ビジネスでのメールとチャットの書き方・マナー。効率よく、感じよく【中間管理職のビジネスマナー10の基本 Vol.6】
こんにちは。株式会社トークナビ代表取締役・アナウンサーの樋田かおり(といだ・かおり)です。今回のテーマはビジネスシーンにおける、メールとチャットの書き方、マナーです。本コラムでつかんでいただければ、「効率よく、感じよく」使いこなせると思います。さっそく紹介していきましょう。
メールとチャットの「二刀流」時代に
テレワークの導入に合わせ、ビジネスチャットの利用が進んでいます。ビジネスチャットとは業務利用を目的として開発されたコミュニケーションツールで、代表的なものに「Microsoft Teams」「Chatwork」「Slack」などがあります。
トークナビでも社内外のコミュニケーションに「Chatwork」を利用しています。また、社外の方とはこれまで通りメールも使っています。このように、今、ビジネスシーンではメールとチャットの「二刀流」という方も多いのではないでしょうか。
ビジネスシーンでこれまで主流だったメールは、マナーや形式が重視されるツールです。一方、チャットは気軽さが特長のツールで自由度が高く、使い方に世代間ギャップもあるようです。
そこで、今回はメールとチャットの併用時代に、中間管理職世代が押さえておきたいビジネスマナーをご紹介します。
「いきなり用件」でOK!チャットのマナー
社内チャットで部下が挨拶の一言もなく、いきなり用件を送ってきたとき、あなたはどう感じますか?「唐突だな」「失礼だな」と感じる方もいるかもしれません。しかし、チャットはスピーディなやりとりができる点がメリットです。「お疲れ様です」のような定型挨拶や長い前置きの文は書かず、できるだけ手短に用件を伝える方が良いのです。
そのため、メールでは
「お疲れ様です。〇〇です。先日はA社へ同行いただき、ありがとうございました。資料を送付し、電話でもフォロー済みです。
ところで、先日お話しした業界のB社への訪問の件でご相談ですが、(以下、用件)
宜しくお願いいたします。」
のように書いていたものも、
チャットでは
「来週のB社への訪問の件でご相談です。(以下、用件)」
といきなり用件を書いて構いません。最初の「お疲れ様です」も最後の「宜しくお願いいたします」も不要です。
チャットはメールよりも用件を端的に伝えることが可能なため、生産性向上につながるツールです。メールがそのままチャットに置き換わっただけのような長い文章を送ることは避けましょう。
もちろん、面識のない相手にチャットする場合は、挨拶や自己紹介を一言入れた方が良いでしょう。また、上司に急な依頼をする場合に「お忙しいところ恐縮ですが」といったクッション言葉を入れたり、大きな仕事を終えた部下には「昨日はお疲れさまでした」と一言入れたりした方が良いのは、メールでもチャットでも変わりません。
短い文にも背景や意図を書き添えて
チャットでは「できるだけ手短に用件を伝える」とお伝えしました。しかし、短い中にも背景や意図を書き添えることを忘れないでください。
例えば、部下からチャットで
「明日はオフィスに出社されますか?できれば30分お時間をいただきたいです」
と聞かれたら、どう感じますか?
どのような用件や重要度なのかわからず、返答に困りますよね。用件によっては、朝一番に時間をとった方がいい、外出前の時間は避けたいなど、対応も変わってきます。
そのため、
「〇〇について困り事があり、直接ご相談したいので、明日オフィスに出社されるようでしたら、30分お時間をいただきたいです」
のように、背景を伝える方が良いでしょう。
他にも、書類ファイルを添付して「ご確認をお願いします!」とだけ書かれたチャットだと、報告の意味で共有しただけなのか、確認する場合もどこを確認してほしいのか、いつまでに確認してほしいのかがわかりません。
短い中にも、相手にどうして欲しいのかが伝わるように工夫しましょう。
同じことが上司にも言えます。部下が「何の話だろう」「なぜ今なのかな?」と不安に思わないよう、短い文面でも背景や意図を忘れずに入れるようにしてください。
上司がチャットで気を付けることは?
このほか、中間管理職世代がチャット対応で気を付けたいことは、「反応」と「見逃し」です。
チャットの効率の良さに慣れてきたあなたは、ぶっきらぼうな対応になっていませんか?
チャットには反応をスタンプで示す機能があります。メール時代は部下からのメールに1つひとつ返信はしていなかったかもしれませんが、チャットでは何らかの反応を示すのがマナーです。早めの返信が望ましいですが、どうしても時間がないときは、先にスタンプを押すだけでも良いと思います。
返信や発信をする際も、冷たい文面にならないように気を付けましょう。感情を伝えるために、スタンプを使うのも1つの方法です。ベテラン世代にも若手世代にも好感を持たれる絵文字は「笑顔マーク」ではないでしょうか。ポジティブな内容であれば、文末に1つ「笑顔マーク」を入れるだけで印象が変わります。
また、チャットの見逃しにも気を付けてください。
チャットは短文の投稿が続くため、タイムラインが流れていきがちです。「見逃しているかもしれない」という意識を持って、チェックすることをお勧めします。また、各チャットにはタスク管理機能やリマインド機能、ブックマーク機能などがあります。自分に合った方法を使って、返信しそびれを防ぎましょう。
社外の人とチャットするときは?
チャットは社内コミュニケーション用に使われることが多いツールですが、社外の取引先や顧客を自社のチャットに招待し、特定のチャンネルでやりとりをしている方もいると思います。社外の相手とも効率よくコミュニケーションを図ることができるのは、チャットのメリットの1つです。
このように社外の方とチャットを使う場合は、社内で予めルールを決めておきましょう。顧客との関係性やカルチャ―にもよりますが、社内では「了解」のスタンプ1つで済ませていることも、顧客に対しては「承知しました」「引き続き、宜しくお願いいたします」など返信をする方が良いでしょう。
また、チャットでやりとりする中で、誤解やトラブルが生じたときには、そのままチャットでやりとりを重ねるのではなく、電話を1本入れることをお勧めします。「問題が起きたら、一言話した方がいい」というのは、ツールを問わず、コミュニケーションのコツであると思います。
メールのマナーをおさらい
最後に、チャット時代に忘れてしまいがちな、メールのマナーを3つご紹介します。
①署名を必ずつける
②容量の大きなファイルは圧縮する
③CCとBCCの使い分けをする
ビジネスでメールを長く利用してきた中間管理職世代は「当たり前」であるマナーも、チャット併用時代に入社した若い世代は「知らなかった」ということもあります。
①メールでは冒頭で名乗る、末尾に会社名、部署名、名前、電話番号などの入った署名をつけるのがマナーです。
②大容量の添付ファイルは、相手先企業の上限設定やメールサービスの容量制限によって、受信できない場合があります。1MB~2MB程度におさめるのがマナーです。
③CCは情報共有のために使うもので、CCのアドレスは受信者全員に公開されます。BCCのアドレスは、他の受信者には見えません。顧客リストへの一斉送信をする場合などに「間違えてCCにしてしまった」というミスが起きないよう注意してください。
次回は「『話が長い人』にならないために。エレベーターピッチ練習のすすめ」
本コラムでは、社会人経験10数年以上、役職もつき、部下もいる。そんな中間管理職のあなただからこそ再確認しておきたい「ビジネスマナーの基本」を、アナウンサー社長の樋田かおりがお教えします。
次回のテーマは「『話が長い人』にならないために。エレベーターピッチ練習のすすめ」。『話が長い人』にドキッとした方、エレベーターピッチって何?と気になった方は、ぜひお読みください。