企業のリスキリング施策実施率は約40%を維持 Reskilling Camp調査

パーソルイノベーション株式会社 Reskilling Camp Company(本社:東京都港区、Reskilling Camp Company代表:柿内秀賢)が展開する、リスキリング支援サービス『Reskilling Camp(リスキリング キャンプ)』は、全国の企業に勤務する人を対象に「リスキリング施策」に関する定点調査を四半期ごとに実施している。9回目となる今回は、定点観測に加え、リスキリングにおける失敗事例や、生成AIの業務活用における課題などを調査した。
※調査でいうリスキリングとは「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義
調査概要
調査手法:インターネットリサーチ Fastask(株式会社ジャストシステム提供)でアンケート調査を実施
調査対象:全国の企業にお勤めの方
調査期間:2025年1月30日~2025年2月4日
対象人数:600
企業属性:大企業 従業員数が300人以上の企業/中小企業とスタートアップ 従業員数が300人未満で、新規事業開発と成長を経営の主軸に置かない企業と従業員数が300人未満で、新規事業開発と成長を経営の主軸に置く企業で大企業の子会社やグループ会社は含まれない
※製造業:電子部品・デバイス・電子回路製造業、情報通信機械器具製造業、電気機械器具製造業(上記に含まれないもの)、その他製造業
※通信情報サービス:通信業、情報サービス業、その他の情報通信業
出典元:パーソルイノベーション株式会社『Reskilling Camp』
リスキリング施策の実施率は約40%を維持

本調査ではまずはじめに、所属企業において「直近1年の間で、従業員のリスキリング施策に関する取り組みを行いましたか︖」と質問。その結果「実施した」との回答は、前回調査時の41.8%に比べ0.1PT減少し、今回は41.7%となっている。これについて同社は、2023年の調査以来継続して約40%の傾向を維持していると解説した。
企業規模別でみると、大企業では「実施した」との回答が63.3%となり、前回に比べ0.3PTの上昇となっている。中小/スタートアップ企業では、33.4%で前回より1.5PT上昇したという。
なお、業種別の実施率は「製造業/61.8%」「情報通信サービス業/28.5%」「その他/37.9%」と報告された。
リスキリングで重視するスキル

続いて本調査では、所属企業が取り組むリスキリング施策において、重視されるスキルが何か質問。全体の上位には「データ活用(38.6%)」「AI活用(ChatGPT等)(34.1%)」「セキュリティ(32.2%)」「ITプロジェクトマネジメント(30.7%)」「クラウド活用(30.0%)」が挙げられている。
企業規模別では大企業の上位は「データ活用(40.5%)」「AI活用(ChatGPT等)(39.7%)」「ITプロジェクトマネジメント(37.4%)」となったのに対し、中小/スタートアップ企業の上位は「データ活用(38.5%)」「セキュリティ(29.2%)」「AI活用(ChatGPT等)(29.2%)」「ITプロジェクトマネジメント(25.4%)」だったという。
リスキリング施策実施企業の70%以上が成果を実感

さらに本調査では、所属企業が取り組むリスキリング施策において、成果実感について質問しており「大きな成果が実感できた/12.4%(前回16.0%)」「成果を実感できた/59.2%(前回55.0%)」と、71.6%がリスキリング施策の成果を感じていることが判明した。
一方で、リスキリング施策の失敗例について「従業員任せになり、成果に繋がらなかった(38.2%)」「研修・学習内容が実務にマッチしていなかった(35.6%)」「会得したスキル・知識を実践する場がなかった(31.8%)」という声も寄せられている。
生成AI(ChatGPT等)の業務活用における課題も浮き彫りに

次に本調査では、所属企業での生成AI利用における公式環境が用意されていると回答した人を対象に、活用の頻度について質問。約半数が1週間に1回以上業務活用していることが明らかになったという。
一方で、業務活用する上での課題としては「検索エンジンと似た使い方が主で活用効果を実感できていない(45.0%)」「業務プロセスに組込む方法がわからない(30.9%)」「生成AIの回答内容が低精度で役立たない(29.8%)」などが挙げられている。実務において効果的な活用に向けた理解と導入に対する障壁を抱えているようだ。
まとめ
リスキリングの実施率に大きな変化はみられなかったものの、継続して約4割の企業が取り組んでいる実態が明らかに。その中で成果実感を得られている人も多いが、失敗例の1位には「成果に繋がらなかった」との声も挙げられており、実施した先のゴール設定や育成戦略等に課題感があることも判明している。
生成AIについても、約半数が1週間に1回以上生成AIを業務活用しているにも関わらず、具体的な効果を感じられていない人や、業務プロセスに組み込めずにいる人も多い様子がうかがえる調査結果となっている。
リスキリングは実施することが目的ではなく、あくまでも手段のひとつである。実施後のスキルアップや業務への活用があってはじめて効果を発揮する。実施後を見据えた計画のもとで取り組んでいくことの重要性が、改めて示唆されたと言えるだろう。今後の参考にしていただきたい。