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フラット組織の運営は難しい!上下関係は必要だった?人材育成の今【中小企業の組織づくり~いまこそ階層別育成の時代 Vol.2】

皆さんの組織にはどのような役職の方がいらっしゃるでしょうか。部長、課長はあるとして、最近課長、係長、主任といった役職はない、あるいは、部長も課長もない、というケースもあるでしょう。スタートアップ企業だと、階層が3階層程度……ということも珍しくありません。そもそもピラミット構造ではなく、フラット化しているという企業もあり、それが肯とされるような気運があります。ところが、いざ組織運営をしてみるとフラットな組織の運営難度は非常に高く、あらためて階層別組織の良さが見直されているように感じています。そこで本連載では、中小企業の組織づくりをテーマに、階層別育成の考え方について解説していきます。ぜひ、自社の組織づくりに生かしていただければ幸いです。
第2回は、今の新人に期待される役割と実践へのつなげ方のヒントをお伝えできればと思います。

目次

(1)今の新人の特徴
(2)期待役割
(3)こんなことは起きていませんか?

今の新人の特徴

先般 、弊社のトランジションモデルをご紹介いたしました。

【出典:リクルートマネジメントソリューションズ『トランジションデザインブック2.0』】

今回は新人の皆さんにフォーカスをあてたいと思います。
トランジションモデルでは「Starter=スターター」と呼び、「ビジネスの基本を身に着け組織の一員となるステージ」と定義しています。

先ず“新人”の皆さんの特徴ですが、いわゆる新卒新人の方をイメージしていただけると良いかと思います。4月に一斉入社、学生からまさに社会人になりたてほやほやの皆さんです。
希望した会社に入社でき、意気揚々と張り切っている方もいれば、さほど志望度は高くない会社だったけれどなんとか就職できた、また、希望した会社だったけれど希望した職種には配属されなかった……等々、想いは様々で、まだ環境に慣れず少し緊張して気を張りながら毎日出社している、という方も多いのではないでしょうか。

【出典:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 新入社員意識調査2024】

こちらは弊社の新入社員意識調査から抜粋したデータです。
今の新人の皆さんに仕事をする上で重視したいことを尋ねると「成長:自分が成長できる」「貢献:人や社会の役に立つ、感謝される」「専門性:専門性を深める、第一人者になる」の3つが上位の回答となりました。また「競争:競争に勝つ、No.1になる」が最も選択されませんでした。
 昭和世代かつ団塊ジュニアでもある筆者は、世代人口も多く、学生の頃も社会に入ってからも、とにかく競争を強いられた気がします。他人との競争や比較よりも、自分の成長や社会貢献に目が向いているのは、まさに今の世代の特徴と言えるのではないでしょうか。
また、就職先での勤続意向については定年まで勤めたい・どちらかといえば勤めたい」を、「現在の会社に勤めつづけることにこだわらない・どちらかといえばこだわらない」が上回る結果となりました。
こちらも終身雇用が前提だった世代からすると、ずいぶんと時代は変わったものだな、と感じます。「自分に合わない会社に長くいるなんて時間の無駄」と考えるようで、タイパ(タイムパフォーマンス)も重視されているようです。

期待役割

新人の皆さんに対して、どのような期待役割があるのでしょうか。
新人の皆さんに求められることを一言でいうと「先ずは自分の仕事を一人でできるようになる」ということです。簡単なようで、ちゃんとやろうとすると実は結構難しいのではと思います。
目の前に用意された仕事は、新人にとって「初めて取り組む業務」です。コピー1つをとってもコピー機ってどう操作するの?ホチキスってどうするの?両面でとるの?カラーなの?……といざ取り組もうとするとわからないことがたくさんでてきます。テレバシーで必要なものがわかればいいのですが、そう都合よくはいきません。「一人でできる」ためには操作そのものやコピーを依頼した相手に条件を確認するというタスクがついてきて、現実「一人では完結できない」のが仕事です。
「一人でできるようになる」ために上司や先輩に必要なことを尋ねることができないといけませんし、尋ねやすいように普段から良好な関係性を築いておいた方がいいですし、任せて安心と思わせる信頼感も醸し出さないといけないですし、何なら相手が何を好むか察することができるようになればなお可……と「一人でできるようになる」には、実は様々なことができるようにならないといけません。

トランジションモデルでは新人の期待役割を以下のようにもまとめています。
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・社会や会社の一員としての姿勢や行動、仕事の仕方を身につける
・自分の関わる仕事の全体像をつかみ、後工程や顧客のことを考えて行動する
・周囲からのアドバイスや指摘を真摯に受け止め、行動を変えていく
・初めてのことや初対面の相手に尻込みせず取り組み、何事からも学ぼうとする
・新鮮な視点から仕事や職場についての違和感や疑問を率直に出し、周囲に影響を与える

……………………………………………………………………………………………………………

先に挙げた「先ずは自分の仕事を一人でできるようになる」ですが簡単そうに見えて実は結構難しいので新人の皆さんはここでつまずいてしまったりします。

こんなことは起きていませんか?

ここからはケーススタディです。皆さんの周りにこんな新人はいないでしょうか。
またそんな新人がいた場合、上司として、どのようにかかわるのがよいでしょうか。

ケース①
直属上司Aさんに新人Bさんに対する印象をききました
「新人Bさんは入社してしばらくは元気な様子でしたが、入社して3か月たった今、なんだか顔色がさえず、挨拶の声も小さいと感じます。先日資料づくりを依頼したけれどなかなか仕上がってこず、「あの資料どうなったの?」と尋ねると「すみません……」というばかりで、結局納期に間に合わず、私が作ることになってしまった。雑談にものってこないし、遅刻や寝坊も増えたようだ。

ケース②
直属上司Cさんに新人Dさんに対する印象をききました
「新人Dさんはここのところ、態度が少し反抗的に感じ気になっている。同期入社の新人にも会社への不平・不満をもらしているようだ。先日資料づくりを依頼したけれどなかなか仕上がってこず、「あの資料どうなったの?」と尋ねると「この仕事って僕がやる意味ってありますか?」と質問を投げかけられた。今の新人が考えることに応えるのは難しいな……と感じてしまった。半年たったころ、Dさんは何の前ぶれもなく突然辞めてしまった。


次回はこのケースの対応策についてご一緒に考えてみたいと思います。