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社内業務におけるアウトソーシングの在り方を徹底解説!

2019.06.19

 日本の企業は、アウトソーシングを利用している企業が非常に多い。各企業はコストを抑えながら利益を向上させる必要があり、業務委託を利用した場合、他の企業に自社の業務を任せ、業務の効率化を図ることが可能だ。

 アウトソーシングは人材の確保が行えない場合などに役立つ。では、社外に企業内の業務を任せる際に問題はないのだろうか。また、実際にアウトソーシングを行うことによって、企業の経営状態や主幹業務に対してどのような効果を生みだすことができるのだろうか。

 ここでは、アウトソーシングの概要と社会背景、メリット及びデメリットについて詳しくみていこう。

アウトソーシングと日本の企業の実状

 アウトソーシングを利用する目的は、企業内の業務を他社に任せることによって効率化を図り、自社の人材に対する負担を軽減するためだ。例えば、企業の主幹業務と雑務はどちらも必要であるものの、雑務を他の企業に任せることによって人員に対する負荷が減少させることができる。そのため、結果として、主幹業務の売り上げが向上するなどといった効果を期待できるのだ。

 また、アウトソーシングを活用しているのは大企業だけではなく、中小企業も含まれる。特に、中小企業においては人材の確保が非常に難しく、新卒者の採用が通年になることを考えても、雑務に時間を割いている余裕はないといえるだろう。

委託している業務の事例としては以下のものが挙げられる。
・会計や経理などの事務処理
・勤怠システムの導入及び管理
・コールセンター及びカスタマーサポート
・商品管理や発送
・受付業務


 外部に委託することによって、企業内の生産性の向上やコストのカットにつなげることが可能だ。利用するシステムや企業などによっても、コストは変動するものの、自社の業務を理解したうえで細分化することが重要だ。そのうえで、外部に業務を委託することで、人材を確保しなくても経営を成り立たせることができるといった一面もある。



・アウトソーシングが拡大する理由
 日本の企業の現状からすると、大企業以外の中小企業はそのほとんどが人材不足に陥っているという背景がある。採用の早期化が顕著になっており、通年を通して採用が可能となったとしても、その流れに対応できない企業も多い。

 また、求める経験を保有している人材が大企業と中小企業のどちらかを選ぶとなった場合、多くの人材は大企業を選ぶだろう。大企業であっても安心できるものとは限らないものの、中小企業の経営の危うさは働く従業員が痛感できるほど顕著なものとなっている。

 そのため、人材の確保が難しく、仮に人材を確保できたとしても主観業務以外の業務を新しい人材に任せることによって離職率が上がる可能性がある。そういった悪循環をアウトソーシングによって解決することも可能だ。

 そして、アウトソーシングを活用することで、専門的なスキル持つ人々に委託する。そのように業務の効率をあげることが必要となっていることも拡大の要因とみられる。これは、企業間による競争に勝つための方法であり、専門性の低いまま業務を行うよりも、専門性の高い企業に対価を支払うことによってその力を借りることが可能となる。

 そのため、自社の主観業務をどのような方向にしたいのかといった経営戦略も必要となる。ちなみに、経営の多角化も進んでいる状況であり、中小企業であっても多数の事業を展開し、1つの市場だけに頼らない製品やサービス作りが求められているといった社会背景もアウトソーシングの拡大を後押ししている

 アウトソーシングは社会的に需要が高まっているサービスであり、今後も多くの企業が導入していく仕組みの1つだ。しかし、効率的な業務を行うためには、自社のコストや資金のかけ方など経営手法について企業が把握し、どの業務を他社に任せられるのか明確にする必要があるだろう。

アウトソーシングのメリットとデメリットを解説

 ここではアウトソーシングのメリット及びデメリットについて詳しくみていこう。どちらも把握したうえで導入しなければ効果を発揮できない可能性がある。

まずは、メリットについてだ。

主幹業務の明確化ができる
 企業としてどのような業務を任せるのか明確化できる。どのような業務を外部に委託する場合であっても、これまでどういったやり方で業務を行ってきたのか、そこにどれだけの時間とコストをかけていたのかなどを考慮しなければならない。

 また、主幹業務を行うにあたっても、自社の業務をすべて把握した場合、工数を削減できる可能性がある。アウトソーシングを依頼する場合には、自社の業務内容を経営陣や管理職が把握し、どのようにすれば改善できるのか明確化できるだろう。

時間・人材などのコストの削減が可能
 コストにあたるのは、業務時間や残業時間、人員などであり、アウトソーシングはそういった課題を解決できる。人に対する負荷を削減するだけで生産性が向上する可能性がある。また、現状の業務を行うにあたって発生するコストをアウトソーシングの利用によって代替えすることによって、業務が効率化することも多い。人員に関しては、従業員の負担が減少することで企業全体の生産性、モチベーションの向上につながるというメリットだけでなく、必要な分野へ必要な人員を配置することも可能となるだろう。

次にデメリットをみてみよう。

ノウハウの分散化
 今まで行っていた業務をアウトソーシングに任せた場合、ノウハウが分散化する可能性が高い。アウトソーシングを行う企業がそういった情報を提供することはなく、委託先の企業に対する規則はあっても命令することはできないためだ。

 もっとも、社内に不足している人材をサポートするといった場合には、大きな心配は要らないだろう。例えば、コールセンターや事務処理などといったアウトソーシングであれば、代替え手段はいくらでもある。そのため、どういった業務を依頼し、ノウハウを失ったとしても機能するのかを考慮する必要がある。

企業の業務が煩雑となる
 アウトソーシングをうまく利用できない場合、業務内容の把握ができず、情報漏洩や余計な手間が発生する可能性がある。依頼する前に、企業として把握できていた業務であっても何をどこまで依頼するのか明確にしておかなければならない。

 また、業務のフローが大きく変化する可能性もあり、一時的に混乱を生む可能性も高い。しかし、そういった状態であっても様々なツールを利用して問題を解決することが可能であることから、アウトソーシングに依頼する場合は現状の業務にどういった変化があるのかを把握しておこう。


 アウトソーシングを利用するメリットは、コストの削減や専門性の高いスキルを借りられ、生産性の向上が期待できるといった点があげられる。しかし、業務の細分化や見直しが行われておらず、アウトソーシングによってどのように業務が変化するのかを把握しておかなければ、デメリットが発生することになるだろう。自社の業務の把握だけでなく何がどのように変化するのかを考慮する必要がある。

まとめ

 アウトソーシングは、社会的に需要が高まってきている。競争社会が激化しており、企業が生産性をあげなければならない、専門性の高い人材を確保できないなどといった理由が挙げられる。そのうえで、アウトソーシングのメリットとデメリットを把握し、有効に活用していく必要があるといえるだろう。