今、話題の働き方「テレワーク」特集Vol.3 テレワークの課題点をICTで解決
生産性の向上や人材の維持・確保、柔軟な働き方の実現などを目的とする「テレワーク」は、働き方改革の施行や新型コロナウィルス感染症の影響によって、企業に急速に普及している。しかし、実際にテレワークに取り組む上で、テレワークならではの課題に頭を悩ませる担当者もいるのではないだろうか。それらの課題は、各種ICT(情報通信技術)を導入することで解決できるかもしれない。
今回は、ICTの種類と導入する際のポイントと、テレワークにおける課題点、ICTを用いた解決策を紹介する。ICTを活用することで、テレワークのスムーズな運用に役立ててもらいたい。
目次
●ICTの種類と導入のポイント
●ICT導入でテレワークの課題を解決①労務管理
●ICT導入でテレワークの課題を解決②コミュニケーション
●ICT導入でテレワークの課題を解決③人事評価
●まとめ
ICTの種類と導入のポイント
ICTとは「Information and Communication Technology(情報通信技術)」の略で、通信技術を活用してコミュニケーションを行うサービスの総称だ。テレワークを導入するにあたり、ICT環境の整備は欠かせない。ここでは、ICTツールの種類と、導入する際に気をつけたいポイントについて紹介する。
ICTツールの種類
ICTには、以下のように様々なツールがあり、ツールを運営・提供している会社によって提供されているサービスも異なる。
【システム方式】
・リモートデスクトップ
・仮想デスクトップ
・クラウド型アプリケーション
【端末デバイス】
・リッチクライアント
・シンクライアント
・タブレット型パソコン
・スマートフォンの内線電話化(IP PBX)
【労務管理機能】
・勤怠管理ツール
・プレゼンス機能ツール
・業務管理ツール
【コミュニケーション機能】
・ビジネスチャット
・会議システム(Web・TV・電話)
・情報共有ツール
各企業のニーズや実態によってシステム方式、利用端末、ツールを組み合わせ、最終的な環境を構築していくこととなる。
ICTを導入する際のポイント
ICTの導入を検討する際は、ツールの特性を理解し、以下のポイントを押さえて比較・検討すると良い。事前に自社が求めている機能や予算などをピックアップしておくと、スムーズなサービス比較ができるだろう。
・料金
・搭載されている機能
・社内ルールに対応しているか
・法改正に対応しているか
・操作性
・無料トライアルの有無
・契約期間
・セキュリティ
・利用可能人数
(参考:総務省:「情報システム担当者のための テレワーク導入手順書」)
ICT導入でテレワークの課題を解決①労務管理
直接顔を合わせることがないテレワークにおいて、まず不安視されているのが出退勤を始めとする労務管理だ。ここでは、テレワークにおける労務管理の課題点と、ICTを用いた解決方法を紹介する。
テレワークにおける労務管理の課題
テレワーク中の労務管理は従業員の自律性による部分が大きく、企業側が従業員の労働時間を把握することが難しい。また、育児や介護などさまざまな事情から昼間に作業をすることが難しい従業員は、労働時間帯が夜間や深夜に及ぶ可能性もあり、長時間労働によって怪我や病気に繋がるのではないかという懸念もされている。
ICTを用いた解決策
テレワーク中の労務管理では、企業からのアプローチまたは従業員の報告による労働時間の把握が一般的だ。労務管理のICTツールには、以下のようなものがある。
・勤怠管理ツール(労働時間の管理)
・プレゼンス管理ツール(在席管理)
・業務管理ツール(プロジェクトやタスクの管理、スケジュールや業務遂行状況の把握)
活用方法によっては、コミュニケーションツールや情報共有ツールによって労務管理の機能を代替することも可能だ。プレゼンス管理ツールには、在宅勤務者がどのような画面を見ていたかをランダムにキャプチャーするもの、離席ボタンと着席ボタンを有するもの、オンラインかどうかを検知するものなどがある。
業務管理ツールとプレゼンス管理ツールをうまく利用することで、スケジュールの共有や仕事の可視化、在席状況や執務場所の把握が可能になる。また、労働時間の時間の記録を行うことで、長時間労働や深夜労働をしている従業員に注意喚起をすることもできるだろう。ただし、これらのツールは、企業側にとって従業員の労働状況が可視化できるというメリットがある一方で、従業員側が過度に管理されるという抵抗感を感じることも考えられる。双方が合意の上で各種ツールを利用できるよう、導入の目的を明確にし、従業員にあらかじめ周知しておくとよいだろう。
<ホワイトペーパー>
ICT導入でテレワークの課題を解決②コミュニケーション
テレワークで物理的な距離が離れることにより、従業員間や企業間におけるコミュニケーションの問題も生じている。ここでは、テレワークにおけるコミュニケーションの課題点と、ICTを用いた解決方法を紹介する。
テレワークにおけるコミュニケーションの課題
テレワーク業務では従業員同士の直接の関わりが減るため、気軽に相談しづらい、同僚の進捗状況が見えにくい、確認に時間がかかることなどのコミュニケーション上の課題が多い。相談や共有の頻度が減ることで、意思のすれ違いによるミスが起こったり、生産性・作業効率が低下したりするのではないかという懸念も生じている。また、昼休みや出退勤時の雑談や挨拶の頻度も少なくなることから、孤独を感じたりモチベーションが低下したりすることもあるようだ。
ICTを用いた解決策
コミュニケーションの頻度を上げるには、ICTを活用しながらこれまで以上に連絡や報告を密にすることが重要だ。以下のようなICTツールを活用すると良いだろう。
・ビジネスチャット
・クラウドPBX
・Web会議ツール
・ファイル共有
・日報ツール
コミュニケーション上の課題解決においては、「業務遂行に必要な連絡事項」と「雑談や各種相談」双方の観点で、各種ツールを活用すると良いだろう。ビジネスチャットやクラウドPBXでは、ツール内でグループを作成し様々な連絡をテキストで行うことが可能だ。日頃から密な連絡を心がけることで、些細なミスの軽減に繋がる。また、ファイル共有機能や日報ツールを活用すると、従業員ごとの進捗状況を把握できるだけでなく、作業効率が低下している従業員に対し、早めのフォローを行うことができるだろう。
Web会議ツールは、リアルタイムで顔を見ながらのコミュニケーションが可能だ。定期的にWeb会議を利用すれば、業務上のやりとりだけでなく、従業員同士のつながりを作るツールとしても有効だろう。
<関連記事>
業務が煩雑になる原因は「コミュニケーション方法」多忙な総務担当者を業務から解放するツールとは?【Chatwork株式会社 小野 喜彦 氏 インタビュー記事】
ICT導入でテレワークの課題を解決③人事評価
人事担当者の頭を悩ませるのが、テレワーク中の人事評価だ。ここでは、テレワークにおける人事評価の課題点と、ICTを用いた解決方法を紹介する。
テレワークにおける人事評価の課題
テレワーク下では、従業員の業務プロセスを直接確認できないため、正当な評価をしづらいことが課題だ。従来は勤務態度や業務への取り組み姿勢などを含めた「プロセス評価型(どう頑張ったか)」が一般的であったが、過程を把握しづらいため、実績だけを評価する「結果評価型(何を成し遂げたか)」になりがちである。実績は数字で表せない業務は評価が困難になり、偏った成果主義は従業員のモチベーションを下げる恐れもある。
ICTを用いた解決策
テレワーク下で適切な評価を行うためには、目に見えづらい部分を共有・把握することが鍵となるだろう。人事評価に活用できるICTツールには、以下のようなものがある。
・目標設定ツール
・面談ツール
・360度評価ツール
・クラウド人事評価ツール
まずは目標設定ツールを用いてチームまたは個人の目標を定め、定期的にWebミーティングや面談を行うことで進捗状況や目標の達成度を確認すると良いだろう。目標の共有やコミュニケーションの機会を設けることで、個々やチームの意欲を向上させることにも繋がるかもしれない。プロセスを把握するために、前述の日報ツールを用いるのも良いだろう。
360度評価とは、上司や同僚など複数の視点を通して対象者を観察・評価する方法だ。あらかじめ用意した項目を用いて対象者の実践度を評価する。偏った評価を避けられるだけでなく、 対象者本人も自己評価することで、周囲の認識と本人の認識との差を確認できることがメリットだ。
<サービス資料>
まとめ
テレワークにおける業務の課題は、ICTをツールを活用することで解決できることもある。社内のシステムを見直し、テレワークのスムーズな運用や企業全体の作業効率の向上にICTの導入を検討してみてはいかがだろうか。