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新卒離職率0%を達成!社員の働きがいを引き出すユニークな教育法とは?

2019.12.18
楓工務店理念合宿

 高いデザイン力や発想力で注文住宅・新築・デザイン住宅を手掛ける株式会社楓工務店(本社:奈良市朱雀)では、社会全体が笑顔に包まれる「笑顔の創造」をビジョンにおき、社員とお客様の満足度を両輪であげていく様々な取組みをし、従事者の高齢化が進む住宅・建築業界で、2014年から毎年新卒採用を続け、2019年12月現在、全社員の半数以上が新卒入社の社員で、さらに現在に至るまで、退職者0%を達成し続けている。

 同社が行う、社員の働きがいを引き出すユニークな教育法とは何なのだろうか。

■なぜ新卒採用に取り組むのか

■なぜ新卒採用に取り組むのか

 2019年9月に発表された国土交通省・厚生労働省の令和2年度予算概算要求の概要によると、建設業の技能者のおよそ3分の1は55才以上となっている。他産業と比べて高齢化が進行していることがわかる。

 将来の建設業を支える担い手の確保が急務となる中、新規高校卒就職者の就職後3年目までの離職率は常に全産業、製造業を上回っている。住宅の引き渡し後も続く顧客との関係性や業界の生き残りのたねにも、新しいマンパワーを確保することは急務の課題となっているようだ。

■働きがい(=働く意欲)を生み出す 1ワン・2ツー・3スリー

■働きがい(=働く意欲)を生み出す 1ワン・2ツー・3スリー

 楓工務店では独自の発想で社員の働きがいを引き出している。実際の取り組み内容を紹介する。

①内定者の課題達成度に応じた初任給
 仕事は「働かされる」のではなく、「自ら働くこと」によって給料が得られるということを認識してもらうため、楓工務店では内定期間中から新卒者がチャレンジ課題に取り組む。部署によって様々だが、業務に必要な資格の取得や、パソコンスキルの向上、研修など内定者自身が課題達成に向けてのスケジュールを設定し、管理していくことで、社会人としてのスタートをスムーズに切れるよう後押ししていると言う。
 また課題達成度に応じて、初任給が変わるので、仕事への意欲を早い段階から高めることができる。1年目の目標を達成した人が参加できる「目標達成旅行」、毎年4月に全社員が参加する「理念合宿」を通じ、モチベーションの維持も図っている。

②メンター・トレーナー制度
 業務を指導する直属の先輩トレーナーとは別に、新入社員の心のフォローをする先輩(入社2年目)が他部署から選出され、内定期間中から仕事に対する不安を、私生活も含め解決できるようサポートする。新人が上司との関係性で悩み、仕事への意欲を失ってしまう悲劇にならないよう、メンター役の社員によるトレーナー評価も設け、新人が目標達成に向け課題に取り組めるよう見守れる体制も作っているようだ。
 新入社員は、味方がいるという安心感の中業務に励むことができる上、まだ業務で思うような成果が出せていないと焦る先輩社員でも、後輩の面倒を見るという責任を与えられることで、自己肯定感を持つことができ、仕事へのやりがいにもつながっていくと言う。

③IT活用でテレワークの女性社員も役職に
 結婚や夫の仕事の都合で県外に引っ越すことになった女性社員も、仕事を辞めることなくテレワーク勤務ができる。富山県や京都府に住みながらオンラインで社内会議に出席したり、図面・コーディネートの最終チェック、コンシェルジュスタッフ(営業)の業務管理など、主任職も任され仕事を続けている社員もいると言う。戦力が落ちることなく業務が遂行できるのは、会社側にもメリットが大きい。

 その他、女性社員からの提案がきっかけで、社員の子どもや周辺の待機児童が通うことができる企業主導型の保育園も2019年6月にオープンした。提案が通り、女性の多様な働き方が叶うのも社員の働きがいにつながっているようだ。

■働きがい改革の思わぬ効果

 社員教育に力を入れる一方、教育にかかる時間を減らすため6年前からITを活用した「足跡のこし」を行っているようだ。

 例えば、お弁当の注文の仕方や、FAXの出し方など小さな会社のルールから事業部ごとの業務、クレジットカードや生命保険などの社会人として知っておきたい知識までを動画や文書でマニュアル化し、クラウド上で全社員が共有することを可能にした。

 中小企業によくある、「日々の業務に追われ、教える側の先輩がなかなか教育の時間を割けない」という問題を解決し、新入社員が自ら必要な情報を探すことができる仕組みづくりをしてきたと言う。必要だと思う事柄を社員自身が見つけ、誰でも業務・改善マニュアルを作成できることも特徴と言えるだろう。

 若手の働きがいを引き出す環境を作ることにより、離職率0を達成でき、技術やノウハウを確実に引き継ぐことができるようになったと言う。

 デザイン力のある家を生み出すには、仕事の中である程度の余白も必要だ。効率の良い働き方を採用しつつ、責任も与えていく。これが楓工務店流「働きがい改革」となっているようだ。

■まとめ

 同社が取り組む、従業員の働く意欲を向上させる「働きがい改革」。日本企業の今後は、働きがい改革こそが経済の成長につながっていくのではないだろうか。
 
 社員のやる気を引き出すために自社に最適な施策は何かを考え、独自の「働きがい改革」に取り組んでみるのも良いかもしれない。

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