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ペーパーレス化の必要性とは?メリットや導入方法・2022年度の法改正についてもわかりやすく解説

2022.05.16
オフィスのミカタ編集部

2020年10月に法改正された「電子帳簿保存法」が2022年1月から施行されている。今後、導入に遅れの目立つ中小企業でもペーパーレス化が加速する可能性は高いが、まだその必要性に疑問を感じている人もいるのではないだろうか。ここでは必要性からメリット、導入方法について解説していく。

ペーパーレス化は政府が推進する国を挙げての働き方改革の一環

ペーパーレス化とは業務に関係する書類を電子化して、業務の効率化を図ることを目的としている。先述した電子帳帳簿保存法の規制緩和など国を挙げての浸透をはかっている。

電子帳簿保存法の要件改正でペーパーレス化推進

2021年1月から施行された電子帳簿法の改正。官民どちらにおいてもペーパーレス化を推進するための内容となっている。今回改正されたポイントを解説していこう。

承認制度の廃止
今までの電子帳簿保存法では、電子データとして適用されるには事前の税務署への申請が必要で、企業にとっては大きな手間となっていた。今回の改正により事前申請が不要になり、導入しやすい環境が整いつつある。

タイムスタンプ要件の緩和
タイムスタンプとは、電子データが改ざんされていないことやある時刻にデータが存在していたことの真実性を証明するための証明書。時刻認証業務認定事業者(TSA)のみがタイムスタンプを発行することができ、電子帳簿保存法に基づいたデータ保存をするためにはTSAと契約するか、TSAと契約している会計システムの利用が必要となる。

従来の法律ではタイムスタンプの付与が書類への署名後3日以内だったものが、今回の改正によって最大2カ月へと変更された。さらに、不正防止のために電子データの修正・削除の履歴が残せるシステムを利用していればタイムスタンプの付与が与えられる様になった。

検索要件の緩和
電子データの閲覧・管理を容易にするためには、検索機能を確保することが必要だ。しかし、従来の電子帳簿保存法ではその要件が複雑で、新規導入の障壁となっていた。今回の改正法で検索要件の簡素化が実現し、より多くの企業が取り入れやすくなるようになっている。

ペーパーレス化の導入によるメリット

ペーパーレス化を導入することによるメリットを挙げていく。

業務の効率化を推進
ペーパーレス化を進めることでのもっとも大きなメリットは業務の効率化だろう。膨大な紙の書類から自分の欲しい情報を瞬時に探しだすことや、探しやすいように書類を整理するために取られていた時間が格段に減らすことができる。

紙書類の印刷コストや保管スペースの削減
紙の書類には印刷コストとして、インク代、用紙代、資料の郵送費用など、トータルのランニングコストで考えるとかなりの額になる。さらに印刷機器代も必要だ。また、書類の保管にはオフィスのかなりのスペースが取られるため、これら2つの項目において削減が期待できる。

リモートワークなど柔軟な働き方への対応
紙の書類が減るということは、オンラインでさまざまな情報にアクセスできる様になり、オフィスに出社せずとも仕事ができる様になる。リモートワークなど、多様化する働き方に対応するためにもペーパーレス化は必須だろう。

クラウドストレージを活用したBCPへの対応
BCP(事業継続計画)を紙媒体で保管している場合、万が一災害や事件などにオフィスが巻き込まれたときに復元が困難になる。ペーパーレス化してバックアップ体制を整えていれば、万が一の場合にもデータを復元することができる。

電子書類管理システムへの従業員の習熟度もペーパーレス化導入のコストに

電子書類管理システムの導入した直後は、不慣れな従業員も多く、以前の方が良かったという評価が上がるかもしれない。しかし熟練度が上がるにつれ、業務の効率化やコスト削減が加速していくため、導入初期の業務の遅れなどもコストの一部として受け入れ、長期的視点で導入して欲しい。

ペーパーレス化の社内導入の流れ

ペーパーレス化を社内に定着させるためには適切な順序を追って、導入までの流れを作る必要がある。ここでは導入する前の準備段階から導入後のフォローアップまで、流れを紹介する。

ペーパーレス化する対象を明文化
まずはペーパーレス化する対象書類を明文化しよう。ペーパーレス化といっても、社内の書類すべてを対象とするのは難しい。紙ベースで残した方が都合の良いものもあるからだ。

個人レベルの細かい印刷物まで洗い出してみると、意外と印刷しなくても事足りる業務が出てくるはずだ。そういったものの中から、印刷頻度が高いが印刷する必要性が低いものを順に対象としていくとよいだろう。

ペーパーレス化に適したデータベースを確保
検索や蓄積が簡単にできるように整理されたデータベースの確保も必要だ。対象書類が多くなればなるほどコストが増える。ペーパーレス化する書類が少なければあまり気にしなくてもいいかもしれないが、書類の保存期間などもあることからある程度の容量がないとコストアップは避けられない。利用するサービスによっては容量無制限などもあるため、自社のデータサイズに合ったものを選んでほしい。

ファイルの命名規則や格納ルールなどワークフローを整備
デジタルデータにする場合、検索機能を向上させるためにファイル名に命名規則を設けたり、格納する場所に関するルール作りをしたりする作業も事前に行い、利用する従業員に周知するようにしたい。

ペーパーレス化するためのツールを導入
ペーパーレス化を進めるために自社でシステムを構築するのは現実的ではない。多くの企業では、初期費用が抑えられるクラウドサービスを利用している。クラウドサービスにもさまざまな種類があるため、自社の現状に合ったサービスを選定して導入してほしい。

業務に不安を抱える従業員へのフォローアップ
今まで紙ベースだった書類をデジタル化することで、業務のやり方に不安を覚えたり負担に感じたりする従業員もいるだろう。そういったときにフォローできる仕組みづくりも大切だ。

定期的なワークフロー・ファイル環境の見直し
一度導入したからと、同じ運用をしていくのではなく、定期的にワークフローやファイル環境を見直す必要がある。データを利用する従業員たちと意見交換をしながら、より使いやすいシステムを構築してほしい。

ペーパーレス化には強固なクラウドストレージ・データベースが不可欠

書類の格納にはクラウドストレージ・データベースの利用は欠かせない。電子帳簿保存法に対応していることは必須条件として、容量やセキュリティ、既存システムとの連携の可否などを比べながら自社に合うサービスを選ぼう。

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まとめ

ペーパーレス化することで、いくらコストの削減ができても従業員の負担になってしまっては本末転倒だ。導入から走り出し初期まではしっかりと従業員へのフォローも欠かさず、命名規則なども事前にルール作りをして誰もが簡単に使いやすいシステム作りを目指してほしい。