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新型コロナ感染者が増加傾向も、在宅勤務を新たに導入する企業は 1%未満 TSR調査

2024.08.20

株式会社 東京商工リサーチ(以下:TSR)は2024年8月1日~8月13日にかけて、企業を対象とした「在宅勤務」に関するアンケート調査を実施。コロナ禍で広がった在宅勤務について、現在、企業はどんな対応をしているのか? 企業規模や業種によっても違いが表れた調査結果の概要をお伝えする。

調査概要

◆調査期間:2024年8月1日~8月13日
◆調査方法:インターネットによるアンケート調査
◆有効回答:7193社
◆出典:「在宅勤務」に関するアンケート調査 (株式会社 東京商工リサーチ)
※本調査では、資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義

感染者が増加するなか、勤務体制の見直しは?

感染者が増加するなか、勤務体制の見直しは?

TSRの調査によれば、新型コロナウイルス感染者数が増加に転じた2024年7月以降、「これまでと変わらず在宅勤務も許可している」は20.5%(7193社中1481社)。企業規模によって対応が二極化していることも判明した。規模別で在宅勤務を認める企業を見ると、大企業が36.5%であるのに対して、中小企業は19.5%にとどまっている。TSRはこうした状況について「労務管理の人的リソースやコスト圧力に耐性が乏しい中小企業は、在宅勤務への切り替えが困難な実態がうかがえる」と推察している。

また、2024年7月から新型コロナウイルスの感染者が増加傾向にあり「第11波」に入ったという声がある中で、「出社を前提としていたが、今年7月以降は在宅勤務も許可している」と回答した企業は、全体の0.9%と1%に満たない実態も明らかとなった。

なお、「これまでと変わらず出社を前提としている」と答えた企業にその理由を聞いたところ、「業務の特性上、在宅勤務がなじまない(76.1%)」がトップ、次いで「新型コロナの感染症法上の分類が5類であるため(25.8%)」があげられた。

業種ごとの浸透具合に格差

TSRは業種ごとに対応状況も分析。その結果、在宅勤務に積極的な業種として、ポータルサイト・サーバ運営などの「インターネット附随サービス業(71.4%)」や、受託開発ソフトウェア業などを含む「情報サービス業(64.9%)」など、在宅勤務と親和性の高い業界が上位に並んだ。一方、出社を前提とする業種としては、バス業やタクシー業などの「道路旅客運送業(95.0%)」や「学校教育(91.3%)」など、現場での業務遂行を求められる業種や消費者と対面する業種が目立つ結果となっている。

TSRは、在宅勤務については業種により浸透度合いに大きな格差があると指摘。「社内でも部署により実施状況に差があり、社内の情報共有やコミュニケーションが希薄になることも危惧される。企業や業種により在宅勤務のとらえ方は千差万別で、業務のあり方の見直しを迫られる契機になる可能性もある」と分析している。

まとめ

2024年7月、新型コロナ感染者数が再び増加(※)したものの、新たに在宅勤務を認めた企業は1%にも満たない状況であった。一方で、企業規模による格差もみられており、中小企業では在宅勤務の実施に課題があることが推察される。

こうした結果を受けてTSRでは、大企業ほどコストと労力をかけられない中小企業の状況に触れつつ、「在宅勤務は採用面で強力なパワーワードになっている。出社と在宅を組み合わせたハイブリッドな就業形態など、人材確保に苦慮する中小企業は今、逆転の発想が必要かもしれない」との提言も解説に盛り込んだ。

※参考:新型コロナウイルス感染症に関する報道発表資料(発生状況)2024年(厚生労働省)