「アルコール検知器使用義務化」開始でどう変わった? 管理・運用体制の構築が急務
2023年12月1日より、「アルコール検知器使用義務化」(※1)がスタート。すでに白ナンバー事業者のアルコールチェックの義務化は2022年4月に始まっており、同10月には安全運転管理者の罰則が強化されるなど、段階的に道路交通法の改正が進んできたが、今回の改正で企業や管理運営側の責任がさらに重くなるのは間違いない。特に検知器の常時有効保持、検査記録保存の規定など「検知器の準備だけでは規定への対応は十分ではない」ことへの理解・準備は必須だ。そこでアルコールチェック管理サービス『スリーゼロ』を展開する株式会社AIoTクラウド、プロダクトマネージメント部の青木芳和係長に、今回の義務化で重要な管理・運用について聞いた。
※1:安全運転管理者に対し、アルコール検知器を用いて運転者の酒気帯びの有無の確認を行うこと、並びにその内容を記録して1年間保存すること、およびアルコール検知器を常時有効に保持することを義務付ける規定(警察庁)。
アルコール検知器の準備だけでは解決しない。運用・管理体制を整えることが重要
──12月1日から「アルコール検知器使用義務化」がスタートしました。今回の重要なポイントは何でしょうか。
12月からスタートする義務化では、運転前後のアルコールチェックは目視ではなく、アルコール検知器をきちんと使用することが義務となります。同時に、アルコール検知器が常時有効な状態で保持されること、その記録を1年間保存することも求められますので、これまで以上に厳格な管理運用が必要です。
──厳格な管理運用とは、具体的にどういったことでしょう。
まず、アルコール検知器には寿命があり、正確に検知できる機能を保持できていることが求められます。検知器の寿命はメーカーや機種によってまちまちで、例えば1000~1500回使用可能あるいは1年間有効など、現状は寿命を迎えるたびに追加購入している企業も多く、ひとつの企業で複数の機種を並行利用しているのが実情です。これらを常時有効な状態に保つためには、保守管理をしっかり行える体制を構築していかなければなりません。特に検知器の保有台数が多い企業ほど、多大な業務を強いられるので、どれだけ簡略化できるかが問われます。
お客様の要望・課題を反映した、新たな標準サービスを展開
──アルコールチェック管理サービス『スリーゼロ』は、2022年4月から正式にサービスを開始していますね。導入している企業からはどのような要望が寄せられていますか。
義務化に合わせてアルコール検知器を急遽購入した企業も多く、さまざまな機種に対応して欲しいというご要望がもっとも多いです。また、早朝や深夜、休日の運転業務に合わせたアルコールチェックの対応について、他社はどのように対応しているのかを教えてほしい、あるいはアドバイスしてほしいといったご要望もいただきます。ほかには運転日誌への仕様追加、なりすまし防止の強化など、さまざまです。
『スリーゼロ』の最大の特長は、特定のアルコール検知器に対応したサービスではなく、現在市販されている多くのアルコール検知器(2023年11月30日現在、対応機種63社111機種)に対応した、クラウドサービスであるという点にあります。
サービス提供開始以来、お客様の要望や課題を集約して約3カ月に一度、標準サービスとしてアップデートしてきました。運用を始めてから、私たちが予想しなかったような課題など企業の皆様からのフィードバックを受け、現場に適したツールになるように対応しております。
──まさに11月末にもバージョンアップされていますよね。新しい機能について改めてお聞かせください。
アルコール検知器使用義務化に伴う厳格な管理運用を迫られた担当者のために、業務効率化および負担削減ができるよう、今回の『スリーゼロ』は大きく3つのポイントでアップデートしました。
まず多くのお客様からご要望があった、なりすまし防止を強化できる「AI顔認証」を搭載しました。これで本人確認作業がとても楽になります。
次に、「検知器管理」機能です。保有するアルコール検知器ごとの有効期限や使用回数などをツール上で管理できるようになりました。
そして3つめは、うっかり忘れ防止対策として「免許証読み取り」機能です。NFC(※2)対応スマホでワンタッチ免許証確認ができるほか、運転日誌などの管理機能の改善、使い勝手の向上も実現しました。
※2:NFC「Near field communication」(近距離無線通信技術)の略称。スマホや交通系ICカードなどに搭載されている。
さまざまな外部サービスとの連携を推進中
──外部サービスとの連携も積極的に推進されているのですよね。
12月1日からは、三井住友海上のフリート契約者(所有・使用する自動車のうち、合計契約台数が10台以上ある契約)向けの専用ドライブレコーダー「F-ドラ」に、有償サービスとして連携します。またエレコム株式会社製のアルコールチェッカー「ALSmart(アルスマート)」との連携では、アルコール検査時にBluetoothで接続すると、自動で個体識別番号や残使用回数などを取得し、管理ツール上で把握できるサービスも提供しはじめました。
すでに連携しているサービスも活用しやすくなっています。例えば、パイオニアの「ビークルアシスト」では運転日報、車両データとの一元管理によって安全運転管理者の負担を軽減できます。また、ワークスモバイルジャパンの「LINE WORKS」、キングソフトの「WowTalk」では、スリーゼロ対応のアルコール検知器でアルコールが検出された場合および、スリーゼロで車両予約をしているのに予約開始時間が近づいてもアルコールチェックが未実施の場合(スリーゼロのスタンダードプラン以上)に、チャット(トーク)を受け取れるようになっています。
さらに、総務やバックオフィスで導入しているサービスなどとの連携も推進中です。
──一元管理出来れば、担当者の人数が限られていても安心です。チャットで通知が受け取れるのも便利ですね。こうした連携やアップデートが行われる中、導入企業からの評価はいかがでしょうか。
さまざまなアルコール検知器に対応している点を、高く評価をいただいています。検知器を追加購入するに当たり、機能の変更や在庫の状況などもあり、同一メーカーで統一できなくなることが多々あります。機種が複数になっても、『スリーゼロ』なら新たにシステムを導入することなく対応できるので、コストを抑えてスムーズに運用を開始でき、担当者の負担軽減につながっているのではないでしょうか。
「今までは紙で管理していた」と言う企業様からスムーズに移行できたとの声もいただいていますし、ある企業様の例では事業所ごとに管理方法がバラバラだったのが、『スリーゼロ』導入で全社一元管理が可能になったとお聞きしていますし、あるいはリモートでの対応がラクになったとの評価もあります。
さらに管理運営側だけではなく、運転者側の方からも「スマホで指示に従ってボタンを押していくだけで簡単に操作が完了する」と負担軽減を評価いただきました。
──確かに、管理だけでなく運転者も検知器の使用は「面倒」と捉えられそうですが、スマホだけで完結するなら違反も減らせそうです。
アルコールチェックといえば従来は輸送業などを対象としているイメージがありましたが、白ナンバーが対象、しかも今回の義務化要件を受けて、学童保育やスポーツジムなど、「送迎車のある事業所」も義務化の対象となってきました。『スリーゼロ』も最近ではスポーツ系の企業や学校関係などでも導入が始まっており、評判は上々です。今後はますます、アルコールチェックが当たり前のこととなっていくだろうと思います。
現場の負荷を下げて、継続して管理をできるかどうかが鍵になる
──義務化のスタートを受けて、今後どのようなことを注意していけばよいでしょうか。
まず、アルコール検知器の購入の際は、価格だけで判断せず、自社の使用形態に合わせて、使いやすく精度の高い機器を選ぶことが、持続的で確実な運用の要となります。購入後は、アルコール検査の管理を確実にすることです。そして、アルコール検知器を使用したアルコール検査を効率的に、継続して運用していくためには、コスト面でも業務面でも負荷を極力下げていくことが大切です。
『スリーゼロ』はこの点をサポートできるサービスです。保有するアルコール検知器に対応できるかなど、些細なことでも結構ですので、ぜひお問い合わせいただきたいです。