請求書は「減らすが勝ち!」 一括請求サービスで受取請求書革命
通信費や水道光熱費など、企業にはさまざまなタイミングで多くの請求書が届き、それを処理する総務・経理担当者の負担は大きい。また、事業所が複数あったり、多店舗展開していたりする企業では、拠点の数だけ請求書の枚数は増える。さらに近年の法改正によって請求書の処理業務が煩雑化していることも担当者の悩みの種になっている。
そんな悩みに応えられるのが、株式会社インボイスが提供する「Gi通信」と「OneVoice公共」だ。複数の請求書を一本化し、まとめて支払いができる“一括請求”サービスで、請求書処理に関わる事務作業を劇的に減らすという。両サービスについて、同社 営業推進部長 伊藤恵一氏に詳細を聞いた。
請求書の処理業務に関する課題は尽きない
──毎月届く請求書ですが、企業にとって「請求書処理業務に関わる課題」にはどんなものがありますか。また、その課題はインボイス制度スタートと改正電子帳簿保存法によって、変化しているのでしょうか。
どの企業にも共通しているのは、請求書の枚数が多いことや到着のタイミングがバラバラであること、またレイアウトが異なることで発生する煩雑さが課題となります。弊社が得意とする通信費や水道光熱費の請求書は(契約がお客様番号単位や回線単位となるため)同じ事業者から1カ月間に何通も請求書が届きます。
それに請求書の処理業務は、お客様ごとの業務フローによって発生する細かな課題が何重にも重なって煩雑さにつながっています。例えば請求書を複数の部署で受け取っているケースもあれば、経理がまとめて受け取っている場合もあります。前者であれば、支払い期限が間近に迫った請求書が経理に届き、常に支払遅延回避の課題が発生しています。一方で後者であれば、経理部門が金額を集計し、利用部門に対してタイムリーに利用額をフィードバックする必要があり、経理の業務負荷が重くなります。
また、費用の管理にフォーカスすると、総額を按分比率に基づいて部門別に配賦している企業もあれば、お客様番号や電話番号単位で費用管理している企業もあり、それぞれ別々の課題感をお持ちです。このように、お客様ごとに決められた受け取り方や配賦の仕方などが組み合わさっており、サービス導入だけでは、部分解決しかできないことに大きな課題があります。
さらにインボイス制度、改正電子帳簿保存法がスタートしたことで、インボイスの確認、電子帳簿保存法に対応した保存など、働き方改革への対応や人手不足が深刻ななか、新たな業務負荷が重くのしかかっています。そのうえインボイスの確認や電子帳簿保存法への対応についても「請求書を受け取った人が対応するのか、経理が対応するのかと、“誰がやるのか問題”も発生しています。
──インボイス制度の開始や電子帳簿保存法の改正が、効率化を目指すどころか関係部門の業務負担を増やしていると。
明らかに増えていますね。毎月の請求書を適格請求書として発行する事業者はまだいいのですが、適格請求書を請求書とは別にWEBから取得するケースがあり、企業の経理担当者が都度ダウンロードや、そのためのパスワード管理など業務は確実に増えています。電子帳簿保存法の改正に関しては、適用させるために新しいシステムを導入できる企業は問題ありませんが、システムを導入できない企業は従来の紙でのやり取りに戻しているような状況です。
バラバラに届いていた請求書を1枚に 2大法令にも対応
──紙ベースのやり取りに戻っている、と聞いて「うちも……」とうなずいている方は多そうですね。こうした請求書の処理業務を効率化できるのが、貴社が提供する「一括請求サービス」とお聞きしました。どんなサービスなのか、その仕組みを教えてください。
弊社のサービスは請求書の受領者向けに提供している、請求書の発行サービスです。販管費(販売費及び一般管理費)の中でも、特に請求書の枚数が多くなる通信費や水道光熱費といった請求書を、弊社がお客様の代わりに受領し、経理処理がしやすいよう統一したレイアウトに整えて、毎月1枚の請求書としてお届けします。請求書を受け取った段階で仕訳や配賦が効率的に行えるように、コードや名称を付与できる仕様となっており、インボイス制度、電子帳簿保存法といった2大法令にも対応しています。通信費の請求書は弊社が適格請求書発行事業者となり、水道光熱費の請求書はインボイスに対応した立替金精算書を発行します。
──バラバラの請求でも貴社で一旦立て替え払いをしてくれて、フォーマットが整った1枚にして送ってもらえるということですね。では「一括請求サービス」ならではの“強み”と、導入するメリットを教えてください。
複数届く請求書を1枚の請求書に減らして受領できるので、請求書の受け取り、支払い、保存業務が大幅に軽減されます。請求書の受領系プラットフォームと違い、受領した請求書を楽に処理できるように電子化したり保存したりするのではなく、「受け取る請求書」そのものが弊社のサービスとなりますので、受領した段階で楽に処理できるように請求書を1枚に減らし、お届けする請求データには部門コードや名称を自由に設定いただくことができるので、請求書の受領・確認・入力・支払・保存といった一連の請求書処理業務が効率化できます。
また、サービスの実現性やサービス管理の手間がないことも強みだと思います。弊社が請求書発行元へ、請求書の宛先を変更する手続きをさせていただきます。また、近年の法令対応や電子化の影響で請求書周りのサービスを導入されている企業も多くなっていますが、弊社の「一括請求サービス」は、実際に請求書を受け取っていただくだけなので、サービス管理がほとんど必要ないことも強みだと思います。
昨今では受領する請求書が電子化されていることで紙の請求書と電子請求書が混在する2重フローの課題、また、受領用パスワードの管理が膨大になってきているパスワードマネジメントの課題があります。弊社のサービスを利用するとパスワードは1つとなり、請求書ごとに管理をする必要がないことも今風のメリットかと思います。
店舗や通信回線が多いほど、“一括請求”の効果は高まる
──「一括請求サービス」のメリットが出やすい業種や事業規模について、詳しく教えてください。
基本的にどんな企業様にもご活用いただけますが……請求書が多い企業様にはメリットに感じていただけると思います。中でも、小売や飲食業はPOSレジ、タブレット端末、決済端末など、店舗で利用する通信回線が増加しており、同時に請求書の数も多くなっています。最近では、オープンクローズの速度が非常に早くなっており、新しい請求書が発生する度に、口座振替手続きなどの設定をその都度行う必要がないこともメリットとして感じていただけると思います。昨今ではCO₂の排出量を把握する目的で、弊社が請求情報から算出した使用量データを活用されるケースも増えてきました。
──実際に「一括請求サービス」を導入して課題を改善された事例をお聞かせください。
導入理由の多くは“請求書処理業務の煩雑さ”なのですが、昨今では、それに合わせて法令対応を目的として導入いただくケースが多くなっています。通信料金であれば、適格請求書が料金請求書とは別々に発行されているため、取得をするためのダウンロード業務が大変になります。小売業で全国展開しているある企業は、そのダウンロード業務に毎月15時間(※1)ほど要していましたが、弊社サービスの導入によりダウンロード業務がなくなりますので、ニーズにマッチしました。
また、自治体におけるペーパーレス化やDX化に加え、2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指すゼロカーボンシティへの取組のほか、特別会計となる水道部ではインボイス制度の対応が必要となりますので、(福島県の白河)市水道部様を始めとして、この1年間(※2)で11の自治体(累計約50自治体)に契約をいただいています。
電子帳簿保存法の対応もインボイス制度と合わせてニーズが高まっており、提供事業者ごとに紙で届く請求書と電子で届く請求書が混在していることから、一元管理を困難にしています。全ての取引先が電子化の対応をしていないため、自社での解決は難しいですが、ある企業は弊社経由で請求書を受け取ることで1枚の電子請求書に切り替わることにメリットを感じていただいてご採用いただきました。請求書を受け取る際にタイムスタンプの付与もできますので、電子帳簿保存法に対応したサービスシステムを導入していない企業様にも簡単に同法令への対応ができるようになります。
※1:NTT630回線×90秒(1回線あたりの確認・取得)で算出
※2:2023年4月から2024年3月までの期間
お客様のニーズに合わせてサービスを発展させたい
──現在、特に拡充に力を入れているポイントや、「一括請求サービス」が目指す今後の展開をお聞かせください。
弊社の「一括請求サービス」の特徴は科目ごとに請求書を分けていることにあります、実はここに大きな意味を持たせており、仕訳処理の利便性の側面と、情報提供の側面という両面があります。
特徴の近い請求書を集約することで、情報のノイズがなくなり、請求データからお客様に有益な情報を還元したいと考えています。昨年になりますが、通信費の請求書から自動でコスト削減額を分析するサービスをリリースしました。
また、CO₂排出量を計算するために、請求書をかき集めている企業様も多いことから、公共料金の請求情報からCO₂排出量の計算をお手伝いできるよう、エネルギー使用量を算出した情報を付与しています。
サービス開始から約30年、約1万6千社にお取り引きをいただいており、蓄積したデータやノウハウをお客様に還元することで、弊社の行動指針でもある、お客様の「新たな価値創造時間の創出」を通じ、豊かな社会の実現と持続的な成長に貢献していきたいと思います。
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