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給与計算アウトソーシングとは?導入のメリット・デメリットやサービスの選び方を解説

2021.11.25

給与計算にまつわるさまざまな業務を代行する「給与計算アウトソーシング」。労務や経理担当者としては、「複雑な給与計算を正確に行いたい」「給与計算をアウトソーシングしてコストを削減したい」と考えることもあるのではないだろうか。

今回は、給与アウトソーシングの概要や主な委託先、委託できる業務や相場、導入するメリット・デメリットなどを紹介する。アウトソーシングサービスを選ぶ際のポイントも紹介しているので、参考にしてほしい。

目次

●給与計算アウトソーシングとは
●給与計算アウトソーシングで委託できる主な業務
●給与計算アウトソーシングの相場
●給与計算アウトソーシング導入のメリット・デメリット
●給与計算アウトソーシングサービスの選び方
●まとめ

給与計算アウトソーシングとは

まずは、給与計算アウトソーシングの概要と、主な委託先を把握しよう。

給与計算アウトソーシングの概要
「給与計算アウトソーシング」とは、自社の従業員の給与計算をはじめとする業務を外部に委託すること。「給与計算代行」とも呼ばれる。給与計算は毎月発生する業務でありながら、専門性が必要で複雑な計算もあるため、従業員の人数が多いほど担当者の負担も大きいという課題がある。

給与計算アウトソーシングは、そのような課題を解決するだけでなく、さまざまなメリットを得られる手段として注目されている。

主な委託先
給与計算のアウトソーシング先は、主に「給与計算代行会社」「社会保険労務士事務所」「税理士事務所」の3つだ。委託先によって対応できる業務が異なるため、事前に確認しておく必要がある。

それぞれの特徴は以下の通り。

 

給与計算アウトソーシングで委託できる主な業務

次に、給与計算のアウトソーシングで委託できる主な業務を紹介する。

≪給与計算代行、賞与計算代行≫
「給与計算代行」は、タイムカードなどの勤怠データや従業員情報を基に、毎月の給与計算を代行するものだ。残業代や社会保険料、雇用保険料、所得税、住民税の計算が含まれる。給与明細の作成や印刷、封入、発送、データ配信などの「明細発行関連業務」を含む依頼をすることもできる。

賞与の計算を代行する「賞与計算代行」は、通常給与計算代行には含まれない。しかし、社会保険料や税金の計算、賞与明細の作成や印刷が発生するため、毎月の給与計算業務と併せて外部委託するケースが多い。

≪振込・納税代行≫
給与振込データを作成し、振込や税金の納付を代行するのが「振込・納税代行」だ。「給与計算代行」「賞与計算代行」に追加する形で依頼することが多いが、対応していない依頼先もあることに注意しよう。

≪年末調整代行≫
所得税の1年間の過不足額を精算するための、年末調整。「年末調整代行」は、年末調整に必要な以下の業務を代行するものだ。

●扶養控除申告書の封入・送付・記載内容のチェック
●従業員からの問い合わせ対応
●源泉徴収票、支払報告書、法定調書合計表などの作成、提出

年末調整は年に1回の業務でありながら複雑かつ手間と時間がかかる。また、年末から年初にかけての繁忙期に行う必要があるため、担当者の負担が大きい。そのため、日常的に「給与計算代行」を依頼していない企業が、スポット利用することもある。

≪住民税更新代行≫
「住民税更新代行」は、地方税の更新作業を代行するものだ。住民税の更新では、従業員の居住地から送付される「特別徴収額通知書」を基に、毎月控除する住民税額を更新する。紙媒体を大量に扱う必要があり時間的なコストがかかることや、毎年1回、5月から6月に発生し繁忙期が限られていることから、「年末調整代行」と同様に期間限定で依頼するケースも多い。

給与計算アウトソーシングの相場

給与計算をアウトソーシングする場合の相場を、「給与計算のみの場合」と「オプション料金」とに分けて紹介する。

給与計算のみの場合
従業員数50名程度の企業が、「給与計算代行」のみを依頼する場合の金額は、1カ月あたり4万円~6万円程度
だ。「従業員1人あたり500〜1,000円」といったように、従業員数に応じた料金体系をとっている代行会社もある。

給与計算のみのアウトソーシングでは、「勤怠データの集計」や「給与明細の作成」は自社で行わなければならないことに注意しよう。

給与計算以外のオプション料金
給与計算代行以外に依頼できるオプションの例は、次の通りだ。

●勤怠データの集計
●給与明細の作成、印刷など
●賞与計算
●年末調整
●住民税の更新
●社会保険料の算出
●社会保険の手続き

オプションの内容や依頼先によって料金は異なるが、従業員50名あたりの相場は、1カ月あたり10万円~20万円。従業員数に応じた料金体系の場合は、従業員1人あたり1,000〜2,000円程度だ。

給与計算を依頼せず、年末調整や住民税更新のみを依頼する場合は、相場よりも割高になる可能性がある。

給与計算アウトソーシング導入のメリット・デメリット

給与計算アウトソーシングを導入することで、企業にはどのような影響があるのだろうか。給与計算をアウトソーシングするメリット・デメリットを紹介する。

給与計算アウトソーシング導入の<メリット>
給与計算をアウトソーシングすることで、企業には以下のメリットがある。

●給与計算業務の属人化を防げる
●法改正への対応がスムーズに行える
●人・時間にかかるコストを削減できる
●給与計算のミスを減らせる
●コア業務に注力できる
●季節的業務に合わせたリソースの増減に対応できる
●労務管理の課題点を把握できる

給与計算は社会保険や税金などの専門的な知識が必要なため、属人化しやすい業務と言える。アウトソーシングすることで、担当者が怪我や病気を患ったり産休・育休を取得したりする場合にも対応しやすい。また、アウトソーシングサービスを提供している代行会社や社会労務士、税理士は法律にも精通しているため、計算ミスや法令違反を防ぐことができるだろう。

給与計算アウトソーシング導入の<デメリット>
一方で、給与計算アウトソーシングの導入には以下のデメリットが考えられる。

●一部の業務は自社で行う必要がある
●自社にノウハウが蓄積されない
●データ漏洩の可能性がある

これまで給与計算業務を行っていた時間や人材のリソースを再配分することで、社内にノウハウが蓄積されないなどのデメリットが発生する可能性がある。また、情報漏洩のリスクもあるため、委託先は慎重に検討する必要がある。

給与計算アウトソーシングサービスの選び方

給与計算アウトソーシングサービスを選択する際に、注意すべきポイントを紹介する。

対応している業務範囲
まず、アウトソーシングサービスが対応している業務範囲を確認することは必須だ。前述の通り、給与計算には「勤怠データの集計」から始まり、「年末調整」や「税金の手続き」なども関係する。これらの業務を全て委託するのか、一部の業務を委託するのかによって、委託先を検討しよう。

なお、委託先によって対応できない業務もあることに注意が必要だ。例として、「年末調整」は、給与計算までは社会保険労務士も行えるものの、法定調書の作成や手続きについては税理士しか行うことができない。また、社会保険の手続き、賃金台帳の作成等は社会保険労務士にしか認められていない独占業務であるため、税理士に依頼することはできない。

あらかじめ委託したい業務内容を精査したうえで、対応可能な業務や業務スピード、柔軟性などを確認しよう。

料金
業務範囲とともに重要なポイントとなるのが料金だ。アウトソーシング先や依頼する業務、従業員数などによって料金が異なるため、「同じ料金でどこまでの業務が含まれるのか」「オプションを追加した場合の合計金額の差はどの程度か」「導入前と比較してコストが抑えられるか」など、価格に見合うサービスかどうかを見極めよう。

導入後にかえってコストがかかってしまうことのないよう、現在の給与計算に費やしている人件費などを正確に把握しておくことも重要だ。自社の業務状況や予算を踏まえて、各社の料金比較を行おう。

専門性、正確性
専門性や正確性も、アウトソーシング先を選ぶポイントとなる。見積り依頼やトライアルを行う際は、依頼したい業務の法令に精通しているか、正確で丁寧な業務が期待できるかなども見ておこう。どの程度の規模の会社でどのような給与計算代行を行ってきたのかなど、実績も把握できると、判断材料になるだろう。

情報管理の安全性・セキュリティ
給与計算のアウトソーシングでは従業員の個人情報や給与データを外部に渡すことになるため、セキュリティには十分注意を払う必要がある。個人情報を守るためにも、情報管理や運用の体制、プライバシーマーク(Pマーク)の取得の有無などをチェックしよう。

関連記事:「Pマークとは? 取得の流れやメリットを紹介」

まとめ

給与計算に関連した業務は勤怠データの集計や年末調整、住民税の更新など多岐にわたるため、すべてもしくは一部をアウトソーシング化することで、コストの削減やミスの防止などのメリットが期待できる。給与計算アウトソーシングの対応業務や料金は委託先によってさまざまなため、導入を検討する際は、自社の給与計算の業務状況や依頼したい内容、予算などをあらかじめ整理したうえで、各サービスを比較検討しよう。

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