25年度上半期「道路貨物運送業の倒産」5年ぶり減少163件 TSR調査
株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、2025年度上半期(4-9月)の道路貨物運送業倒産について集計・分析を実施。5年ぶりに前年同期を下回る件数となったことを報告した。
道路貨物運送業倒産、5年ぶりに前年同期を下回る
TSRによると、2025年度上半期(4-9月)の道路貨物運送業倒産は、件数が163件(前年同期比15.1%減)で、5年ぶりに前年同期を下回った。負債総額は193億2300万円(前年同期比6.9%減)で3年連続で前年同期を下回っている。「負債1億円以上5億円未満(50件/前年同期70件)」「同1千万円以上5千万円未満(73件/同84件)」のそれぞれが減少し、負債総額を押し下げた。要因別の分析結果では「物価高:44件」「人手不足:36件」「人件費高騰:12件」「求人難:12件」「従業員退職:7件」「後継者難:5件」となった。
TSRは「燃料価格の高止まりや車両費等が高騰するなか、価格転嫁が徐々に浸透した結果、道路貨物運送業の倒産は小康状態にある」と分析する。これを裏付けるように「物価高」倒産の上半期倒産全体に占める構成比も26.9%(前年同期30.7%)と、前年同期を下回ったとしている。
一方で、重層的な下請け構造による「荷主等との価格交渉が容易ではない商慣習」から、各種コストの上昇が先行している。さらに、深刻な「人手不足」が受注機会の逸失も招き、業績が停滞している事業者にはより厳しい状況となっている。
出典元:道路貨物運送業の倒産(25年度上半期)が5年ぶり減=物価高・人手不足への対応は道半ば(株式会社東京商工リサーチ)
まとめ
2025年4月に「改正物流効率化法」が施行され、26年1月には適正な価格転嫁を図る「改正下請法」が順次、施行される。しかしながら、抜本的な課題解決には及ばないとみられている。法改正以前に、生産性の向上や労働環境改善、賃上げによる人手不足の解消が先決、といえるだろう。
TSRはこうした状況を受けて、今後も倒産件数は中小・零細企業を中心に一進一退を推移すると分析している。全国企業倒産件数が高水準で推移する中、道路貨物運送業の倒産動向についても今後も注目したい。
参考:2025年度上半期(4-9月)の全国企業倒産5,172件(株式会社東京商工リサーチ)














