入社手続きに必要な業務ワークフローと電子化による効率化プロセスを解説
入社手続きに係る手続きが煩雑で、頭を抱えている担当者は少なくないだろう。しかし、業務の多くは電子化することでスムーズに処理できることをご存知だろうか。ここでは入社手続きの一般的なフローの概要や、負担を軽減する人事・労務管理システムを紹介する。
入社手続きを進める際の大まかなフロー
入社手続きの際に行う業務の概要やフローについて見ていこう。
法定三帳簿(労働者名簿・賃金台帳・出勤簿)を作成する
法定三帳簿とは労働基準法によって定められている労働者名簿・賃金台帳・出勤簿のこと。これらの書類は企業に対して整備・管理・保管が義務付けられている。特徴については下記の表を参考にして欲しい。
社会保険(健康保険、厚生年金)の手続き
社会保険の手続きは、雇用開始から5日以内に健康保険・厚生年金被保険者資格取得届を健康保険組合、厚生年金基金あるいは年金事務所に提出する必要がある。
新卒採用者と中途採用者で変わる雇用保険の手続き
雇用保険の手続きは、雇用開始した翌月10日までに労働者名簿や雇用契約書と併せて雇用保険被保険者資格取得届をハローワークに提出する。中途採用者の場合には、被保険者番号の確認のために雇用保険被保険者証を提出してもらう必要がある。
税金に関する各種手続き
会社側で行う税金の手続きには、所得税と住民税が挙げられる。所得税の手続きには、以前の勤務先から給与所得の源泉徴収票を提出してもらう必要がある。また、採用者には入社後に給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出してもらう。
住民税には会社が代わりに納付する特別徴収と、納税者が直接納付する普通徴収の2種類がある。採用者が特別徴収を希望する場合、「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を、住民税を納付する市区町村へ提出する。
支給する備品の手配と支給
PCや社員証など、入社直後から使用する備品については入社当日に支給できるよう手配を進めておく必要がある。また、円滑に業務に取り掛かれるよう社内メールアドレスや各種パスワードについても用意しておくと良いだろう。
入社手続きを進めるに際して必要となる書類
入社手続きに必要な書類は会社によって異なるが、ここでは最低限必要な書類について紹介する。
会社側で用意して内定者に記入してもらう書類
会社側で事前に用意し、内定者に記入してもらう書類は下記の6種類だ。それぞれの特徴については下記の表を参考にしてほしい。
・扶養控除等申告書
・健康保険被扶養者異動届
・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・給与振込先届書
・雇用契約書
・各種手当支給届出書
内定者に提出してもらう書類
内定者に提出してもらう書類は下記の6種類である。それぞれの書類の特徴については下記の表を参考にしてほしい。
・年金手帳
・マイナンバー
・健康診断書
・住民票記載事項証明書
・雇用保険被保険者証
・源泉徴収票
このように、入社の際に必要な書類は多く、会社・内定者双方にとって負担が大きい。中には電子化できる書類も多いため、作成・仕分け・管理の手間を削減するためにもぜひ電子化を検討してみてほしい。
入社手続きに係る書類を電子化するメリット
入社手続きに係る書類を電子化することで享受できるメリットを見ていこう。
書類の作成および提出する手間や時間を軽減できる
入社手続きにはさまざまな書類を作成し、郵送や事務所へ直接出向いて提出する必要があった。しかし、書類を電子化することで入力や管理の手間やミスの削減などが行える。そのほかに、採用者に直接フォーム上で入力してもらうことで担当者の手間を軽減できるだろう。
書類作成にかかるコストを節約できる
紙の書類の場合、出力することでインク代や用紙代の他に管理するためのスペースやファイル代が必要になる。書類を電子化することでこのようなコストカットが行えるほか、必要なデータにすぐにアクセスすることも可能だ。
書類の電子化に伴って人事管理システムを導入すれば手続き漏れも防止
書類を電子化するためには人事管理システムを導入する必要があるが、人事管理システムにはtodoリスト機能やリマインド機能、担当者へメールを飛ばすアラート機能などが用意されているため、抜け漏れを防止することができるだろう。
書類の電子化には専用のソフトやアプリの導入が不可欠
書類の電子化にあたって、まずやるべきことは専用のソフトやアプリの導入だ。エクセルなどの無料ツールでも管理は可能だが、1からフォーマットの構築が必要になるほか、入力フォームの作成など余計に手間がかかってしまうため、専用のツールを利用することを検討することをお勧めしたい。
入社手続きを電子化する方法
具体的に入社手続きを電子化するための方法について紹介しよう。
電子証明書を発行申請して取得する
厚生年金保険や健康保険などの行政手続きを電子化するためには、電子証明書を取得する必要がある。電子証明書の取得方法は下記の通りだ。
1:法務局へ提出するための申請書及びデータの作成
2:法務局へ行き1の提出と発行手数料を支払う
3:電子証明書のダウンロード
人事・労務管理システムを導入する
人事・労務管理システムでは、各種保険の手続きなど入社手続きに関する書類の電子化や給与計算、勤怠管理などが行える。システムによって搭載している機能や料金形態は異なるため、自社に最適なものを選ぶようにしよう。
入社手続きをサポートしてくれる人事・労務管理システム
SmartHR
50,000社以上の登録社数を誇る「SmartHR」は、雇用契約などの労務手続きに関する業務効率化のほかに人事データの一元管理や人材マネジメントまで幅広くサポート。40以上の外部サービスと連携可能なほか、APIによる自社システムとの連携が効くのも魅力だ。
https://smarthr.jp/
freee人事労務
転記作業・紙・抜け漏れなどの人的ミスのゼロを掲げる「freee人事労務」。人事労務の基本的な機能はもちろん、外部に委託するアウトソースサービスも用意されている。また、初めてシステムを利用する場合でも、充実の導入サポートが設けられているため安心だ。
https://www.freee.co.jp/hr/
クラウドハウス労務
全ての人事労務業務をペーパーレスにすることをモットーにしている「クラウドハウス労務」。人事・全社の生産性を向上させるため、業務の電子化だけでなく従業員のデータを一元管理しデータベースを構築することが可能だ。また、採用サポートの「クラウドハウス採用」というサービスも展開している。
https://jp.cloud-house.com/
オフィスステーション労務
利用社数20,000社以上、継続率99.3%を誇る「オフィスステーション労務」。情報の一元管理とペーパーレス化によって、労務のミス抑制と業務効率化を実現させる。従業員情報は全てクラウドで一元管理しているため、欲しい情報にすぐにアクセスが可能。各種申請書や帳票の作成などのやり取りも全てクラウドで完結できる。
https://www.officestation.jp/roumu/
HybRid
入社から退社までの手続きをオンラインで完結できる「HybRid」。従業員がPCだけでなく自分のスマホからでも申請できるため、管理工数やコストの削減が見込める。社労士法人が監修しているため労務リスクの軽減も特徴の一つだ。
https://www.hybrid.cool/
まとめ
入社手続きの煩雑なフローは、システムを導入し電子化することで殆どが解消できることがおわかりいただけただろう。入社手続きをサポートしてくれる人事労務サービスは多岐にわたるため、自社にとって適切なものを選んでみてほしい。