績が要因となっている一方で、ソフト受託開発や一般貨物自動車運送からは人材不足というネガティブな要因も挙げられていることがわかる。
まとめ
冬のボーナス支給額の増加についてはポジティブな要因ばかりとは言えず、増加する企業の割合も微減傾向であることから、厳しい状況が続いている企業も少なくないと推察される。しかし、景気回復に向けて節約志向の高まりを止める上でもボーナスの支給額増加に期待が寄せられる。企業はボーナスを支給するための原資を確保すべく、経営改善に努める必要がありそうだ。
2025年以降には飲料食品など生活必需品の値上げも続くと予想されている。いかに消費を活性化させるか、ボーナスの支給額を含め、賃上げの動向に引き続き注目したい。