「働くことと不調に関する意識調査」この春から働く新社会人・先輩社会人への調査レポート
株式会社ツムラは、心身の不調を無理に我慢することなく、誰もがいつでも心地よく生きられる健やかな社会を目指し、2021年より「#OneMoreChoice プロジェクト」に取り組んでいる。本プロジェクトの一環として、新たに始まる社会人生活で起こり得る「隠れ我慢(※1)」に着目し、この春から働く新社会人1000人と、社会人歴3〜5年目の先輩社会人1000人に「働くことと不調に関する意識調査」を実施しました。その結果、新社会人と先輩社会人とで、仕事における心身の不調(※2)に対する考え方の違いが明らかになったという。ここでは調査結果の概要をお伝えする。
※1:同社では「心身の不調を我慢し、いつもどおりに仕事や家事を行うこと」を「隠れ我慢」と定義
※2:本調査において「不調」とは、心身に症状を感じている状態を指す(例:頭痛、倦怠感、めまい、PMS、生理痛、憂うつ、不安感、イライラ、などの精神的および身体的な症状)
#OneMoreChoice プロジェクト
隠れ我慢のない世の中を目指し、持続可能な社会をつくる取り組みとして、同社が2021年より実施しているプロジェクト。同社は、他企業や団体などあらゆるステークホルダーとともに、心身の不調に対して誰もが我慢に代わる選択肢をとれる社会をつくっていくとしている。
<取り組み例>
■医師や専門家へのつながり
■有識者の知見のインプット
■心身の不調実態の見える化
■他企業/団体向けの研修プログラム
■社内制度やルールの改革
■メディアを通じた啓発活動
■産学連携の取り組み
調査概要
実施時期:2024年1月5日~ 1月12日
調査手法:インターネット調査
調査対象:2024年4月に新社会人になる予定で高校・専門学校(短大含む)・大学・大学院に在籍中の男女1000人、有職者で社会人歴3年~5年目の20代・30代男女1000人(新社会人は人口動態に合わせた回収に基づく出現率でウェイトバック集計を実施し、社会人は人口動態に合わせて回収)
調査委託先:マクロミル
※構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合がある
4月から働く新社会人は「全力で頑張りたい」「早く成長したい」
同社はまずはじめに、2024年4月から働く予定の新社会人1000人を対象に、社会人となるにあたっての気持ちを尋ねた。その結果、約8割が「仕事を全力で頑張りたい(80.4%)」「なるべく早く成長したい(78.4%)」と回答している。また、約7割が「Z世代だからと甘やかされたくない(68.9%)」「負荷が低すぎてやりがいを感じられない職場は嫌だ(67.4%)」と答えており、甘やかされる・ゆるすぎる職場は望んでいない様子がうかがえる。
さらに、学生の時点で思う「社会人として取るべき行動や考え方」については、約8割が「周りが頑張っているときは、自分も頑張るべきだ(80.5%)」「自分の不調が原因で、周りに迷惑をかけてはいけない(75.6%)」と回答。約7割が「新社会人のうちは、なるべく休まず頑張るべきだ(69.0%)」とし、6割が「仕事においては、多少の不調は我慢すべきだ(60.0%)」とした。同社はこの結果に、社会に出てから隠れ我慢をしてしまう可能性が見えると指摘している。
新社会人の約9割が新社会人生活に不安
同社は続いて、同回答者に新社会人生活で不安に感じていることを尋ねた。すると、新社会人の92.9%が何らかの不安を感じ、中でも心身の不調に関して不安を感じる新社会人は55.1%と半数を超えることが明らかになった。
不安を感じている内容は「人間関係がうまくいくか(56.4%)」「新しい生活リズムになじめるか(44.5%)」「コミュニケーションがとりやすいか(43.9%)」など仕事に関することのほか「仕事の影響で精神面の不調が出ないか(34.7%)」「不調を感じたとき、周りに相談できるか(31.0%)」「仕事の影響で身体的な不調が出ないか(30.5%)」など、心身の不調に関する内容も多く挙げられた。
社会人歴3〜5年目の先輩社会人1000人の経験
次に同社は、社会人歴3〜5年目の20代・30代の先輩社会人を対象に、社会人になってからの不調の経験について調査。
まず、自分が新社会人として働いていた頃(社会人になって1年以内)、心身の不調を我慢して働く「隠れ我慢」の経験があるかを尋ねている。「頻繁にあった(21.3%)」「時々あった(39.7%)」「ほとんどないが経験はある(23.8%)」との回答から、先輩社会人の84.8%が、新社会人の頃に隠れ我慢を経験していることが明らかになった。
同社によると、隠れ我慢をした経験は、男性(81.7%)より女性(88.2%)に多く「新社会人時代に生理・PMSの悩みを我慢して働いた経験がある」と答えた女性の先輩社会人は81.5%にも上ったという。
4月に発生しやすい「隠れ我慢」とその後の影響
さらに、60.8%が「1年のうちでも4月は不調を我慢しがち」と感じていることも判明。実際、入社後初めの3カ月間に無理して頑張りすぎて、後で体調を崩してしまった経験について、3人に1人が「頑張りすぎて体調を崩した経験がある(34.1%)」と回答した。
続いて同社は、新社会人の頃に隠れ我慢した経験はその後どのように影響するのか、先輩社会人の調査結果から分析。「現在、心身ともに健康で過ごせている」と答えた人は、新社会人の頃に隠れ我慢していた人が61.1%、していない人が69.1%と8.0pt差。「今の職場が好き」と答えた人は、隠れ我慢していた人が61.6%、していない人が68.4%と6.9pt差となっている。僅差ではあるものの、隠れ我慢していない方が今の社会人生活を充実して過ごせているようだ。
先輩社会人の新社会人に対する思い
同社は、新社会人の頃に隠れ我慢をしていた先輩社会人に対し、後輩にあたる今年の新社会人に対する思いを尋ねている。
まず、自身が社会人として経験を重ねてきたことを踏まえて、新社会人に対してどのように考えるか聞くと、先輩社会人の約8割が「社会人だからといって不調を我慢しなくていいと思う(79.9%)」「不調を感じてつらいときは、無理せず周りに相談してほしいと思う(81.7%)」「新社会人時代こそ、無理しないことが大切だと思う(81.5%)」と回答した。
また、新社会人に伝えたいこととして約8割が「心身の不調を我慢しないでほしいと伝えたい(81.1%)」と回答。さらに、新社会人が不調のとき、彼らが我慢する以外の考え方や行動を取れるようサポートしたいかとの問いには、約9割が「サポートしたい(89.0%)」と答えており「新社会人と一緒に、心身の不調時に我慢しなくて済む環境を作っていきたい(89.5%)」と考えていることがわかった。
まとめ
2024年2月に愛知つのだ産業医事務所株式会社が発表した調査レポートでは、体調不良やストレスが従業員の退職理由となっているとする企業が42.9%と4割を超えることが報告されている。さらに、従業員の不調に8割が「気付いたことがある」としており、業務中に不調が現れている人が多くいる様子がうかがえる。
本調査では、心身の不調に不安を抱える新社会人が一定数いることが明らかになっており、入社後のサポートの重要性が示唆された。高い意欲を持って入社してくる新社会人だからこそ、その気負いから不調を招いてしまう可能性もあるだろう。どのようにケアしていくか、改めて考える機会としていただきたい。
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