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「ダイバーシティ推進」理想と現実にギャップ パーソル総合研究所調査

2026.03.10

株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都江東区、代表取締役社長:岩田亮)は、組織におけるダイバーシティの意識や実態、その要因と影響を明らかにするため「組織のダイバーシティ(多様性)に関する定量調査」を実施した。

本調査では従来の「属性」や「価値観」の多様性に加え、人材同士の「つながり」と「つながり方」の多様性を示す新たな概念として「関係のダイバーシティ」に着目。分析の結果「関係のダイバーシティ」が高い組織ほど、ダイバーシティへの抵抗感が抑えられ、チームパフォーマンスやイノベーション活動との間に正の関係が見られることが確認された。

調査概要

調査名称:パーソル総合研究所「組織のダイバーシティ(多様性)に関する定量調査」
調査対象:
①従業員調査 n=3,000s
[年代]20~60代、[勤続年数]1年以上、[従業員規模]10人以上、[業種]第一次産業・国家・地方公務以外、[職位]正社員(執行役員以上は除く)、契約・嘱託・派遣社員、パート・アルバイト
※総務省「労働力調査(2024年)」の性年代構成比(就業者ベース)で割付
②企業調査 n=500s
[年代]20~60代、[勤続年数]1年以上、[従業員規模]10人以上、[業種]第一次産業・国家・地方公務以外、[職位]正社員(主任・リーダー相当以上)もしくは経営者、[職種]経営・経営企画もしくは人事・総務、[その他の条件]自社の人事戦略・人事施策全体 もしくは ダイバーシティ推進について把握している者
調査方法:調査会社モニターを用いたインターネット定量調査
調査時期:2025年10月15日〜10月20日
実施主体:株式会社パーソル総合研究所
出典元:組織のダイバーシティ(多様性)に関する定量調査(株式会社パーソル総合研究所)
※構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合がある

理念への賛同は高い一方、現場には抵抗感も

理念への賛同は高い一方、現場には抵抗感も

本調査の結果、ダイバーシティに関する一般的な受容意識は、いずれの項目も6割以上と高水準だった。一方で「自分とは考え方や価値観が大きく異なる同僚と一緒に働くのは、ストレスを感じる」に「あてはまる」と回答した人は54.3%と半数を超えている。

同社は「一般的受容度」と「個人的抵抗感」の2軸で従業員を4類型化。その結果、理念には賛成しつつも葛藤やストレスを抱える「葛藤派」が39.4%で、最も多い割合になった。

さらに同社は「表面的な世間体を整えているだけ」「理想と現実との間に大きなギャップがある」「他社の模倣に見える」など5項目の平均値を『施策の空回り感』と定義。空回り感を抱く従業員は全体の約2~3割にのぼり、個人的抵抗感を高める要因の中でも最も強い影響が確認されている。

企業と従業員「目的の認識」にズレ

企業と従業員「目的の認識」にズレ

続いて本調査では、ダイバーシティ推進で最も重視している要素について質問。その結果、人事・経営層は「働きがい向上」や「組織活性化」を重視する一方、従業員は「労務リスク防止」や「企業イメージ向上」と受け止める傾向にあることが判明した。

「属性」と「価値観」が「葛藤派」発生の要因に

「属性」と「価値観」が「葛藤派」発生の要因に

さらに多変量解析の結果では、表面的な多様性を測る「属性のダイバーシティ(育児や介護、障害者といった多様な属性の人がいること)」と、深層的な多様性を測る「価値観のダイバーシティ(多様な考え方の人がいること)」が葛藤派の発生を有意に高めたことも可視化された。

新しい多様性の観点「関係のダイバーシティ」

新しい多様性の観点「関係のダイバーシティ」

同社は、新たな視点として、仕事における「つながり」と「つながり方」の多様性を測定する4項目の構成要素を基に「関係のダイバーシティ」を定義した上での分析を実施。

その結果、属性・価値観のダイバーシティが受容度と抵抗感の双方を高める一方で「関係のダイバーシティ」には受容度を高めつつ抵抗感を下げる傾向がみられたという。さらに、イノベーションや成果を促進するとの結果も報告されている。

ダイバーシティ施策数と関係のダイバーシティに明確な相関は見られていない。一方で、ネットワーク/コミュニティ施策が多いほど、関係のダイバーシティが高まる傾向が確認された。

まとめ

ダイバーシティ推進について、受け入れ意識は比較的高い割合を示している一方で、現場では約4割が葛藤を抱えていることが判明。理想と現場との間には、大きなギャップがあるようだ。

本調査では従来の「属性」や「価値観」の多様性に加え、新たな概念として「関係のダイバーシティ」に着目している。「関係のダイバーシティ」が高い組織ほど、ダイバーシティ施策への抵抗感が抑えられ、チームパフォーマンスやイノベーション活動との間に正の関係が見られている。

多様な人材を採用した後の協働や関係性を、どう構築するかという視点を持ってダイバーシティを推進していくことが必要だ。採用数値の達成で評価せず、チーム内の仕組みづくりも含めて取り組みを進めていきたい。