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2024年問題の影響「マイナス」が半数超に TSR調査

2024.06.18

株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、2023年10月に実施した「2024年問題に関するアンケート調査」の第2回を、2024年6月に実施した。調査結果の概要についてお伝えする。

調査概要

調査期間:2024年6月3日~10日
調査方法:インターネットによるアンケート調査
有効回答:5099社
出典元:「2024年問題」の影響、「マイナス」が55.3% 「利益率低下」、「労務管理」の負担が上昇(株式会社東京商工リサーチ)
※本調査では資本金1億円以上を大企業、1億円未満(資本金がない法人・個人企業を含む)を中小企業と定義
参考:「2024年問題」で6割の企業が「マイナス」影響 人件費上昇など、影響は幅広い業種に広がる

半数以上がマイナスの影響を実感

半数以上がマイナスの影響を実感

TSRによると、建設業や運輸業などで時間外労働の上限規制が適用された「2024年問題」が、経営に「マイナス」の影響と回答した企業は55.3%と半数を超えたという。TSRによる前回調査(2023年10月)の61.9%からは6.6ポイント改善したが、依然として企業経営に影響を及ぼしていることがわかった。

産業別では「マイナス」が多かったのは「卸売業(65.8%)」「建設業(64.1%)」「製造業(60.7%)」が上位に。前回調査と比べると、農・林・漁・鉱業を除く9産業で「マイナス」の構成比が低下したという。

また業種別で「マイナス」が最も高かったのは「パルプ・紙・紙加工品製造業(85.7%)」という結果に。一方で「プラス」の回答は「2024年問題」が直撃した「道路貨物運送業」が12.5%で最も高くなっている。TSRは「価格交渉やドライバーの待遇改善に率先して取り組んだ企業にはメリットが生じてきた可能性がある。ただ、「プラス」が20%を超えた業種はなく、「2024年問題」への対応に幅広い業界が苦慮している状況に変わりはない」との見解を示した。

具体的な影響「利益率の悪化」がトップに

具体的な影響「利益率の悪化」がトップに

なお「2024年問題」の「マイナス」の影響で最も高かったのは「物流・建設コスト増加による利益率の悪化(71.4%)」であった。次いで「稼働率の低下による納期の見直し(22.8%)」が続き、稼働率の低下で納品スケジュールに支障が出ることを懸念する企業が多いことが明らかに。

さらに「労務管理の煩雑化」も全産業で17.4%(前回15.9%)と上昇していることがわかった。「労務管理の煩雑化」は、特に時間外労働の上限規制の対象の業界である「建設業(42.4%)」「運輸業(50.0%)」で高く、その他産業の回答率10.4%との乖離が大きい。

まとめ

TSRによると「2024年問題」について「これまでは下請け側の自助努力に任せてきた側面があったが、発注側でも大手企業などを中心に、効率化や負担軽減への取り組みを進める企業も増えている」という。

特に影響が大きいとされる建設業と運輸業で「マイナス」の影響が発生するとした割合は、それぞれ改善がみられている。TSRは今後の対応として「建設・運輸企業の市場退出を抑制し、物流や建設の“クライシス”を防ぐには、産業全体で取り組みを進めることが必要だ」と提言した。

厚生労働省は「建設業・ドライバー・医師の時間外労働の上限規制 特設サイト はたらきかたススメ」を開設し、業界別に参考となる情報を提供している。併せて参考にしていただきたい。

参考:建設業・ドライバー・医師の時間外労働の上限規制 特設サイト はたらきかたススメ(厚生労働省)