掲載希望の方 オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

後任者への引継ぎ・申し送りの準備方法やポイントとは?~オフィスのお役立ちコンテンツ

2025.03.19
広瀬敬代

担当していた業務を社内で引き継ぐ時に重要なのが“申し送り”だが、「これは伝えたほうがいいかな」「これは押し付け過ぎかな」と迷うことはないだろうか?後任者の不安を取り除いて、わかりやすく業務を伝えることができればトラブルも発生しにくい。そして申し送りを上手に行えれば、結果的に自分にとっても手離れが良くなり、次の仕事に集中できるようになる。引継ぎ後もスムーズに事が進むための申し送りのポイントを押さえておこう。

余裕をもって準備から始めることが大切

異動や転勤、休職、転職などで担当していた業務を後任者に引き継がなければいけないことがある。これは多くの人が経験することだが、何をどの程度、どうやって伝えればいいかは悩むもの。後任者へ、業務内容はもちろん、進捗状況や取引先の情報などを上手に伝えるためには、まず準備期間にできるだけ余裕を持つことが必要だ。

●準備したい事柄
1.業務を進めるうえで気になること、伝えたいことなどをこまめにメモする
2.申し送りのスケジュールを考える
3.事実と個人的な推測・意見は分ける
4.伝達するポイントを整理する
5.後任者のスキルや経験値などに応じて項目別に分ける
6.手順を覚える必要がある業務の場合は、時系列順の説明もまとめる

余裕あるスケジュールで申し送りを行う

引継ぎを確実に行うことは、後任者にとって重要であると同時に、自分にとってもリスクを回避するうえで大切なことだ。業務量と流れを把握して、申し送り用の資料を準備し、後任者がきちんと理解するように伝えていくために、余裕をもってスケジュールを組むようにしたい。

もし、引継ぎが中途半端なままになってしまうと、後任者がきちんと理解をせずに業務を進めていくことになる。取引先に不安を抱かせてしまい、不明な事柄が出るたびに、後任者から前任者の自分にたびたび問い合わせがくることも考えられるだろう。責任の所在があやふやになり、トラブルにつながることも多いので、確実に申し送りをし、可能であれば、引継ぎ後はフォローをする期間を設けておくと安心だ。

事実と自分の意見・推測は混同しないで分けて伝える

申し送りでやりがちなのが、業務の進捗状況を伝える時に、自分の意見や推測を含めてしまうことだ。初めて業務のことを知る後任者にとっては、どこまでが事実なのか戸惑ってしまう。もちろん、今まで進めてきた中で自分が感じたことを伝えるのはとても重要だが、事実とはしっかりと分けてわかりやすく伝えたい。

例えば、事実を伝えた後に、「ここからは私の推測ですが」「私個人の意見をお伝えすると」などの言葉を添えてから伝えると、混同することがないだろう。

事実
〇〇が発生した
〇〇が進行している
〇〇という状況である
次の打ち合わせは〇〇だ


意見や推測
〇〇の可能性がある
〇〇をしたほうが良い
〇〇になるかもしれない
次の打ち合わせは〇〇に行ったほうがいい

申し送り資料には、過去のトラブル、現在の問題点を隠すことなく伝える

申し送りは、口頭ではなく、資料を作成するほうが後任者にとっても心強いマニュアルになる。そのための資料を作成するときは以下の内容を盛り込むようにしよう。

1. 業務の目的
2. 社内での位置づけ
3. 業務の流れ
4. 業務の行い方と注意点(問題点)
5. 過去のトラブルと解決方法(トラブルが起こった際の連絡先)
6. データの取り扱い方法、保管場所
7. 業務関係者(取引先も含めて)の連絡先一覧


資料をもとに申し送りをする時は、できる限り対面して説明していきたい。まず、作業ごとのつながりをわかりやすく説明したうえで、自分の体験談を交えてアドバイスを入れるとわかりやすいだろう。途切れなく説明をしていくのではなく、こまめに後任者の理解度を確認しながら進めていこう。また、過去にトラブルがあった場合は、正確に事実を伝えることで、同じようなことが起こりそうな時に回避する術を見つけることができる。

引継ぎ後に後任者が仕事をやりやすく、取引先の信頼を守り、そして自分が担当をはずれた後に問い合わせが来ないようにするために行うのが申し送りだ。そのためにも、後任者の立場にたって事柄を整理し、余裕をもって伝えていきたい。