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早期内定者に対して、企業が出来る適切な対策まとめ

2019.06.04

 学生が就職活動を行う時期には、企業側としても早期内定を出すケースは多い。説明会や面接の実施時期など、目安となる”就活ルール”も存在しているものの、実質的には形骸化していることが多い。企業側からすれば、優秀な人材に早めに内定を出すことによって、他の企業への入社へのけん制となる。そして、そのけん制が内定者への囲い込みへとつながり、相対的に内定辞退につながる場合も多いのが現状だ。

 また、内定者も志望の優先度は異なるものの、内定を得ている安心感は非常に大きい。そのうえで、企業側が早期内定を行った際に、どういった対策を行えばいいのか具体的に見ていく。

早期内定の実状

 就活ルールの形骸化に際して、3月から会社説明会、6月から面接の実施という流れはほぼ崩れている。そのため、早期内定者は3年生の段階でインターンシップを行い、内定を得るといったケースが増加している。

 では、企業として早期に内定を出す場合、何を評価しているのか具体的に見ていこう。

・人物との相性
 早期に内定を出す場合、インターンの段階で企業は内定者との相性を見極める。特にインターンなどに関しては、会社の事業を多少なりとも手伝う。そのため、社内の人間と接することが多い。内定者と接している人間に対して、調査を行うことで相対的に人物の評価を行うことが可能だ。

 また、企業に接する期間が長い内定者であれば、コミュニケーション能力に長けているパターンもある。企業とのやりとりに慣れている場合、企業としても印象が良いことから早期内定を出して人材を確保したいという流れだ。

・意志の強さ
 早くから就活を行っている内定者のほとんどは、一定の目的に沿って動いている。そのため、インターンなどに対しても本気で取り組む内定者が多く、企業としてもそういった姿勢を評価している。

 また、インターンだけでなく懇談会など早期内定を出している内定者に対しては接する機会を多く設けることによって本人の考え方に触れることも可能だ。

間違った早期内定の対策

 ここでは、企業から早期内定者に対するフォローで行ってはいけない事例を見ていく。内定者の意志を固める必要があるものの、逆効果となってしまう取り組みもいつくもあるため、見直してみよう。

1.内定者に対する特別扱い
 面接の段階で特別待遇などと称することや豪華な懇談会などでおもてなしをすることは、早期内定者の内定辞退を招く可能性がある。理由は、入社そのものが重荷に感じることになるためだ。特別扱いと言っても実際は企業の収入や待遇が良くなるわけでもなく、おもてなしに関しては入社前に時間を使わせたうえで、企業の実態とかけ離れているケースもあり、そのことが企業の評価を大きく下げる。


2.内定者に対する意味のないインターン
 インターン制度は強制するものではない。しかし、内定者を留めるためにインターン制度を使用している場合があり、そういったケースも内定者の辞退につながる。早期内定者が居たとしても、内定者の意志を削ぐような行為そのものとなるため、意味のないインターンには注意が必要だ。

 早期内定はメリットとデメリットを併せ持つものだ。そして、間違った対策では内定者の事態を防ぐことは出来ない。内定には、法的な強制力はないことを企業としても認識しておく必要があるといえるだろう。

早期内定へのフォロー対策

 ここでは早期内定者へのフォロー対策について詳しく見ていこう。従業員と同様に内定者もさまざまな悩みを抱えており、そういった不安が解決できる場合は、早期内定を出しても辞退につながる可能性は著しく低くなる。

1.内定者懇談会
 内定者で集まる懇談会は、先輩や他の内定者とのコミュニケーションが取りやすい環境が作れる。そのため、内定者が抱えてる不安の解消や、入社の意志を固めることに役立つ。

2.定期連絡を行う
 気軽に定期連絡を行うことにより、早期内定者の辞退を防ぎ、抱えている不安の解消を行うことができる。また、部署の配属が既に決まっている事も多いことから、事前に担当者を決めておき、内定者のさまざまな相談を受けるのがいいだろう。

 特に、年齢が近い先輩社員の実状や考えていることをありのままで伝えることで、内定者の不安を払拭することが可能だ。

3.職場見学
 インターンではなく、実際に働く部署を内定者に見学してもらうことで、業務に対する疑問や不安の解消を行うことができる。

 また、職場見学を行う際は単純な説明だけでなく、内定者のさまざまな不満や疑問を解消することが目的であるため、積極的なコミュニケーションを図る必要があるだろう。

 早期内定者に対して企業が行える施策は、数多くある。そのうえで、内定者の実状に合わせた対策が重要だ。

4.内定式
 入社式とはまた異なるものであるものの、内定式は内定承諾書の提出社で行う場合が多い。承諾書を提出している段階で、内定を辞退される可能性は一般的には低いものの、内定式を行うことによってさらにその確率を下げることができる。

 式の内容は、非常にばらつきがあるものの、先輩社員との交流や内定者同士のコミュニケーションが図れる、入社意志を固めるなどのメリットを見込むことができるだろう。

 企業は内定者の辞退を防ぐために、さまざまな施策を行う。しかし、その施策が内定者の意図に沿わないものであれば、全く意味のないものとなる。そのため、早期内定者がどのような不安や思いを抱えているのか企業側から汲み取る必要があると言えるだろう。


 早期内定者の悩みに対して、どのような取り組みを行えばいいのかを一部紹介する。

 例えば、人間関係や業務に対する不安は円滑なコミュニケーションを図り、その疑問を解消することが最も重要だ。

業務内容に不安がある場合は、
・職場見学や業務に従事する先輩社員に対して質問の場を設ける

キャリアや企業そのものに不安がある場合は、
・経営者の方針やどういった業務によってスキルアップできるのかを伝える

 などの取り組みが必要となる。内定者が抱える漠然とした不安は、先輩社員や適切なコミュニケーションで解消できることがほとんどだ。

事例紹介

 早期内定者のフォローを行っている企業の事例をみてみよう。企業によって取り入れやすいものとそうでないものに分かれるものの、内定者のフォローは人材の確保を意味することを強く意識しよう。

1.GMOペパボ株式会社
 印象に残る内定式が特徴的。企業理念を体現した内定式になっており、社長自らが率先して内定式に取り組んでいる。そのため、内定者の不安を解消できており、効果的な施策となってるといえる。

2.サイボウズ株式会社
 内定者によるグループワーク、懇親会、会社見学などの多様な取り組みを行っている。内定者と人事がコミュニケーションを行うといった取り組みもあり、内定者に対する十分なフォロー体制ができていると評価できるだろう。

 企業によって取り組む施策は異なるものの、施策がどういった目的で行われているのか非常に明確でわかりやすい。内定者が抱えている不安を払拭できる施策が企業に求められていることから、適切な対応を行っていこう。

まとめ

 就活ルールの撤廃によって、早期内定を行う企業は増加していくことが予想できる。そして、早期内定をもらっている学生もそれに伴って増加するだろう。

 その上で、適切なフォローを行えば、内定を辞退される確率が低くなる。そのため、企業は入社までの流れの確認とともにどのようなアプローチを内定者に行っていくのか考慮しなければならない。

 そのうえで今回紹介した施策を参考にして、早期内定者のフォローを行っていこう。