掲載希望の方 オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

会社に対して約半数が「管理過剰感がある」【会社や上司からの管理に関する意識調査】

2024.05.29

企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:山﨑淳)は、経営者・役員を除く会社勤務の正社員930名に対し「会社や上司からの管理に関する意識調査」を実施。「会社や上司からの管理を過剰だと感じている(以下、管理過剰感)割合」や「管理過剰感が高くなる状況」「管理過剰感が与える影響」など、調査結果から見える実態について公表した。ここでは調査結果の概要をお伝えする。

調査概要

調査目的:会社や上司からの管理過剰感の実態を把握し、どのような会社・上司・職場の特徴があるとそう感じるのか、管理過剰感と本人の心的コンディションや主体的行動、離職意向との関係を明らかにすること
調査対象:20代後半から50代前半までの会社勤務正社員(経営者・役員を除く)で現在勤務する会社に入社してから半年以上経過した人
調査方法:インターネット調査
調査期間:2024年2月29日〜3月4日
有効回答数:930名
出典元:「会社や上司からの管理に関する意識調査」の結果を発表(株式会社リクルートマネジメントソリューションズ)

会社からの管理に対しては約半数が「わずらわしい」

会社からの管理に対しては約半数が「わずらわしい」

本調査ではまず、会社からの管理、上司からの管理、それぞれ4つの視点から管理過剰感について質問。

会社からの管理過剰感について「1.会社は従業員のことを管理しすぎである」「2.会社からの管理に息苦しさを覚える」「3.会社からの管理がわずらわしい」の設問に対して、管理過剰感がある(「とてもそう思う」「そう思う」「ややそう思う」)という回答は、それぞれ46.3%、45.9%、46.9%と5割弱だったことが明らかになった。一方「4.会社には、これがなければ、もっと高い成果が出せるのにと思うルールや手続きがある」は60.0%とやや選択率が高かったという。

上司からの管理過剰感について、管理過剰感があるという回答は「1.上司はあなたのことを管理しすぎである」「2.上司からの管理に息苦しさを覚える」「3.上司からの管理がわずらわしい」「4.これがなければ、もっと高い成果が出せるのにと思うような、上司からの管理がある」の順に32.5%、34.7%、35.9%、39.1%と約3~4割に。

管理過剰感があるという人の割合は、会社からの方が上司からに比べてやや高いことが明らかになった。

ルールの形骸化や閉塞感が会社管理過剰感に

ルールの形骸化や閉塞感が会社管理過剰感に

続いて本調査では、会社の特徴によって会社管理過剰感が異なるかを確認。会社からの管理に対する意識に関係しそうな会社の特徴について回答を求め、項目ごとに、「高群」(「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」)、「中群」(「どちらともいえない」)、「低群」(「あてはまらない」「どちらかといえばあてはまらない」)の3群ごとの会社管理過剰感を集計した。

ルールに関しては「2.一度作ったルールや制度は、なかなか撤廃・改善されない」というように形骸化していると会社管理過剰感は高く、そうでなければ低い。一方「5.社内のルールや制度について、従業員が意見を言える」「9.新しくルールや制度ができたときには、背景や意図について説明がある」といった決まりだから、従うようにということでないコミュニケーションがあると、会社管理過剰感は低いことがわかった。

閉塞感に関しては「1.内向きで現場や顧客の声が通らない」「3.部門の縦割り意識が強く、組織間の対立が起こりやすい」「4.意思決定に際し、稟議や根回しが煩雑である」という状態にあると会社管理過剰感は高い傾向に。「7.たとえ失敗してもチャレンジすることを奨励している」「10.意思決定スピードが速い」「11.現場判断ができるよう、社内外の情報が開示されている」という状態にあると会社管理過剰感は低いようだ。

また「6.従業員や関係者の健康や安全を重視している」「8.従業員にとって、成長できる機会が多くある」という認識のもとでは、会社管理過剰感が低いことが明らかになった。

これについて同社は「同じようなルールや制度であったとしても、従業員側が自分たちの健康や安全、成長を考慮した管理だと受け止めていると、管理過剰感は生じにくいのかもしれない」との推察を示し、ルールや制度の意図を伝えることの重要性について指摘した。

細かな報連相を求め、適切な支援がない上司に管理過剰感

細かな報連相を求め、適切な支援がない上司に管理過剰感

続いて本調査では、上司の特徴によって上司管理過剰感は異なるかを確認。その結果 「1.なぜこんな指摘や指導をするのかと思うことがある」という懐疑心や「2.あなたに細かく報告・連絡・相談を求める」というマイクロマネジメントの要素があると上司管理過剰感は高い傾向にあることが明らかになった。

逆に「4.あなたが自律的に働けるよう任せてくれる」「5.あなたの考えや意見を尊重してくれる」という自律・尊重の態度があると認識していると上司管理過剰感は低いようだ。また「8.担当する仕事について、社会や自組織にとっての意義や意味を言葉にしている」「9.仕事の成果やあなた自身の成長のために支援してくれる」という認識のもとで上司管理過剰感は低い傾向にある。会社からの管理の受け止め方によって会社管理過剰感が低くなるのと同様に、上司の管理行動の意図を理解できる、理不尽さを感じないようなコミュニケーションがとれている状態が重要であると考えられる結果になった。

同社が意外だと指摘したのは「3.放任であり、適切な業務上の支援がない」場合の上司管理過剰感が高い点である。これについて同社は「普段は放任で業務上必要な支援がないにもかかわらず、急に口出ししてきたり、勤怠や工数などの管理には細かかったりする可能性がある」と推察。「6.上司には、気軽に支援を求めたり相談したりできる」「7.あなたが望むタイミングで支援してくれる」と認識していると管理過剰感は低いことからも 「放任かどうかより適切な支援があるかどうかがポイントとなる」との見解を示した。

まとめ

同社は従業員を会社や上司が管理することは、組織として必要なことであるとしながら、その管理がいき過ぎれば従業員に息苦しさやわずらわしさを感じさせる可能性があるとして、どのような状態が「管理過剰感」を生むのか把握するために、本調査を実施している。

同社組織行動研究所 主任研究員の藤村直子氏は、本調査結果からは、管理過剰感が心的コンディションや主体性にネガティブな影響を及ぼす可能性が示されたと解説。「会社や上司は、必要な管理だから仕方ないということではなく、意図や背景を明確に伝え、従業員が管理をどう受け止めているかに意識を向けることが、適正な管理の在り方を模索する上でのポイントとなるでしょう」と提言している。

同社は2024年5月の機関紙で「オーバーマネジメント-管理しすぎを考える」というテーマで特集を組んでおり、本調査もその一環として行われたものだ。オーバーマネジメントによる弊害や要因、最適なマネジメントの在り方を追求する他社事例などが紹介されている。参考にしてみてはいかがだろうか。

機関誌RMS Message vol.74(株式会社リクルートマネジメントソリューションズ)