2025年5月の食品値上げは478品目で5カ月連続の前年超え　TDB調査

株式会社帝国データバンク（以下：TDB）は、2025年5月以降における食品の値上げ動向と展望・見通しについて、分析を実施。2025年5月の飲食料品値上げが、合計478品目となったことを報告した。

5カ月連続で前年を超え478品目に

TDBの報告によると、主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした5月の飲食料品値上げは478品目になったという。単月の値上げ品目数としては、1月以降5カ月連続で前年同月を上回っている（+51品目・+11.9％）。TDBは5カ月連続での前年超えについて、記録的な値上げラッシュの1年となった2023年6月以来、約2年ぶりであることを報告した。また、値上げ1回あたりの平均値上げ率は15％となったことも判明している。

TDBは2025年5月の値上げを食品分野別に集計。その結果、ハム・ソーセージなど食肉加工食品が多くを占める「加工食品（137品目）」や、カレールウなど香辛料を中心とした「調味料（192品目）」が高い割合を示したという。

出典元：「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2025年5月（株式会社帝国データバンク）
※品目数および値上げは、各社発表に基づく。また、年内に複数回値上げを行った品目は、それぞれ別品目としてカウント
※値上げ率は発表時点における最大値を採用しており、価格据え置き・内容量減による「実質値上げ」も対象に含む

勢いが強まる飲食料品値上げ　その要因は？

TDBは2025年通年の値上げについて、10月までの公表分で累計1万4409品目にのぼり、前年通年の実績（1万2520品目）を超えたことを報告。1回当たり平均値上げ率については、前年（17％）を下回る16％となったようだ。

食品分野別では「調味料（4904品目）」が最も多く、次いで「加工食品（3685品目）」「酒類・飲料（2759品目）」が続いている。また、6・7月単月で既に前年を大幅に上回る1000品目超の値上げが予定されていることも判明。TDBは2025年における飲食料品値上げの勢いが、前年よりさらに強い状態が続いていると分析した。

また、値上げ要因については、原材料の価格高騰や人手不足、流通コストに加え、近時は光熱費の上昇による値上げが再燃しているとTDBは指摘。「原材料97.9％」の値上げが全体の9割超を占めたほか「人件費（52.0％）」は、要因別の集計を開始した2023年以降で最高だったという。また「エネルギーコスト（光熱費）」由来の値上げは年間でも66.1％を占めるなど、2年ぶりに前年を上回る水準で推移したことも明らかになった。なお、トラックドライバーの時間外労働規制などが要因となった輸送コストの上昇分を価格に反映する「物流費」由来の値上げについては、前月調査時（81.8％）から割合が低下し、79.7％を占めている。

まとめ

今後の見通しとしてTDBは、飲食料品の値上げラッシュが本格化した2022年の2万5768品目に並ぶ水準に到達する可能性があるとの予測を発表している。これ以上の値上げは消費者の節約志向を強める可能性が高いものの、人件費や物流費などのコスト増を受けて価格転嫁の動きが続いており、値上げへの大きな影響が出ているようだ。

また、プラ容器など包装資材を含めた「モノ由来」「サービス由来」双方の値上げ圧力が強い点にも、TDBは着目している。採算改善を目指す動きから、今夏以降も価格改定に取り組む企業は少なくないと見ているようだ。

飲食料品の値上げは家計への影響も大きい。消費者の節約志向の強まりは国内景気にも影響してくるだろう。今後の値上げ動向や国内景気にも注目したい。