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パート・アルバイトの社保適用拡大で何が変わる?人事労務担当者がおさえておきたいポイント【freee解説勉強会より】

2024.03.29
オフィスのミカタ編集部

2023年12月22日、「令和6年度税制改正の大綱」が閣議決定され、方針が示された。これを踏まえ、2024年2月28日には人事労務や会社設立を支援するクラウドサービスのフリー株式会社が「2024年 労務で対応が必要な法改正に関する解説勉強会」を実施した。勉強会では、税制改定大綱を受けた定額減税の解説と、今年人事労務での対応が必須となるパートアルバイトの社会保険適用拡大について解説。本記事ではパート・アルバイトの社会保険適用拡大について人事労務担当者がおさえておきたいポイントを紹介する。
※解説記事:定額減税とは?人事労務担当者がおさえておきたいポイント【freee解説勉強会より】

パート・アルバイトの社保適用拡大

フリー株式会社(以下、freee)の勉強会では、今回の法改正で労務担当者が押さえておきたいポイントとして、「パート・アルバイトの社保適用拡大」「定額減税などの税制改正関連」が挙げられた。

まずはパート・アルバイトの社会保険適用企業の拡大から解説したい。

対象となる企業

これまで従業員数100人以下の企業には、パート・アルバイト等の短時間労働者への社会保険適用義務がなかった。今般の法改正により、従業員数51人から100人の企業が、新たに適用対象となる。従業員数50人以下の企業については、これまでどおり社会保険の適用義務は適用にならない。

対象となる従業員

社会保険の加入対象となるのは、以下4つを全て満たす従業員だ。

1. 週の所定労働時間が20時間~30時間
2. 所定内賃金が月額8.8万円以上
3. 2ヶ月を超える雇用見込み
4. 学生ではない

新たに社保適用対象となる従業員は、現在は国民年金・国民健康保険に加入しているか、厚生年金・健康保険組合に被扶養者として加入している。

人事労務で必要な対応

今後、人事労務で必要になる対応は、主に以下の2つだ。

・新たに加入対象になる従業員の社会保険加入手続き
2024年9月下旬に日本年金機構から通知が届くため、届書を作成して10月7日までに提出。

・社会保険料を従業員給与から徴収して、折半になる事業主分も併せて納付
他の従業員と同様に、新たな社保加入対象者の給与等から保険料を天引きして徴収し、会社からまとめて保険料を納付する。

今後の影響

freeeの勉強会では、週20時間未満の従業員の半数が100人未満の企業で勤務していることがデータで示された。このことから、今後も社保適用のボーダーラインが引き下げられると、それだけスモールビジネスへの影響が大きいだろう。

今後、雇用保険については週10時間以上の短時間勤務者への対象拡大が検討されている。もし拡大すれば、育児休業給付金や失業手当の給付が受けられるため、多様な働き方への対応が促進されるだろう。

※出典元:職業安定分科会雇用保険部会(第185回、2023年10月2日開催)「雇用保険の適用拡大について」(厚生労働省)p59