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【2024年版】夏バテ・熱中症対策として企業がやるべきこと4選と従業員に呼びかけるべきこと6選

2024.07.17

夏の猛暑が、年々深刻さを増している。人事総務担当者として特に気にかける必要があるのが、従業員の夏バテと熱中症だ。従業員の夏バテ・熱中症対策として、企業はどのようなことをする必要があるのだろうか。ここでは、企業がやるべきことや従業員に呼びかけるべきこと、万が一、夏バテ・熱中症になってしまった場合の対応を解説する。

目次

●夏バテ・熱中症の症状
 夏バテの症状
 熱中症の症状
●熱中症での死傷事故は年々増加
●夏バテ・熱中症対策として企業がやるべきこと4選
作業環境を整える
作業時間を管理する
健康診断結果を踏まえて、仕事を調整する
管理体制を強化する
●夏バテ・熱中症を防ぐため従業員に呼びかけるべきこと6選
日々の健康管理を怠らない
休憩・仮眠を取る
仕事中も水分・塩分補給する
外出する機会を減らす
体を冷やしすぎないよう、工夫する
異変を感じたら、すぐに申し出る
●万が一、夏バテ・熱中症になってしまった場合の対応
●まとめ

夏バテ・熱中症の症状

夏バテ・熱中症対策の必要性を認識していても、夏バテ・熱中症の症状について知らないと対策は取りづらい。まずは、夏バテ・熱中症の症状について見ていこう。

夏バテの症状
夏バテは、高温多湿な夏場の環境に体がうまく適応できなかった場合に生じる、心身の不調だ。例として、「疲れやすい」「体がだるくて重い」「食欲がなくなる」「睡眠不足になる」「無気力になる」などが挙げられる。

従業員が夏バテになると、集中力・注意力の低下が原因でミスが発生したり、業務効率が悪くなったりする可能性がある。

熱中症の症状
熱中症は、大量の発汗による体の水分量・塩分量の低下や、体温調整の失敗などを原因とした体の不調だ。例として、「めまい・立ちくらみ」「顔のほてり」「頭痛」「吐き気・嘔吐」「倦怠感・虚脱感」「異常に汗をかく」などが挙げられる。

従業員が熱中症になると、急激な体調悪化が原因で作業が継続できなくなる他、意識消失し、最悪の場合には死亡してしまう可能性がある。

熱中症での死傷事故は年々増加

厚生労働省のデータによると、令和5年における職場での熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は、1106人となった。前年比で279人(34%)の増加となっている。
このうち死亡者数は31人(前年比1人増)。建設業や警備業で多く発生しているという。とくに外で長時間作業する業種の場合は注意しなければならない。本人が対策するだけでなく、周囲の社員の声がけや仕事環境の管理も必須といえるだろう。

※参考元:令和5年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)を公表します(厚生労働省)

夏バテ・熱中症対策として企業がやるべきこと4選

従業員の健康や作業効率を維持するためには、企業主体で夏バテ・熱中症対策を行うことが重要だ。夏バテ・熱中症対策として、企業がやるべきことを見ていこう。

作業環境を整える
夏バテ・熱中症の発生確率は、作業環境の快適さに大きく左右される。そのため、まずは作業環境の温度・湿度を確認しよう。
夏バテ・熱中症の発生リスクが高い高温多湿な作業場所には、可能であれば冷房や扇風機のほか、簡易テントなど熱を遮断できるものを設置すると良い。散水も効果的だが、その後の気温上昇には注意が必要だ。また、涼しい休憩場所の確保、冷却機能のある服の配布、氷や冷たいおしぼりの常備などを意識すると、より効果的に夏バテ・熱中症を防ぐことができる。

作業時間を管理する
暑い中での作業時間の長さも、夏バテ・熱中症の発生確率に影響を与える。そのため、作業時間を管理することが重要だ。特に初夏、急激に温度・湿度が上がる時期は、体が暑さに慣れていないため、熱中症を起こしやすいと言われている。急激な気温上昇などがあった場合、体が暑さに慣れるまでは作業時間を短めにすると良い。高温多湿な環境下での長時間連続での作業は避け、クールダウンできる休憩時間を適度に設けよう。

健康診断結果を踏まえて、仕事を調整する
糖尿病、高血圧症、心疾患、腎不全といった持病があると、熱中症を起こしやすくなると言われている。そのため、従業員の健康診断結果を確認し、どの従業員にこれらの持病があるかを把握することが重要だ。持病のある従業員に対しては、産業医や主治医の意見などを参考にした上で、作業場所の変更や作業の転換などを行おう。

管理体制を強化する
定期的に従業員の様子や作業環境・時間を確認することは、夏バテ・熱中症の予防につながる。夏バテ・熱中症対策として、管理体制を強化しよう。作業開始前には、「睡眠不足ではないか」「食事をきちんと取っているか」「発熱・下痢などの症状がないか」など、従業員の体調を把握する必要がある。体調不良の従業員に対しては、作業場所の変更や作業の転換などを行うと良い。また、作業環境・作業時間が適切かどうかにも注意を払おう。

夏バテ・熱中症を防ぐため従業員に呼びかけるべきこと6選

夏バテ・熱中症を防ぐためには、従業員に呼びかけを行い、意識を変えてもらうことも重要だ。夏バテ・熱中症対策として、従業員に呼びかけるべきことを6点挙げた。参考にしてほしい。

日々の健康管理を怠らない
いくら企業が対策を行っても、従業員の日々の健康管理がそもそも不十分だと夏バテ・熱中症を引き起こしかねない。そのため、従業員に対して、日々の健康管理を怠らないように呼びかけることが重要だ。「夜更かしせず、睡眠時間を十分に確保する」「3食きちんと食べる」「過度の飲酒は控える」「就寝前や起床後、入浴後には水分補給する」といったことを呼びかけよう。

休憩・仮眠を取る
体力の消耗を防ぐためには、高温多湿の環境下での長時間の作業を控える必要がある。夏バテ・熱中症予防のため、従業員には休憩・仮眠を取るように呼びかけよう。作業に集中するあまり休憩を取り忘れることのないよう、例え作業中であっても休憩時間になったら確実に休憩するよう徹底したい。また、短時間の仮眠は疲れの軽減につながるため、休憩室などでの仮眠を推奨すると良い。

仕事中も水分・塩分補給する
熱中症は、大量の発汗による水分量・塩分量の不足が原因で起こる。そのため、従業員には仕事中も意識的に水分・塩分補給するよう呼びかけることが重要だ。ただし、喉が渇いてしまった時点では、すでに脱水が進んでしまっているとも言われる。また連日大量の水を摂れば、体内の塩分濃度が急激に低下して低ナトリウム血症※1になる恐れもあり危険だ。たとえ喉が渇いているという自覚がなくても、こまめに少量ずつスポーツドリンクや塩飴などを利用して水分・塩分補給することを徹底しよう。
※1低ナトリウム血症:体内で塩の成分であるナトリウムの濃度が低下し、体内の塩分バランスが崩れてしまうこと。主な症状は頭痛、倦怠感、吐き気など。

外出する機会を減らす
炎天下の中での過度の外出は、夏バテ・熱中症を引き起こしかねない。そのため、従業員には外出する機会を出来る限り減らすよう呼びかけよう。営業などでどうしても外出しなければいけないときを除いては、社内での仕事が望ましい。猛暑日のテレワーク推奨、他支店や取引先とのWEB会議の導入など、涼しい場所で仕事ができる環境を整えよう。

体を冷やしすぎないよう、工夫する
良かれと思って体を冷やしすぎると、かえって疲れやすくなるなど、夏バテの症状が出てしまう。そのため、従業員に体を冷やしすぎない工夫をするよう呼びかけることも重要だ。血流が良くなると体が冷えにくくなるので、仕事の合間に簡単なストレッチをするよう促すと良い。また冷え防止には、すぐに羽織れるストールなどの用意を呼びかけよう。

異変を感じたら、すぐに申し出る
仕事が忙しいと、体調の異変を感じてもなかなか作業を中断できない従業員もいるだろう。しかし、「体調がおかしい」と感じたときに無理して仕事を続けると、症状がさらに悪化する可能性がある。異変を感じたら、すぐに上司などに申し出るように従業員へは呼びかけたい。

万が一、夏バテ・熱中症になってしまった場合の対応

企業や従業員が十分な対策を行っていても、急激な気温上昇などが原因で夏バテ・熱中症が起こる可能性は否定できない。万が一、夏バテ・熱中症になってしまった場合の対応を知っておかなければならない。

夏バテの症状が見られた場合、涼しい場所で休憩させるなどして、体力の回復を図ると良い。生活環境を本人からヒアリングし、睡眠不足が疑われる場合は涼しい部屋で仮眠をとらせよう。冷たいものを摂りすぎず、エアコンの効いたオフィスで過度な薄着をしないよう指導して、生活環境の改善を促すのも大事だ。

熱中症が疑われる場合、まずは涼しい場所に移し、服を脱がしたり体を冷却したりする。太い血管の集まる脇の下や太もものつけ根を冷やすのが有効だ。意識があるようであれば、水分・塩分補給が自力でできるかを確認。意識はあっても、自力で水分・塩分補給できない場合や、意識がない場合には、医療機関での早急な対応が必要になるため、救急車を呼ぼう。

まとめ

従業員の健康と作業効率を維持するため、夏バテ・熱中症対策は欠かせない。作業環境を整え、作業時間を管理するほか、「日々の健康管理を怠らない」「休憩・仮眠を取る」などと従業員に呼びかけることが重要だ。万が一、夏バテ・熱中症になってしまった場合には、涼しい場所に移すなど早急な対応を心がけよう。