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今、話題の働き方「テレワーク」特集Vol.4 テレワークで成果を上げるポイント

2020.07.15

 ICT(情報通信技術)を活用し、柔軟な働き方の実現を目指す「テレワーク」。働き方改革や時代の流れに伴い、時間や場所を有効に活用できるとして各企業での導入が進んでいる。テレワークの利点を活かし、成果を上げるためにはどのようにしたら良いのだろうか。

 今回は、テレワークで成果を上げるポイントの他、テレワークの向き不向き、テレワークを導入した企業の成功事例を紹介する。業務効率の向上や非常時の事業継続性の確保、オフィスコストの削減などに役立ててほしい。

目次

●テレワークで成果を上げるためのポイント
●テレワークの向き不向き
●テレワークの成果事例
●まとめ

テレワークで成果を上げるためのポイント

 時間や場所にとらわれず柔軟な働き方ができるなど、メリットも多いテレワークだが、実際に取り入れてみると各所で問題が起こったり、思ったように成果が上がらなかったりと、テレワークに難しさを感じる場合もあるのではないだろうか。テレワークで成果を上げるには、環境や体制を整えて、業務の効率化を図ることが重要だ。ここでは、テレワークで成果を上げるためのポイントを紹介する。

ツールの活用
 テレワークでは、チーム全体や個人の進捗状況が見えにくい、勤怠管理が難しいなどの課題がある。それらの問題を解決するためには、ICT(情報通信技術)などのツールを用いて業務全体の流れを可視化し、連絡や情報共有をスムーズに行うと良いだろう。

 ICTツールには、

・システム方式(リモートデスクトップ、仮想デスクトップ、クラウド型アプリケーションなど)
・端末デバイス(リッチクライアント、シンクライアント、タブレット型パソコン、スマートフォンの内線電話化)
・労務管理機能(勤怠管理ツール、プレゼンス機能ツール、業務管理ツール)
・コミュニケーション機能(ビジネスチャット、Web会議システム、情報共有ツール)

 などがある。自社の実態やクライアントのニーズに応じて、これらを組み合わせて活用しよう。

参考:「今、話題の働き方「テレワーク」特集Vol.3 テレワークの課題点をICTで解決」

社内ルール作り
 テレワークを効率的に行うためには、社内ルールをきちんと設けておく必要がある。ルールを定めて企業全体で共有することによって、企業は従業員の実態や業務の進捗状況を把握でき、従業員は業務時間や作業環境などの不公平感を解消することができるだろう。

 社内ルールでは、以下のことを定めておくと良い。

・就業場所
・始業時間、終業時間
・休憩時間
・時間外労働、深夜労働、休日労働
・欠勤、休日
・離席する場合の管理
・社内パソコンなどの備品の持ち帰り
・Wi-Fi環境

 始業や終業、休憩時間などは、報告手段(メールやチャットツールなど)や労働時間の範囲についても取り決めておく必要がある。従業員の状況を想定して、フレックス制の導入や休憩を複数回に分けることを可能にするなど、労働時間の見直しも行うと良いだろう。
 
 また、パソコンやデータ通信端末を貸し出す必要がある場合は、申請書(またはフォーム)の準備やセキュリティ対策をし、情報漏洩を防止しよう。

コミュニケーション
 テレワークの導入によりコミュニケーションが不足すると、業務が滞ったりミスが発生したりするだけでなく、従業員が孤独感や疎外感を覚え、生産性の低下につながることも考えられる。従業員同士が気軽にコミュニケーションを行える環境を整えることで、業務が円滑化し、生産性を上げることができるだろう。

 テレワーク中にコミュニケーションを行う手段やアイデアとしては、以下のものがある。

・Web会議での朝礼
・定期的なチーム内ミーティング
・オンラインランチやオンライン飲み会などのイベント企画
・雑談用のチャットグループの作成
・オンラインサンキューカードの活用

 「オンラインサンキューカード」は、感謝をウェブ上のカードに載せて送り合うサービスだ。「ありがとう」を伝える機会が減りがちなテレワークだからこそ、感謝を伝え合うことで働きがいを向上させることができるかもしれない。

参考:「【取材記事】感謝の可視化で正当な人事評価を働きがいを向上させるサンクスカード「OKWAVE GRATICA」


チームビルディング、組織づくり
 「チームビルディング」とは、チームにおける個々の能力や経験を最大限に発揮しながら目標達成を目指すための取り組みを指す。そのためには、以下のことを行うと良いだろう。

・互いの業務内容や進捗状況の把握 
・個人的な状態(家族の状況体調、感情など)の共有
・チームメンバーの強み、価値観の共有、理解
・チーム共通の目標を設定、共有

 チームビルディングでは、個々の従業員に焦点をあてること、強みを活かしあうことが重要視されている。例えば「子どもの送迎があるため始業は9時にしたい」「集中する時間を確保したいので午前中は連絡を最小限にしてほしい」など、個人のライフスタイルに合わせたルールをチームのメンバーに共有することも大切だ。コミュニケーション回数の低下や業務の不透明さを解消し、それぞれのライフスタイルやワークライフバランスを共有・理解することがスムーズなチームの目標達成に繋がるだろう。

テレワークの向き不向き

 人や職業によっては、テレワークの導入が難しい場合もあるだろう。ここでは、テレワークに向いている人や職業、テレワークに不向きな人や職業を紹介する。

テレワークに適した人・職種
 テレワークは、以下のような人や職種に導入しやすいだろう。 

・何らかの事情で通勤が難しい・時間の制約が大きい人(育児や介護などの家庭の事情、自身の身体的不自由など)
・1人で完遂できる業務が多い職種(事務、SE、プログラマーなど)
・小さな案件のクリエイティブな職種(Webデザイナー、Webライターなど)
・必ずしも社内にいる必要がない職種(カスタマーサポート、営業など)
・仕事以外でのコミュニティが多い人
・時間を厳密に管理できる人

 通勤が難しい人や業務を1人で行える職種は、在宅勤務を行うことで通勤の時間がなくなり、効率的に仕事を行うことができる。オフィス以外の場所でもオフィスにいるときと同様の業務を行える職種についても、同じことが言える。

 またテレワークでは時間管理や対面が減ることでコミュニケーションに課題を抱える人が多いことから、多数のコミュニティを持ち、ストレスを上手に発散している人や、オンとオフの切り替えが得意な人が、テレワークに向いていると言えるだろう。

テレワークに不向きな人・職種
 以下のような人や職種には、テレワークの導入が難しいだろう。

・自宅で作業ができる環境にない人(育児や介護、ペット、外部の騒音など)
・作業環境が整っていない人(自宅にPCがない、セキュリティが不安など)
・知識やスキルが不十分で、自走することが難しい人(新卒者や転職直後の人など)
・仕事でのチームワークを重視しており、仲間意識の高い人
・チーム単位での活動が多く、頻繁に情報共有をする必要がある職種
・大きな案件のクリエイティブな職種
・対面での作業や社内での業務が必要不可欠な職種(医療・福祉業、接客業、生産・製造業など)

他の従業員やクライアントと顔を合わせながら業務を進める必要がある職種は、テレワークには不向きだと言える。また、クリエイティブな職種はFace to Faceでの議論を行う方がイノベーティブな案が出やすい可能性もあるため、テレワーク向きではないかもしれない。

下記の記事では、テレワークの向き不向きについて詳しく説明されているので、参照してほしい。
参考:「テレワークに「向いてない」のはどんな人?導入が進む裏で生まれている新たなストレスとは」

テレワークの成果事例

 テレワークを導入すると、企業にどのような影響があるのだろうか。ここでは、テレワークの成果事例をいくつか紹介する。

向洋電機土木株式会社(建設業)
 向洋電機土木株式会社では、経営効率の向上と改善を目的として2008年1月からテレワークを導入し、工事部門を含む全従業員が在宅勤務を実践している。従業員の業務内容は事前に総務課長に説明した上で実施され、企業は作業の行き詰まりや過剰な労働にならないようアドバイスを行っているそうだ。業務ではフリーソフトを活用し、コミュニケーションや労働時間管理、マニュアル作成などに利用している。
 情報セキュリティはガイドラインに沿って運用し、有線LANの推奨、オンラインスキャンによるチェック、本社でのクロス監視、毎月端末の現物チェックを行っている。また、テレワーク時の不具合にスムーズに対応できるよう、企業が全員共通のノートパソコンを支給している。 
 テレワークを導入した結果、従業員一人ひとりの自由裁量権が拡大し、人材育成、生産性向上、コスト削減などの成果が出ている。

カルビー株式会社(製造業)
 カルビー株式会社では、2014年からダイバーシティ経営と社内の意識改革のために、週2日を上限とするテレワークの本格導入を実施。2020年7月からは、全従業員を対象として原則在宅勤務制度を導入している。また、一般社員だけでなく時短勤務者も対象としてフレックスタイム制を導入した他、営業職では直行直帰のモバイルワークを認め、ライフワークバランスの向上を目指している。
 社内ルールとして、業務を可視化できるように前日までに上司に申請すること、翌日に業務報告を行うことを定めている。PC(一部ではタブレット)は会社支給。従業員からは「子どもの送迎がしやすくなった」「通勤時間を削減でき時間にゆとりができた」などの声があがっているそうだ。

参考:「カルビー コロナを機にオフィス勤務者のモバイルワークを標準化」

株式会社NTTデータアイ(情報通信業)
 株式会社NTTデータアイでは、「一人ひとりがイキイキと働きやすい会社」の実現を目指し、可能な従業員からテレワークを実践できるよう推進している。「開始・終了の連絡を上司に行うこと」、「業務計画をメンバー内で共有することで、業務の可視化を図ること」、「ワークライフバランスの観点から残業、深夜勤務は原則禁止」などを実施。これらの取り組みの結果、タイムマネジメント意識の向上、自律・自己管理的な働き方の実現などの成果があがり、育児期や介護期の従業員が多く利用するようになったそうだ。

参考:厚生労働省「平成26年度 テレワークモデル実証事業 テレワーク活用の好事例集」

まとめ

 テレワークには、導入によるメリットがある一方で、取り組むべき課題もある。テレワークで成果をあげるためには、企業の工夫や取り組みが欠かせない。生産性の向上や効率化、ワークライフバランスや社員のエンゲージメント向上を図るためにも、ICTツールの活用やチームビルディングなど、テレワークを成功に導く各種取り組みを行ってみてはいかがだろうか。

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