若年層の男性約3割が「半年以上」の育休取得を希望 イクメンプロジェクト調査
厚生労働省「イクメンプロジェクト」による「令和6年度 若年層における育児休業等取得に対する意識調査(以下、本調査)」の結果(速報値)」と、同省の「令和5年度雇用均等基本調査」の結果が公表されたことを受け、2024年7月31日に本件に関する記者会見が行われた。
株式会社ワーク・ライフバランス(本社:東京都港区)では、代表取締役社長 小室淑恵氏がイクメンプロジェクト推進委員会の委員として今回の記者会見に参加。本調査結果の内容を支持するとして、同件に関するリリースを発表した。
若年層の育休取得への意識は?
本調査によると、若年層のうち77.9%が仕事とプライベートの両立を意識。「仕事と育児も熱心に取り組みたい」男女はほぼ同率の結果となったという。
また、若年層の92.4%が育休制度を「知っている」と回答し、87.7%が「取得意向」を示している。配偶者に配偶者に育休を取得してほしい意向も88.6%と、若年層の育休を取得したい意向の強さがうかがえる。
さらに本調査では、育休の取得を希望する期間について質問。その結果、男性の29.2%が半年以上の取得を希望し、1年以上を希望する男性も16.0%となっている。
続いて本調査では、就職活動においてどのような企業を選定するかを調査。69.7%が「育休取得実績」を重視していると回答したほか「男性の育休取得実績がない企業」に対して、61.0%が「就職したくない」と回答したことが明らかになった。
就職活動にあたって「企業からどのような結婚や出産に関わる情報があると就職したい気持ちが高まるか」という質問には、3割超が「男性の育休取得率」と回答。さらに、育休取得率が高い企業に対して「安定している(41.5%)」「社員想い(39.3%)」「先進的(22.6%)」「若手が活躍できる(21.5%)」といったポジティブなイメージを抱いていることもわかった。
「いずれ結婚をするとしたらどのようなハードルがあると思いますか?」という質問では、男女ともに「お金の問題」がトップだったが、2位以降の回答には男女差が現れた。男性は4番目に「自分の働き方」を挙げているが、女性は2番目に「相手の働き方」を挙げたという。男性が自身の働き方を考える以上に女性は相手の働き方が結婚、子育てを考える上での鍵だと考えていることがうかがえる。
調査概要
令和6年度「若年層における育児休業等取得に対する意識調査」
◆調査手法: WEB定量調査
◆調査期間: 2024年6月22日~2024年6月25日
◆調査対象: 全国の18歳~25歳の男女 高校生・大学生などの学生若年層
◆サンプル数: 7840件(スクリーニング調査)、2026件( 本調査)
出典元:イクメンプロジェクト、厚生労働省「若年層における育児休業等取得に対する意識調査」(速報値)を発表しました
調査結果を受けてより一層の働き方改革推進を提言
また、本調査の結果と合わせて、基本調査によって男性の育休取得率は30.1%と判明したことも報告された。本記者会見を実施したイクメンプロジェクトは「企業側は働き盛りの男性が数カ月単位で抜けても仕事が回る職場を、常日頃から作る必要があるため、より一層の働き方改革を進め、2019年から努力義務になっている勤務間インターバルを導入することなどに挑戦することが、育休の取りやすい職場の実現に重要である」として、経営者等の意識を変える必要性について提言した。
また、同社代表取締役の小室氏は本記者会見にて「「ギリギリ人員の頑張りと踏ん張りで耐え抜く職場」から、「頭数多めで、お互いの急な休みは想定済・お互い様の職場」を増やしていくことが重要です」とコメントしている。
出典元:令和5年度雇用均等基本調査(厚生労働省)
まとめ
若年層では仕事と育児の両立を望む割合に男女差がなく、育休取得への高い関心が寄せられているようだ。長期間の育休取得を望む声も多く、就職時にはそうした希望が叶う環境を意識して企業選定を行っている様子もうかがえる。男性の育休取得がしやすい環境を整備することが、今後の人材確保においても重要な取り組みであることが示唆されたと言えるだろう。
本記者会見では長期間の育休取得を実現させるためには、数カ月単位で従業員が抜けても仕事が回る環境を作る必要があると提言された。その環境が実現されれば、育休の取得だけでなく、育児や介護など、従業員のさまざまなライフイベントにも柔軟な対応をとることが可能となるだろう。自社の現状を改めて把握し、より一層の働き方改革を進める機会としていただきたい。