上場企業の「早期・希望退職」募集1万人超、2025年1-8月 TSR調査
株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は2025年1-8月の上場企業における「早期・希望退職募集」の状況について調査を実施。早期・希望退職募集の具体的な内容を確認できた上場企業を対象に集計・分析。2025年8月31日公表分までの『会社情報に関する適時開示資料』とTSRの独自調査に基づいた結果を発表した。
早くも年間累計が1万人超えで前年を上回る
TSRの報告によると、今年1月から8月31日までの上場企業の「早期・希望退職」は、募集の実態が調査可能だった件数が31社(前年同期41社)で前年同期を下回った。しかし、対象人数(1万108人)は前年同期(7284人)の約1.4倍増に。2024年は募集の大型化が目立ち、3年ぶりの1万人超えとなったが、今年はそれをすでに上回っている。
上場区分は東証プライムが24社(構成比77.4%)と多数を占め、直近決算の黒字企業は19社(同61.2%)と6割を占めている。黒字19社のうち、16社が東証プライム上場企業。さらに、赤字12社の募集人数は2470人で「東証プライム:8社」「東証スタンダード:4社」「東証グロース:0件」という結果だった。
また、業種別の集計では、国内で5000人規模の募集を発表したパナソニックHD、TSRの取材に300人の募集人数を明らかにしたIDECなど「電気機器:13社(前年同期9社)」が最多に。次いで「金属製品(同1社)」「機械(同3社)」が各3社で「食料品(同2社)」「繊維製品(同3社)」「輸送用機器(同ゼロ)」が各2社で続いている。
出典元:上場企業の「早期・希望退職」募集 1-8月で1万人超え 募集の大型化で前年同期比1.4倍増、前年1年間を上回る(株式会社東京商工リサーチ)
まとめ
2025年、上場企業の「早期・希望退職」募集が前年を大きく上回っていることが明らかになった。2025年は大手メーカーなどの製造業で募集が相次いでおり、グローバルで2万人の人員削減を公表している企業もある。
TSRは「早期・希望退職」の募集が判明した31社のうち、27社が製造業である点に注目しており「トランプ関税の影響による予防的な人員削減の動きが出てくる可能性もある」と指摘する。輸出産業への影響が幅広い業種にも広がりをみせながら、さらに大型募集が相次ぐ可能性は十分にあるだろう。引き続き動向に注目したい。














