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人材と働き方の多様化の時代。管理者に求められる能力とは

 個人の事情に合わせた働き方、外国人活用、障がい者雇用、高齢者活用・・様々な人が様々な働き方が出来るようにするため、政府が動き積極的に推進しています。

 各企業も人材不足の中でこうした活用を積極的に進めています。
 一方で、こうした個人個人違った特性を持った人たちをうまく活用し、成果を出すことを求められている管理者が疲弊しています。

ひと昔前まで管理者に求めていたこと

 「企業風土に合った人材以外は採用しない」
 「企業が決めた労働条件、ルールに従って働けない人は辞めてもらう」
 マネジメントにおいては「会社」がその主導権を握っており、そのルールに合わせなくても良い人たちは「ほんの一握りの人達(偉い人)の特権」と考えられていた時代がありました。

 「好きな時間に出社したり退社したいなら出世して管理側になれ」
 「家庭のことは女性の仕事・育児や介護は女房の仕事」
 そんな風潮があった時代です。
 この時代の管理者に求められたものは
 「売り上げを落とすな!」
 「生産性を向上させろ!」
 この2つ。

 しかも、
 「家庭の事は女房に任せればいい。居ないなら早く結婚しろ」
 「売上、生産性を上げるためには24時間働く覚悟でいろ」
 「女性は子供が出来たら家庭に入れ」
 こんなことを言っても、誰もおかしいとは思いませんでした。労働者側もそれが当たり前と考えられていたわけですから「これが出来なかった・・だから辞めるしかない」そんな風に考えていた時代です。

今、管理職に求められていること

 しかし、今では従業員の個別契約は当たり前の世の中です。
 子育て世代に加えて介護も加わり、女性の生涯勤務も可能になった現代では、前章の様なことは全くの時代遅れとなりました。むしろパワハラ、セクハラと訴えられる時代です。

 今の時代の管理者に求められているものは
 「売り上げを落とすな!」
 「生産性を向上させろ!」
 に加えて、
 「労働時間を減らせ!」
 「部下の勤怠管理をしろ!」
 ・・と。

 部下の勤怠管理と一言で言うのは簡単ですが、様々な働き方を許容している会社側。

 Aさんは10時~16時の時短・Bさんは9時~18時・Cさんは・・・と勤務時間も様々。加えて雇用形態も様々でそれぞれの就業規則があり、36協定もあり・・。自身の労働時間も減らさなければならないし・・。

 管理者に求められるものが増え、様々な知識も必要となってきています。

 また、管理者は言動に細心の注意を払う必要があります。労働者に不利な発言をすることは許されません。セクハラ・パワハラと部下に言われてしまえば、それは管理能力不足とみなされるからです。

 そもそも「売上を上げること」「生産性の向上を図ること」が管理者の役割。
 その役割を果たすため、部下を使うわけですが、様々な働き方や人種・特性を持った人たちをうまくコントロール(マネジメント)してこの役割を達成しなければならないわけですから、管理者が如何に様々な課題達成を強いられているかが分かります。

ITツールの活用で全てうまくいくのか?

 マネジメントの例えに、よくパズルが使われます。
 「ピースを埋めて、パズルを完成させよ」
 このパズルのピースが大小様々・形も様々であったら、完成させるのはとても大変です。大きさは同じ・形も多少違うだけであったら、比較的楽に組み立てられます。

 パズルのピースは人・完成図は企業
 ITツールを活用してまずはピースの大きさと形を把握。それを全体完成図に当てはめていく。ITツールを使えば簡単にできるはずだ。

 「よし!色々なツールが出てきていることだし、それを導入して入力すれば簡単!」
 しかし、そんな簡単に済む話であるはずがありません。管理者はこのツールの使い方を学ばなければなりませんし、それぞれのピースの大きさと形を把握し、それを入力しなければなりません。

 「よし!なんとかできた!これでITツールの言う通り人材を配置すれば売り上げも生産性も向上!」 そんな簡単にいけば、どの企業も導入して成功を収めています。

 なぜうまくいかないことが多いか。
 ・管理者がツールを使うためにはITリテラシーが必要
 ・管理者がそれぞれのピースの大きさや形を正確に把握する必要がある
 この二つがきちんと出来なければ、どんな優秀なツールを使ってもうまくいくわけがありません。

 しかも、『ツールを使って効率化を図る』はずが、『ツールに使われてしまう』といった事に陥ってしまうケースが多く見受けられます。他にも「人の感情」や「他社との関係性」なども考慮しなければならないからです。

 人には感情があり、その感情によって毎日考えが変わったり行動が変わったりします。プラス、病気やケガなどの不測の事態も発生します。加えて関係する人の環境変化(両親・兄弟・親戚などの環境変化)もあります。そこを察知したり考慮してコントロールしていく必要があるため、ITツールではこの日々の変化に対応することが出来ません。

急務な管理者育成

 多様化に対応できる管理者は、他者の感情を察知してコントロールする能力が備わっています。人の心理を学び、どう対応すべきかを日々学んでいます。

 個々のスキルや事情に合わせた配置を行い、それぞれの役割をこなしてもらうために感情面をコントロールしていく。加えて自身の感情のコントロールも。
 
 企業側は、これだけのことを管理者に求めなければならなくなっています。

 管理者は常に悩み、選択を強いられています。ダイバーシティマネジメント・部下の育成方法などの書籍を買って学んだりしています。それを「管理者なら当たり前」と考えていると・・・
 「良い管理者が辞めてしまった。。。しかも、部下たちまでついて行ってしまった」となりかねません。

 
<田頭 誠 氏:その他コラム記事>
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