若手にも広がる「介護離職問題」。ビジネスパーソンの仕事と介護の両立をめぐる実態調査

株式会社リクシスは、国内の大手企業に導入されている仕事と介護の両立支援クラウド「LCAT(エルキャット、Lyxis Care Assistant Tools)」を使って調査を実施。2500人の回答をもとに、国内のビジネスパーソンの仕事と介護の両立をめぐる実態の分析結果を発表した。若い世代も、仕事と介護の両立を求められるようになってきているという実態が明らかになった。
■仕事と介護の両立はいつから始まる?20代、30代から介護するケースも

実際、どのくらいの人が仕事と介護の両立を求められているのだろうか。「要介護認定者を日常的にサポートしながら仕事をしているか」を年代別に聞いた。
仕事と介護の両立を求められているビジネスパーソンは50代、60代にとどまらないという結果に。介護が20代、30代にも広がっている状況が浮き彫りになった。また、日常的に介護に携わっている人の7割は身体的・精神的不安を感じているようだ。
これまで、仕事と介護の両立によって発生する問題は、定年を目前に控えた50代が中心の「介護離職問題」して議論されることが多かった。しかし実際には、幅広い層が対象となりうる状況で、従業員の企業に対する「エンゲージメント問題」にシフトしていると捉えることができる。
■介護未経験者の中には、介護への不安を感じながらも、できるだけ働き続けたいと考えている人も


現在、両立支援施策として、介護休業制度の法定化やハンドブックの整備・配布などが進んでいる。とはいえ、不安はないのだろうか。
まだ介護が始まっていない人の約7割は、介護がはじまったら「仕事を続けられない」「仕事を続けられるかわからない」と答えている。
その一方、今後介護がはじまったときには「できるだけ通常通り働き続けたい」という思いも持っている人も一定数いることがわかった。
■「2025年問題」に備えて、早急な対応が求められる
多くのビジネスパーソンにとって、休業制度を使って自分自身が介護に専念するのではなく、介護がはじまっても可能な限り通常通り働くというのが理想のようだ。一方で、それを可能にするための具体的なイメージを持てないでいる現状も浮き彫りとなった。
「もっと早くから準備しておけばよかった」と多くの介護経験者が振り返るように、介護準備は「何かを読んでおくだけで準備が整う」というような簡単なものではない。家族間のコミュニケーションというナイーブな問題を多くの人々に突きつけるようだ。
団塊の世代が後期高齢者である75歳になる「2025年問題」への準備として、現役世代に対する早期の対応を促す取り組みが求められている。
■まとめ
もはや、仕事と介護の両立は50代、60代のみの問題ではなくなってきている。20代、30代から仕事と介護の両立を求められている人がいるという状況が明らかになった。
「2025年問題」はすぐそこに迫っている。介護による離職者を減らすためにも、仕事と介護が両立しやすくなる取り組みを模索してみてはどうだろうか。