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経費削減の必要性と成功させるコツを解説。経費の種類なども紹介

2023.02.13
オフィスのミカタ編集部

経費削減とは、企業が業務内容や進め方を改善することで事業にかかわる費用を減らす取り組みである。経費削減は、売上を上げる施策と比べると実行後すぐに効果が出る利益率向上の方法と考えられているが、効果的に行うためにはコツがある。本記事では、経費削減の必要性、経費の種類、そして成果の出る経費削減の流れについて解説する。

利益率の向上に寄与する経費削減

経費削減とは事業にかかる費用を抑えて利益率を上昇させる取り組みだ。企業は事業を行う上で必要以上にかかっている経費を見直して削減することで、利益率を上げることができる。

「経費削減」に似た言葉として「節減」があるが、節減は細かい部分での費用発生を抑える活動を指すのに対し、経費削減はさらに抜本的な取り組みを指す。

削減を検討したい経費の種類

まずは削減を検討したい経費にはどのような種類があるか見ていこう。

オフィス環境に必要な経費「オフィスコスト」
オフィスコストは、オフィスの賃貸料や清掃費、PCやOA機器の購入費やリリース費など、オフィス環境を整えるために必要な経費である。デスクや事務用品などの購入費、印刷代なども含まれる。オフィスコストは、従業員の人数に比例して大きくなるため、会社の規模が大きいほどオフィスコストの削減が企業の大きな収益に直結する。つまり、従業員の人数が多い会社ほどよりランニングコストを大きく削減できる可能性のある経費といえる。

光熱費等を指す「エネルギーコスト」
エネルギーコストとは、オフィスの維持に必要な電気料金や水道料金、ガス料金などを指す。業務遂行に必要なガソリン代もエネルギーコストに含まれる。とりわけオフィスにおける水道光熱費は、コスト面でも環境面でも削減を検討したい対象だ。

人件費や物流費「オペレーションコスト」
オペレーションコストは、人件費、物流費、通信費など、事業を運営するのに必要な費用のこと。オペレーションコストの割合が高い企業であればあるほど、業務効率化などを推進することでコスト削減できる可能性が高い。

売上や収益に繋がらないものは経費に計上できないので注意する
経費とは事業で使用するお金のことで、売り上げや収益を得る目的で使用した費用に限られる。たとえば法人税・法人事業税・法人住民税などは、売上や収益を目的とした支出ではなく会社の義務であるため経費計上することができない。

また商品を仕入販売する事業の場合、すでに販売した商品に対する仕入費用は経費計上できるが、未販売の在庫商品に対する仕入費用は経費計上できないので注意が必要だ。

大きな効果が得られる項目から実行するのが成功の鍵

経費削減は地道な取り組みになるからこそ、進め方が重要だ。経費削減策の中でも優先順位を付け、大きな成果が明確に現れる項目から着手しよう。

取り組みによる効果を多くの従業員が実感できるものから始めると、協力を得やすく、経費削減の意識も浸透しやすくなる。

経費削減を進める上での流れ

経費削減はやみくもに進めても成果は出ないが、効率的に進めれば確実な効果が出る。経費削減を実施する際には、売上増加のために必要なコストは削らず、不要なコストや無駄な業務を見極めることが重要だ。

ここでは成果の出る経費削減の流れを紹介する。また経費削減案の作成方法についても解説する。

現状の経費を把握する
経費削減の第一歩は、現状の経費を正しく把握することにある。まずはどのような経費をどのくらい使っているか、売り上げに対して経費の割合はどのくらいか、もっとも多く使っている経費の種類はどれかなどを細かく確認する。

経費削減案の作成
大規模な経費削減を行う際には経費削減案の作成が必要になる。ここでは、経費削減案の書き方について解説する。経費削減案には下記のような項目を記載する。

・経費削減の目的
・経費削減の方法
・経費削減の有効な根拠
・経費削減の流れ、スケジュール

経費削減案には、目的・方法・有効な根拠、スケジュールなどを明確に記載する必要がある。具体的な目的や有効な根拠を言語化して共有することで、社員のモチベーションを下げることなく経費削減の施策を進めることができる。

経費削減案の実行による試算
経費削減案を実行する際は、まず不要な経費をリストアップすることから始める。次にリストアップした経費を削減することによって得られる効果を具体的な数値として試算する。そのうえで目標とする数値を設定し、実施内容とともに社内に明示する。

経費削減の実行と修正
経費削減案の実行は一方的に進めるのではなく、従業員の理解を得ながら企業一丸となって取り組むものである。経費削減案に沿って実行に移し、修正を重ねながら進めていく。短期的な視野でコストカットを押し進めるのではなく、実行と修正を繰り返しながら長期的なスパンで取り組む。

経費削減を成功に導くための注意点

経費削減を成功に導くためにはいくつかの注意点がある。目的はあくまで利益率向上であるため、経費削減自体を目的にしてはならない。

商品やサービスのクオリティを低下させることなく、また従業員の理解と協力を得て進めていくことが重要だ。成功させるために特に注意すべき点をより詳しく解説する。

商品の品質低下をまねく経費削減は避ける
経費削減とは、やみくもに経費を抑えることではない。商品やサービスの質の低下をまねくような経費削減は避けなければならない。

経費を下げることで一時的に利益を確保できたとしても、クオリティの低下により顧客からの信頼を失ってしまっては本末転倒だからである。

従業員のモチベーション低下につながらないようにする
やりすぎた経費削減は従業員のモチベーション低下につながる可能性があることも注意しなくてはならない。従業員に多くの負担がかかる経費削減の施策を一方的に進めてしまうと、従業員の協力を得ることもできず生産性を下げることにもつながりかねない。

従業員の満足度に直結する快適な就業環境や、業務効率の低下を招く可能性のある経費削減案については特に慎重な判断が求められる。社員全員が継続的に取り組めるよう目標達成に対する表彰制度を導入するのも有効だ。各従業員に明確なメリットを見せることで、モチベーションを保ちつつ経費削減への意識を高めることができる。

以下の記事ではコスト削減に貢献する物品管理に注目して解説している。ぜひ一読してほしい。
業務の効率化とコスト削減に貢献する物品管理。物品管理の実務的課題についても解説

まとめ

企業の利益を上げる方法は、基本的に売上を向上させるか経費を削減するかしかない。企業はもちろん売上を上げることを目指すが、売上向上のための施策はすぐに効果が現れない場合も多い。

一方経費削減はどんな事業でもすぐに実行することができ、効率的に利益率を向上させられる可能性が高い。商品やサービスの質を下げないこと、従業員の理解と協力を得ることなど、本記事で挙げたポイントを抑えて進めていけば、不要なコストを削減できるだけでなく、結果的に業務の効率化や働きやすさの向上など副次的な効果も期待できる。

短期的な目線で経費を減らすことを目指すのではなく、社員が一丸となって継続的な経費削減の施策を進めてほしい。