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【2023最新版】BPO市場の概況と市場を取り囲む環境、今後の予測を解説!

2023.03.03
オフィスのミカタ編集部

自社の業務効率化のために、BPOサービスの導入を検討してる担当者もいるだろう。自社の業務を継続的に委託できるメリットは大きく、昨今の人材難も相まって市場規模は拡大傾向にある。今回は、BPO市場の概況や市場規模が拡大している理由、BPOを活用する上での注意点について紹介する。

目次

●BPO市場規模は年々拡大している
●BPO市場を取り囲む環境と市場が拡大している理由
●BPO市場の今後の予測
●BPOを活用する際の注意点
●まとめ

BPO市場規模は年々拡大している

企業の業務プロセスを外部企業に委託するBPO(Business Process Outsourcing)。自社のリソースをコア業務に注力させられる、コスト削減につながる、などのメリットから、BPOの市場規模は年々拡大している。まずは、株式会社矢野経済研究所が2021年に発表したデータを基に、現在のBPO市場の規模感や、今後の予測を見てみよう。

 

(出所:(株)矢野経済研究所『BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査(2022年)』2022年11月8日発表

矢野経済研究所の調査によると、2021年度におけるBPOサービス全体の市場規模は、事業者売上高ベースで4兆5,636億9,000万円(推計)、前年度比3.0%増となっている。このうち、IT系BPO市場規模が同2.9%増の2兆6,888億円、非IT系BPO市場規模が同3.3%増の1兆8,748億9,000万円だ。今後も市場は伸び続け、2022年度では約4兆7,000億円に迫り、2026年度には5兆円を突破する予測だ。

BPO市場を取り囲む環境と市場が拡大している理由

調査から見て取れるように、BPO市場は年々拡大の一途を辿っている。BPO市場拡大の背景には、BPO市場を取り囲む社会や経済環境がある。その主な理由を見てみよう。

企業の人材不足
少子高齢化による人材不足が、BPO市場拡大の要因の一つと考えられる。日本国内の生産年齢人口(15~64歳)は1995年をピークに減少しており、人手不足に悩む企業は多い。企業はコア業務を担う労働力を確保するために、バックオフィス業務や外部委託が可能な業務はBPOで対応しているという背景がある。

(参考:総務省『令和4年版 情報通信白書|生産年齢人口の減少』

働き方改革
労働契約法の改正による無期雇用社員の対象者増加や、派遣法改正における直接雇用化、時間外労働の上限規制なども、BPO市場が拡大している理由だ。企業が有期労働契約の雇用をためらうようになったことと、時間外労働の上限規制で既存の従業員だけでは業務がまわらなくなり、不足するリソースをBPOで委託せざるを得ない状況となっている。

(参考:首相官邸『働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律』概要

デジタルトランスフォーメーション(DX)の促進
DXの推進も、BPO市場の活性化に関係深い。政府がDXを推進している背景には、日本のDXが世界に遅れを取っているという現状がある。「2025年以降の5年間で、最大で年間12兆円の経済損失が生じる」という危機感から、各企業は競争力の維持・強化のために、既存システムを刷新してDXを進めていくことが求められている。アナログな業務をデジタル化して業務効率化を図るとともに、デジタル化できない業務はBPOで外部に委託することがポイントだ。このように、DX推進手段の一つとしても、BPOの活用が進んでいると考えられる

(参考:『経理業務におけるDX。重要性やメリット、推進の方法や知っておきたいコツ』

BPO市場の今後の予測

BPOの導入を検討している企業には、今後の市場がどうなるのか気になる担当者もいるだろう。ここでは、BPO業界の今後の予測について解説する。

BPO市場は引き続きプラス成長と予測
BPO市場は、今後もプラス成長になると予測されている。政府による働き方改革の推進や、業務オペレーションの見直しに取り組む企業が増えていることなど、サービス需要の増加が市場拡大を後押ししているようだ。

(出所:(株)矢野経済研究所『BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査(2022年)』2022年11月8日発表

BPOによるグローバル化が進む
経営環境のグローバル化も、BPO市場を考える際の重要な要素だ。BPOによる企業のグローバル化には、以下のようなさまざまな理由がある。

・国によっては日本よりも人件費が安く、コスト面でメリットがある。
・地震や台風が少ない地域に業務を委託することで、自然災害によるリスクを分散する。
・日本国内の人口減少により対応が難しくなっている業務を、海外にBPOで委託して生産性を上げる。

JETROの地域分析レポートによると、「海外事業拡大意欲は過去最低も、新規進出意欲は衰えず」とあり、企業の海外進出に対する意欲の高さが伺える。海外進出における行政手続きや現地での給与計算・労務管理などをBPOで海外に委託することによって、ビジネスのスピードを加速できるという側面もあるだろう。

(参考:ジェトロ『未曽有の危機下で日本企業が模索する海外ビジネス』

BPOを活用する際の注意点

自社の課題解決に向けて、BPOの導入は選択肢の一つになるだろう。ただし、活用するにはいくつかの注意点がある。担当者は次のようなことに注意して、BPOの導入を検討してほしい。

進捗や成果など状況を把握しておく
BPOで外部に委託しても、業務の進捗や成果は把握するよう努める必要がある。BPOは一般的なアウトソーソングと異なり、業務の一部ではなくすべてを委託することが一般的であるため、進捗や成果がわかりにくいという側面がある。委託した業務について、随時、状況を把握するようにしたい。

ナレッジが蓄積されるようにする
BPO事業者に任せきりにすると自社にナレッジが蓄積されず、同じ課題の対応に時間がかかる、担当者が異動する際に十分な引継ぎが行われないなどのリスクがある。BPO事業者がどのような取り組みを行っているのかを自社で共有して、社内でナレッジを有効活用できる仕組みを考えておきたい。

セキュリティ対策の確認が必要
BPO事業者のセキュリティ対策は、そのまま自社の情報を守ることにつながる。業務を外部に委託することは、社内の情報を外部へ持ち出すということでもあり、情報漏えいのリスクを伴う。BPO業者がISMS認証やプライバシーマークの認証を取得しているか、情報をどのように管理しているのか、セキュリティに関する社員教育を徹底しているかなどの確認は必須だ。

人材の処遇も考慮する
BPOの導入によって、社内で異動や配置転換となる従業員もいるだろう。従業員によっては、モチベーションが低下してしまう懸念がある。異動先のキャリアを明示する、新しい職場に溶け込めるよう配慮するなど、従業員のケアも気をつけたいポイントだ。

まとめ

BPOの市場規模はプラス成長との予測で、BPOで業務を外部委託する企業は今後ますます増えていくだろう。この数年でテレワークが進んだことにより、働き方は多種多様になった。企業によっては従来の業務を見直して、自社の従業員が行う業務と外部に委託する業務を切り分ける必要がある。担当者は、BPOのメリットだけではなく委託する際の注意点を考慮しながら、BPO導入を検討してほしい。

(関連記事:『BPOとアウトソーシングの違いとは?導入メリットやポイントを解説』