人材育成に興味ある方は必見!メンター制度について徹底解説
人材育成が上手くいかなかったり、離職率が高かったりする悩みを抱えている企業は多いだろう。そこでメンター制度を導入している企業が増えているが、メンター制度を上手く活用できなかったり、そもそもどんな制度なのかをしっかり理解していなかったりすることも多い。本記事ではメンター制度についてその役割や目的、メリット・デメリットについて紹介する。
1.メンターとは
メンターとは、知識・経験が少ない後輩を個別にサポートする指導者のことを言う。この指導者は基本的に所属する部署の上司よりは、年齢や社歴が近い先輩社員が担当することが多い。そもそもメンターとは、「経験を積んだ指導者・助言者」といった意味を持つ言葉だ。そしてメンターの仕事は、後輩と信頼関係を築き、仕事の相談に乗ることがメインとなる。月1回など定期的にメンタリングと呼ばれる面談を通して、メンターが後輩に指導を行うのが一般的であり、メンターは後輩が自力で問題を解決できるようにサポートすることに徹する。
2.メンターの役割
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メンターが指導を行う対象はメンティーと呼ばれる。そしてメンターはメンティーとメンタリングを繰り返すことで、メンティーが抱える仕事やプライベートにおける問題を把握し、それを解決するための行動をサポートすることとなる。そこでメンターはメンティーと職務に関することだけでなく、社内の人間関係や個人的なキャリアビジョン、プライベートの悩みなどにも踏み込んでアドバイスをして行くべきだ。そのため、メンティーがちょっとしたことでも相談できるように信頼関係を築く必要がある。
また、メンティーが抱える課題や問題の中には、メンティー自身の力だけで解決できないことも出てくるだろう。そんな時はメンターが相談役になり、メンティーが自力で解決できるように誘導することもメンターの仕事だ。困っている時のサポートをすることで、メンティーのモチベーション向上・維持にも繋がるだろう。
3.メンター制度の目的
メンター制度の大きな目的の一つは、新人が抱えている悩みを早い段階で把握し、解決へ進めることである。それだけでなく、メンター制度では、社員が自分のレベルに合っている具体的な目標設定もできる。それによって、若手社員も自発的に行動を起こせるようになり、組織の活性化も期待できる。また、社員の精神面に細心の注意を払い、解決へ導くことは社内の雰囲気づくりにも繋がるだろう。それによって、社内満足度の向上も期待できる。
悩みを放置してそれが大きくなってしまうと、精神的ストレスや、職場への不満が募り、休職・退職に繋がってしまうリスクを伴うだろう。そこで問題の早期解決に尽力することで、若手の離職を防ぐことができる。
4.メンターが必要となる理由
新入社員はできないことが多い故に仕事や人間関係について悩みを抱えていることが多い。また、社内での人間関係もまだ構築できていないことから、相談できずに退職してしまうケースも多々ある。それに加え、時代的背景として年功序列から成果主義・実力主義へシフトしていくなかで、先輩社員すらも新人・後輩のライバルとなってしまい、孤立してしまうケースも少なくない。このような状態だとスキルのある新人ですら離職に繋がってしまうだろう。そこでメンター制度を用い、社員同士の繋がりを増やし、仕事・プライベートでの悩みの解消や精神面のサポートが大切と言える。
5.メンター制度と他の制度との違い
メンター制度に似たような制度もたくさん存在している。例えばコーチング制度やOJT、エルダー制度など。この段落ではこれらの制度とメンター制度の違いについて解説していく。
5-1.コーチング制度
コーチングとは、指導を受ける相手が目標を達成したり、抱えている問題を解決するためにはどのようにアクションを起こせば良いか具体的にアドバイスしていく制度のことを指す。コーチが一方的に指導をするのではなく、互いに話し合って解決策を見つけることはメンタリング制度と共通すると言えるだろう。しかし、コーチングは仕事で発生した問題・課題に対する指導を行うのに対し、メンタリングは仕事だけでなくプライベートのことにも踏み込んで、新人が抱えている問題の解決を目指すという違いがある。
5-2.OJT
OJTとは、実務を通してトレーニングを行う手法のことを言う。現場に配属された新人に実務を割り当て、その経験を通して業務に必要な知識・技術に加え、安全に業務を行うための心構えなどを身に着けさせるのがOJTの目的だ。この方法は必ず1対1で行うものではなく、経験のある社員が複数人の新人をカバーしたり、逆に一人の新人社員が複数人の社員に教わったりすることもある。
ただ、OJTは根本的な目的がメンター制度と大きく異なり、「業務を正しくこなせるようにトレーニングをすること」が目的だ。それに対してメンター制度では業務に関係することだけでなく、職場の人間関係や会社のルールなど、業務以外の面でもサポートを行う。また、これによってコミュニケーションの活性化を促進し、新人が一人の人間として成長していくことを目的としている。
5-3.エルダー制度
エルダー制度では、エルダーと呼ばれる先輩社員が新人に仕事の進め方の指導・サポートを行う制度のことを指す。基本的にマンツーマンで行われ、年齢や歴が近い先輩がエルダーを担当し、仕事に関する質問だけでなくプライベートな質問・相談もうけるので、メンター制度との共通点は多いと言えるだろう。しかし、エルダー制度の目的はあくまで新人が自立して業務を行えるようになることである。このことを考えるとOJTの一環と分類でき、メンター制度とは目的は異なると言える。
6.メンター制度のメリット・デメリット
それでは、メンター制度を導入したことによってどんなメリット・デメリットがあるのだろうか。この段落ではメリット・デメリットについて解説する。
6-1.メリット
メンター制度はメンティーが抱える様々な不安や問題を共に解決することで、その不安点を早期に解決できる。それによって社員も実力を発揮しやすくなり、それが会社としての生産性向上に繋がることが期待される。また、メンティーだった新入社員が成長して新しく入ってきた新入社員にメンターとして教え…というメンタリングチェーンと呼ばれる連鎖ができることによって、部署の垣根を超えた交流も増える。特に違う部署に相談相手がいると、部署内での人間関係などに関する相談もしやすくなるだろう。
また、メンター制度はメンティーだけでなくメンター自身にもメリットがある。メンターを担当していると、「メンティーに見られている」という意識を持つことになり、自然と仕事への取り組み方について責任感と適度なプレッシャーを負うことになるだろう。そこで、メンター自身がそれ相応のスキルを身に着け、自発的に行動していくように成長することにも繋がる。
6-2.デメリット
メンタリング業務はメンターに負担がかかるというデメリットもある。特にメンター自身の通常業務の量が多くなっている時にメンター業務がおろそかになりやすく、これは組織全体のマイナスにも繋がるだろう。また、メンターに対しては会社や仕事、カウンセリングなど幅広い知識が求められる。そのため、メンターの能力差によってはメンティーの成長度合いに差が生まれやすく、メンター側にもフォローが必要なことがある。
メリット豊富なメンター制度の導入を前向きに検討しよう
メンター制度について解説してきたが、メンター制度とはどんなものか理解できただろうか。メンター制度を導入することによって、社内のコミュニケーションを活発化したり、新人の教育をしつつ、精神面でのフォローもできたりするなど、メリットが多くある。そこで自社の状況をよく考え、メンター制度の導入を前向きに検討してみてほしい。