神戸市役所とスタートアップの協働開発 4億円の費用削減を実現する給与・届出システムを構築!
起業・スタートアップ支援による神戸経済の活性化を目指す神戸市は、先進的なICT技術を持つスタートアップである「株式会社Honeycome」「株式会社モンスター・ラボ」と神戸市内で働きながら子育てできる両立支援拠点を運営する「株式会社ママスクエア」と4社で協働し、教育委員会における職員の給与支給業務の効率化の研究を行った。
非効率な給与支給業務
従来の給与支給に関する仕事の方法は、職員が紙の書類を提出し、給与支給部署の担当者が紙書類を1枚1枚点検して手当の金額を決定するという非効率な手順であった。また、給与システムで計算した給与データに誤りがないか点検する際も、出力したデータをエクセルを使って人間が手作業で確認していた。
給与・届出システムの主な特徴
今回の研究による成果物である「給与システム」「届出システム」には主に下記3つの特徴がある。
1、ワークライフバランスの推進
業務の効率化と並行してワークライフバランスの推進につながる機能を検討し、実装した。
2、紙書類の電子申請化
届出から手当の決定まで、インターネット上でシステム化し、紙書類だった給与関係の届出を電子申請化することで、書類の受付・入力などの業務を削減した。また、時間と場所を問わずシステム操作を可能としたことで、届出の提出件数や処理状況をBIツールを活用して可視化した。
3、RPAやAIを活用した手作業の自動化
手作業で行っていた手当決定作業や給与データの点検は、電子申請化した届出のデータを活用し、ダイレクトにRPAやAIでの処理に繋ぐことで業務を自動化した。
成果物導入による効果
1、ワークライフバランスの推進
・在宅勤務化(5,000時間超/年、インターネットを介して操作可能)
・ワークシェア機能の導入(業務の中断・他者の引継ぎが可能)
・作業画面上へのマニュアル表示(徹底的なマニュアル化)
2、業務効率化
・実務に即した機能の実装による業務削減効果(6,000時間超/年)
・AIとBIツールを活用し、省力化と作業の精度向上を両立
3、費用削減
・費用削減効果(4億円超/5年)
協働研究の概要と成果の内訳
1、協働研究の概要と在宅勤務化時間・業務削減効果
①手当の決定事務の効率化 (協働研究者:株式会社モンスター・ラボ)
・通勤手当:(2018年度~2019年度)
・研究期間:2018年12月〜2019年6月
・業務削減効果:1,953時間
・住居手当:(2020年度)
・研究期間:2020年4月〜2020年5月
・業務削減効果:1,148時間
②給与システムの刷新 (協働研究者:株式会社Honeycome)
・研究期間:2019年9月〜2020年8月
・業務削減効果:1,364時間
③届出システムの構築・ワークライフバランスの推進
(協働研究者:株式会社Honeycome、株式会社ママスクエア)
・研究期間:2019年1月〜2020年8月
・業務削減効果:1,762時間
・在宅勤務化:+5,177時間
2、費用削減効果
①給与システム:2億3,000万円超
②届出システム:1億8,000万円越
今後のスケジュール
1、今年度中のシステム実践投入
・教職員課とスタートアップでスクラム開発を続け、完成に近いシステム試作機を作成し、今年度中にテストを兼ねて実戦に投入する。
2、来年度の本格導入に向けた庁内調整
・情報セキュリティや給与の各規定の細部の確認を行なう。
・予算化への手続きなどの調整を行い、2021年度の予算化を目指す。
・昨年度創設した、Urban Innovation KOBEによって開発されたアプリやシステムを神戸市が随意契約できる制度を活用して調達することを予定。
まとめ
神戸市は、起業・スタートアップ支援による経済の活性化を目指している。企業と市役所が協働で研究した「給与支給業務の効率化」は、対策を必要とする企業も多いのではないだろうか。
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