「男性の育休」取得後に6割以上が精神的不調を実感　Smart相談室

株式会社Smart相談室（本社：東京都港区、代表取締役・CEO：藤田康男）は、育休を取得し、同じ職場に復職した経験のある男性416名を対象に、男性の育休取得に関する実態調査を実施。取得のきっかけや取得後の不調、相談環境などについて明らかにした。

調査概要

調査名称：男性の育休取得に関する実態調査
調査方法：インターネット調査
調査期間：2025年3月11日〜同年3月12日
有効回答：育休を取得し、同じ職場に復職した経験のある男性416名
出典元：【男性の育休取得に関する実態調査】育休後、6割以上が精神的不調を実感するも、約70％は相談環境が十分に整ってない実態（株式会社Smart相談室）
※合計を100%とするため、一部の数値について端数の切り上げ処理を行っており、実際の計算値とは若干の差異が生じる場合がある

約半数が自らの意思で育児休業取得も理想の取得期間と実際の取得期間に乖離

本調査では「Q1.あなたが育児休業を取得した一番のきっかけを教えてください。」との質問に「自ら積極的に取得したかった（45.9%）」との回答が最も多く寄せられている。次いで「パートナー（配偶者）から取得を勧められた（28.4%）」「会社の方針で取得が推奨されていた（12.0%）」が続いたという。

一方で「Q2.自分の意思で自由に育児休業期間を決められる理想的な状況を想定した場合、あなたが望む育児休業期間と、実際に取得した期間を比べるとどうでしたか。」との質問に「実際に取得した期間が、望んだ期間よりも短かった（36.5%）」と回答する人は4割近くに及んでおり、理想通りの育休取得に至っていない人も少なくないようだ。なお「実際に取得した期間が、望んだ期間とほぼ同じだった（52.4%）」との回答は約半数であった。

望んだ期間よりも育児休業期間が短くなった理由としては「職場に迷惑がかかることを懸念したから（55.3%）」「業務の都合で長期間の休暇が取れなかったから（43.4%）」などが多いようだ。また「職場の雰囲気で長期の取得がしづらかったから（35.5%）」との回答も3割を超えている。

育休から復帰後の支援や困難の経験

続いて本調査では「Q4.育児休業からの復帰後、会社から提供された支援/提供してほしい（提供してほしかった）支援を教えてください。」と質問。提供された支援では「業務量の調整（33.4%）」「在宅勤務・テレワークの活用（30.0%）」「勤務時間の短縮・フレックス制度（29.6%）」が多く挙げられている。また、会社から提供してほしい（提供してほしかった）支援では「在宅勤務・テレワークの活用（39.7%）」「業務量の調整（37.5%）」「勤務時間の短縮・フレックス制度（31.5％）」との声が多い。

さらに本調査では「Q5.育児休業からの復帰後、あなたが経験した具体的な困難として当てはまるものを教えてください。（複数回答）」と質問。「子どもとの時間をもっと取りたかったが、仕事のためできなかった（35.1%）」「育児と並行して、育休前と同じ業務量・成果が求められた（33.9%）」「育児と仕事の両立に悩み、思うような成果が出せなかった（29.1%）」との声が多く寄せられたという。

育児休業復帰後「精神的な不調が増えた」と感じる人が6割超

次に本調査では「Q6.育児休業復帰後、精神的な不調（不安感、イライラ、睡眠障害、意欲低下など）を感じる場面は、育児休業取得前と比べて増えましたか。」と質問。「非常に増えた（16.6%）」「やや増えた（48.3%）」との回答が寄せられており、6割を超える人が育休復帰後に不調を感じていたことが明らかになった。

また「Q7.お勤め先では、育児休業復帰後の悩みについて相談できる環境はありましたか。」との質問に、約7割の男性が職場内、プライベート、またはその両方に相談できる環境がなかったと回答したことも判明。さらに、そのうち16.3%は「職場内もプライベートも、相談できる環境がなかった」と答えており、悩みを一人で抱え込んでしまう男性も少なくないことが明らかになった。

なお、復帰後の悩みを相談できなかった理由としては「プライベートな話を職場ですることに抵抗感があった（39.7%）」「職場で弱みを見せることに抵抗感があった（37.2%）」「相談しても解決につながらないと思った（32.3%）」が上位に並んでいる。

まとめ

育児休業の取得について、自らの意思がきっかけである男性が約半数となったが、3割を超える人が理想の取得期間より短い取得期間となったことが明らかになった。職場や業務の都合上、そうせざるを得ない状況であった様子もみられている。

復帰後に望む支援として「在宅勤務・テレワークの活用」や「業務量の調整」へのニーズの高さも明らかになっており、男性の育休取得を推進していく上では、業務の調整や職場環境の整備が重要となりそうだ。

また、復帰後に精神的不調を感じた人が6割を超えることや、約7割が相談環境が不十分と感じていたことから、復帰後のサポートが不足している現状も明らかになった。育児というプライベートな話題を職場で相談することに抵抗を感じる人が多いことから、第三者に相談できる環境の必要性もうかがえる。

取得そのものを後押しするだけでなく、取得前後の従業員のメンタルケアにも取り組んでいくことで、男性の育休取得率は向上へとつながるのではないだろうか。厚生労働省が運営するサイト「イクメンプロジェクト」では、企業の取組事例も紹介されている。併せて参考にしていただきたい。

参考：イクメンプロジェクト（厚生労働省）