働く女性の9割が「定年後が不安」と回答。働く女性の4割が「保有資産なし」と問題の深刻さが表面化
2018年に総務省が発表した推計によると、女性の高齢者人口は初めて2,000万人を突破(出典:総務省統計局ホームページ)。女性の長寿傾向が加速している。
ニュースでは、老後に必要な資金が「2000万」という数字が話題になったばかりだ。ファイナンシャルアカデミー(本社:東京都千代田区)が、老後資金についての実態を把握するため、「女性の定年後」に関する意識調査を実施。働く女性の4割が「保有資産なし」という結果になった。
■働く女性の9割「定年後が不安」理由は「金銭面」
「定年後についてどのように思われますか?」という質問に対し、全体の約9割の人が「不安」と回答。
その理由をたずねると「年金がもらえるかわからないなど金銭面的に不安があるから」といった声が最も多くあがった。
その他、「雇用延長の制度があっても健康の面で働き続けられるかわからない」という声もあり、その気持ちの裏側には複数の不安要素が存在することがわかる。
■働く女性の約8割が「定年後に必要な具体的金額を把握していない」
定年後の資金についてたずねたところ、「把握できている」と回答した人は全体のわずか2割程度。
大多数が「定年後が不安」と回答した理由として、金銭面の不安をあげている。その不安の原因のひとつとして「定年後にいくら必要なのか、具体的な金額を知らない」ということがあるようだ。
■定年後「本当は働きたくないけど働かざるをえない」
定年後の勤続意向についてたずねたところ「働きたい」「働きたくない」がそれぞれ半分という結果に。
しかし、「働きたい」と回答した人にその理由をたずねると「お金が足りない」「年金だけでは暮らしていけないから」といった声が上位にあがった。
「働きたくない」という回答の理由は主に「身体的にきつい」「老後はゆっくり暮らしたい」といった声があがっている。
「働きたい」というよりは「本当は働きたくない、働けないかもしれないけれど働く必要がある」と考えている人が一定数存在するという実態が浮き彫りになった。
■働く女性の約4割が「保有資産なし」
現在の保有資産について聞いたところ、「貯金」が最も多く全体の約4割となっている。次いで「(資産を)持っていない」という人も約4割近く存在していることがわかった。
この2つが圧倒的であり、その他の金融資産などを保有している人はいずれも約1割かそれ以下であるのが実情だ。
■定年後の主な収入源トップ2は「給与」「公的年金」
定年後の収入源についてたずねたところ「本業による収入」「公的年金」がトップ2となっている。「準備できていない」と回答した人は約3割、副業という収入源を持っている人はわずか1割だった。
■年金制度に頼らない定年後設計を
前述の設問では、定年後の収入源に「公的年金」をあげている人が多くいた。しかし、「老後資金2,000万円問題」で取り沙汰されている通り年金不足の問題が存在する。
1961年にスタートした国民皆年金制度は、平均寿命が66歳だった頃の日本を基準に設計されたものだ。時代は変わり、平均寿命は80歳を超え、年金受給年齢の段階的引き上げも検討されている。50年以上前に設計された制度に頼りっきりになることは難しいという見方が濃厚だ。
■まとめ
今回の調査で、働く女性の4割が「保有資産なし」という結果が出た。また、約8割の人が「定年後に必要な具体的金額を把握していない」という結果も出ている。
定年後、さらに働き続けられる健康を維持しているか、十分な年金がもらえるのか、不安要素は多々あるだろう。
先が見えない老後の計画。企業側は、社員が定年後も同じ会社で働き続けられるのかどうか、といった制度の説明などを積極的に行っていく必要があるかもしれない。