7割の経理が小口現金の精算は「業務の負担」と回答。経理担当1000名に聞いた、オフィスのキャッシュレス化に関する実態調査
共同印刷グループで決済ソリューション事業を行うTOMOWEL Payment Service株式会社(本社:東京都文京区)は2019年11月25日より、プリペイド方式の法人向けキャッシュレス決済サービス「Bizプリカ」の提供を開始した。それに伴い、企業のキャッシュレス化の実態を探るため、経理業務に携わる全国のビジネスパーソン1,000名を対象にオフィスのキャッシュレス化に関する実態調査を実施し、その結果を発表した。
これにより、多くの経理担当者が小口現金の精算に対し業務の負担を感じている一方、現在もその精算方法を行っていることが分かった。経理業務に就く人のキャッシュレス化に対する声を紹介する。
■「自腹立て替え精算」42.7.%が頻繁にあると回答
出張時や急な支出があった際など、ビジネスパーソンが経費を自腹で立て替えて後で精算する「自腹立て替え精算」が、どれくらいの頻度で起きているのかを調べたところ、「頻繁にある」と回答した人が最も多く42.7%だった。「ときどきある」と回答した30.0%を合わせると、72.7%が高い頻度で自腹精算していることがわかった。
■「自腹立て替え精算」は社員への負担大!?65%が撤廃すれば従業員満足が上がると回答
従業員の立て替え払いが少しでも発生していると回答した859名へ、オフィスのキャッシュレス化で自腹立て替え精算がなくなれば、従業員の満足度が上がると思うか聞いたところ、「とても思う」が27.6%、「どちらかというと思う」が37.4%と、合わせて65%の担当者が従業員満足度が上がると考えていることがわかった。
■「小口現金」の利用率は61.4%、利用者の7割以上が経理業務の負担に感じると回答
交通費や出張時の交通費などといった少額の現金払いや立て替え精算時に現金を使用する、「小口現金」がどの程度使われているか質問したところ、「現在使っている」と回答した人は61.4%、「過去に使っていたが撤廃した」が11.1%、「使ったことはない」が20.9%という結果だった。
また「小口現金を現在使っている」、もしくは「過去に使っていた」という人に、現金での精算処理は経理業務の負担に感じるかを聞いたところ、「とても負担を感じる」が29.7%、「どちらかというと負担に感じる」が41.9%と、合わせて71.6%の担当者が負担に感じていることもわかった。
■小口現金の管理ミスは頻繁に発生!?約6割が用途不明金や帳簿と残金が合わない経験アリ
小口現金を会社で使用した経験があり、精算業務をした経験があると回答した698名を対象に、小口現金利用時に用途不明金の発生や帳簿と残金が合わなかった経験があるかを質問したところ、15%が「頻繁にある」と回答し、「ときどきある」と回答した43.8%を合わせると、58.8%の経理担当者が小口現金の管理ミスを経験していることがわかった。
また現在も小口現金を使っていると回答した590名に、小口現金を減らしたいか聞いたところ、「とても思う」が最も多く46.9%で、次いで「どちらかというと思う」が37.5%と、合わせて84.4%の人が減らしたいと思っていることがわかった。
■利用するのは経営者/役員が最も多く、一般社員にはあまり利用されず
会社でクレジットカードを使っているかどうかを質問したところ、利用率は57.3%だった。また会社でクレジットカードを利用していると回答した573名の人に、通常時は誰がカードを保有・使用しているかを聞いたところ、最も多かったのが「経営者/役員(64.9%)」だった。
一方で「従業員(管理職以上)」になると38.2%まで下がり、「従業員(一般社員)」になると29.1%と、クレジットカードは一部の社員にしか配布・利用されていないという実態が明らかになった。
■58.9%が会社のキャッシュレス化を進めるべきと回答
会社をキャッシュレス化することで、経理担当者の方々の業務効率が改善すると思うかを質問したところ、「とても上がると思う」が25%、「どちらかというと上がると思う」が30.7%で、合わせて55.7%の人が業務効率が上がると考えていることがわかった。
合わせて、会社全体の業務効率を上げると思うかどうかを質問したところ、「とても上がると思う」が26%、「どちらかというと上がると思う」が33.5%と、合わせて59.5%が会社全体の業務効率も改善すると考えている結果だった。
また、現在経済産業省などが個人のキャッシュレス化を進めているが、会社もキャッシュレス化を進めるべきと思うかについては、「とても思う」が27.1%)、「どちらかというと思う」が31.8%となり、合わせて58.9%の経理担当者が、会社のキャッシュレス化を進めるべきであると考えていることがわかった。
■会社のキャッシュレス実施率は48.8%、これから実施は10.9%
会社でクレジットカードなど何らかのキャッシュレス化に取り組んでいるかどうかを質問したところ、「既に充分取り組んでいる」が11.1%、「一部取り組んでおり、今後もより進める予定」が21.3%、「一部取り組んでおり、現在の状況を続ける予定」が16.4%と、合わせて48.8%の企業が何らかのキャッシュレス化にこれまで取り組んでいることがわかる。
また「現在取り組んでいないが、今後取り組む予定」は10.9%となった一方、「現在取り組んでおらず、今後も取り組む予定はない」も26.6%と高く、今後の法人キャッシュレス化に課題が残されているようだ。
■キャッシュレス化を阻む最大要因は「不正利用」37.9%が回答
会社のキャッシュレス化について「現在取り組んでおらず、今後も取り組む予定はない」と回答した266名を除く734名を対象に、キャッシュレス化を進めるにあたってネックになると感じる点を質問したところ、最も多かったのが「クレジットカードなどの不正利用が心配」が37.9%、次いで「仕組みを導入するのが面倒」35.4%、3位には「キャッシュレス化にあたり反対する人がいる」21.7%などの回答が挙がった。
その他自由回答としては、「クレジットカードの審査が下りない」「会費が高い」「手数料が相手先に負担となる」「特定の社員しか使えない」など、クレジットカードの仕組みに対する回答や、「証憑書類が集めにくい」「帳簿処理が煩雑」「経理システム上の都合で導入できない」「予算の消化状況を確認しづらい」といった経理の仕組み上の問題に関する回答が見られた。
■まとめ
今回のアンケートでは、7割という多くの経理担当者が小口現金の精算は「業務の負担」と回答しており、6割近くが業務改善に繋がるキャッシュレス化を進めるべきであると考えていることが明らかになった。しかし、実際にキャッシュレス化が進んでいると回答した割合は全体の半数以下に留まっており、課題があることも見受けられた。
キャッシュレス化は、経理担当者の働き方改革の一つとして、業務効率性を見直していく施策にもなりそうだ。