掲載希望の方 オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

クレーム対応・謝罪3つの基本 「早め」「聞く」「認める」~オフィスのお役立ちコンテンツ

2024.06.20
広瀬敬代

謝罪は、誰でも気が重くなるもの。子どものころは、素直に「ごめんなさい」と言葉で表すことで誠意が伝わるが、ビジネスの場となると簡単ではない。まずは相手の怒りの理由を知ることが大切だ。今回は謝罪のポイント、クレーム対応について紹介する。

謝罪時は相手の話を誠心誠意“聞く”ことが大切

仕事上でのトラブルや失敗は誰もが経験することだが、それをしっかりと謝罪して相手と和解できれば、自社製品のファンや重要なリピーターになってくれるかもしれない。その先のビジネスチャンスをつかむ可能性は高まる。相手との関係を良好にする上手な謝罪の仕方を知っておこう。

上手な謝罪方法でおさえておきたいポイントは6つ。

1. 服装を整える

人は見た目で判断するもの。まして謝罪に伺う場合はなおさらだ。誠意を感じる身だしなみが必要となる。

具体的には、ヘアスタイルを整え、スーツやジャケットは必須と言える。また腕時計は外していくほうがいい。無意識のうちに腕時計をちらりと見てしまうと、「時間を気にしている」、「話を聞いていない」と判断され、かえって怒りが増幅してしまうからだ。同じように、相手の怒りを増長する要因になりやすいスマートフォンの音もならないように設定しておこう。

2. 時間を置かずに、迅速に謝罪にうかがう

どんな原因でも、自分に落ち度がなくても、相手を不愉快な気持ちにしてしまったことに対しての誠意を示すには、すぐに謝罪をすることだ。時間が経つほどに信頼度は落ちていき、関係修復が困難になることを覚えておきたい。

3. 対面で謝罪する

怒っている相手に対面するのは誰でも嫌なもの。電話やメールで済ませたいと考えるが、会いに行くことが一番。怒りの度合いによるが、怒られるのは必至だとしても、訪問をして、対面で謝罪すれば、相手がエンドレスで怒り続けることはほとんどない。「すぐに謝罪に来てくれた」と思ってもらえれば関係修復もスムーズになるはずだ。

4. 自分の非を素直に認める

なぜ相手が怒っているのか理由がわからないということも多々あるだろう。しかし、相手を不愉快な気持ちにしてしまったことは事実。まずは素直に謝ることが大切だ。

この時に注意したいのが、謝罪の言葉。ビジネスの場ということを忘れずに、きちんとした言葉を使うのがマナー。「すみません」はNG。「申し訳ございませんでした」よりも、最上級の「大変申し訳ございませんでした」が適切だ。
最上級の謝罪の言葉を使うことで、相手の感情をしっかりと受け止めていることが伝わる。また、謝罪はボソボソ話さずに、しっかりとした声で話そう。

謝罪をする際に、何について謝罪をしているのかを明確にしたほうが良い。
例えば、
×「この度はご迷惑をおかけし大変申し訳ございません」
ではなく、
〇「この度は、弊社のシステムが一時的に利用できなくなってしまい、大変申し訳ございませんでした」

5. 相手の言葉を聞く

怒っている相手の言葉はきつく感じるだろう。しかし、話の途中で言い訳や弁解をすると、怒りのボルテージは上がるばかりだ。しっかりと相手の気持ちを聞くことが大切。うなずきながら相手の気持ちが落ち着くのを待とう。

6. 今後の対策、代替案を準備する

謝罪と合わせて準備すべきなのが代替案や、トラブルを回避するための対策、その準備をするという心構えを話すこと。

例えば、システム障害で迷惑をかけてしまった場合は
「二度とご迷惑をおかけすることがないように、システムのセキュリティを強化します」
「今後このようなトラブルが起きないように早急に改善いたします」など。
できない約束はせずに、現状を伝えることが重要だ。

クレーマーを“ミカタ”にする

クレームはどんな仕事でもありうることだ。それをうまく収めて次へとつなぐ極意は、「クレーマーを敵ではなく、味方にする」こと。味方にするためのポイントは以下の3点。

1.傾聴

まず、クレームの話をじっくりと聞く。クレームが発生したのは、相手の期待を下回る結果になってしまったからだ。どういう期待だったかは話をじっくり聞いていくとわかることが多い。例え、どんなに理不尽な主張であっても、クレームを言う相手からすれば理にかなっていることになる。感情的になっていることも多いので、その感情を吐き出してもらうお手伝いをすることがとても重要だ。

聞く際のポイントは、「相手の言葉にうなずく」「言い訳はしない」「オウム返しをする」「おおきめのリアクションをとる」こと。

例えば、商品についてのクレームの場合、相手はその商品を自分の思い描いた通りに使うことができなかったことに対して怒っている。どんな使い方をしたかったのかを質問して、その答えをオウム返しすることで、相手にとっては、「自分の思いをしっかりと聴いてくれている」と安心感を持ってもらえるのだ。

2.謝罪

相手の怒りがどれくらいのものかを知ることは難しい。「あなたの感情をしっかりと受け止めています」という気持ちを示すためにも最上級の謝罪の言葉が適切だ。

3.感謝

クレームを伝えてくれたことは、それを解決したいという思いがあるからだ。クレームがあるのに言葉に出さずに去っていく人は二度と関係を修復することはできないが、クレームを言ってくれる人は解決することで関係は良くなり、ファンやリピーターになってくれる。さらに、クレームを言ってくれたことで自社の商品やサービスの改善につながる。改善されれば、クレームを言った人はもう一度サービスや商品を利用しようと思ってくれる。という具合に前向きな連鎖につながるからこそ、「これから改善していきます。ありがとうございます」という言葉を伝えることが大切だ。また、「ありがとう」という言葉で、相手が吐き出した感情を前向きな感情に変えられ、相手の気持ちが落ち着くことが多い。

短気はビジネスチャンスを無駄にする

謝罪の場は我慢が強いられることが多いが、短気を起こしてしまうと関係は悪化するばかり。責任転嫁、言い訳、口ごたえ、逆切れ、開き直りは言語道断。“もし自分が相手の立場だったら”と考えて感情をおさえよう。ピンチはチャンスに変わるもの。その先のビジネスを頭に浮かべて真摯に対応していこう。